Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

黒い狩人

2022年10月27日 06時30分47秒 | Weblog
10月定期演奏会の聴きどころ 「世界初!名演の期待が高まるチョン・ミョンフンの『ファルスタッフ』」
 「東京フィルの公演は「演奏会形式」とされているが、現実には少しちがうようだ。このオペラを、機が熟すまで長く温めていただけのことはある。マエストロは今年5月に来日した際、東京フィルと『ファルスタッフ』に関する打ち合わせを行ったが、舞台上で人がどう動くべきか、小道具や衣装はどうあるべきか、すでに詳細なイメージを持っていた。そしてスコアを見ながら、長年寄り添っているマネージャーも驚くほど熱心に講義をしたという。

 これは間違いなく名演。
 厳密には「演奏会形式」とは言い難く、小道具を上手く使った「半・演奏会形式」とでも呼ぶべきスタイルである。
 なんと、指揮者も旅籠屋の主人として演技するのである。 
 さて、私がちょっとギョっとしたのは、第3幕の第一部で、「黒い狩人」(Cacciatore nero)という言葉が出て来たところである。

オペラ対訳ライブラリー ヴェルディ ファルスタッフ 小瀬村幸子 訳
 ファルスタッフ「王立公園で、真夜中にあなたをお待ちすることにいたします。あなたは黒い狩人の変装をなさっておいでください。エルネの樫の木のところへ。」(p162)

 解説には、「イギリス中世の伝説に登場するハーンという幽霊漁師で、亡霊の犬を連れてウィンザーの森に出没すると信じられていた」とあるが、この起源は古代ギリシャではないだろうか?
 ピエール・ヴィダル=ナケの論文集:Le chasseur noir Formes de pensée et formes de société dans le monde grecの題名は「黒い狩人」であり、そこで彼は、アテネの辺境(森)で、通過儀礼としての狩りにいそしむ黒装束のエフェベ(若者)のことを詳しく論じている。
 これが中世のイギリスで”幽霊”になったのではないだろうか?

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