新・階級社会 上級国民と中流貧民
「今の日本社会を「格差社会」などという言葉で表現するのは実態を表していない。格差社会よりもはるかにシビアな「階級社会」へ変貌を遂げていたのだ。それは、出自や教育環境、就職時期の経済環境などによって階級が決まる「現代版カースト」ともいえる理不尽な世界だ。厄介なことに、階級格差は親から子へ、子から孫へと世代を超えて連鎖し受け継がれていく。世襲されることで、格差は加速度的に広がっていくのだ。」(p27)
ややジャーナリスティックな表現が気になるけれど、大きく間違ってはいないだろう。
戦後(特に80年代以降)の日本(国家・社会)は、「世襲」(+コニャティークなネットワーク形成)と「階層化」という2つの原理、及び両者の相互作用によって突き動かされてきた。
後者(階層化)について言えば、階層性は枝分節集団の核心的要素であり、今に始まった話ではないが、「現代版カースト」では、これが極端化しているのが特徴と言える。
例えば、80年代以降の顕著な現象として、正社員を極端に優遇する(その代わりサービス残業や全国転勤等を強制する)一方で、非正規雇用労働者を極端に冷遇して、労働者間の階層を敢えて”スティープ”にするというものがある。
その背景に、(モースが言うところの)「権威」の源泉=「富」(資源)の絶対量の減少・不足、及びその分配における機能不全(つまり信用崩壊)があるのは確実である。
前者に対してはアベノミクスのような政策が実施されたものの、その効果が疑問視されていることは周知のとおりで(というか、一国の政策で解決できるような問題ではなかろう)、後者についてはほぼ手つかずの状態で放置されているという、惨憺たる状況である。
その結果、例えば「カイシャ」の経営者などが、減少・不足した富(資源)(賃金、社内における地位等)の分配において、「正社員にはうんと多く、それ以外にはうんと少なく」する、さらには、派遣・偽装請負のように、一部のメンバーを階層の外(下)に弾き出す(実質的に階層をもう一つ増やす)ことによって階層性を維持する(自身の権威を保ち、最低限正社員が辞めないようにする)方法を選ぶようになってしまったのかもしれない。
さて、それでは、もう一つの方、「世襲」についてはどう説明すればよいのだろうか?
実は、「会社」が「イエ」(枝分節集団)化する(その結果「階層性」が生じる)最大の原因は「世襲」なので、こちらがおそらく最大の問題なのである。
「今の日本社会を「格差社会」などという言葉で表現するのは実態を表していない。格差社会よりもはるかにシビアな「階級社会」へ変貌を遂げていたのだ。それは、出自や教育環境、就職時期の経済環境などによって階級が決まる「現代版カースト」ともいえる理不尽な世界だ。厄介なことに、階級格差は親から子へ、子から孫へと世代を超えて連鎖し受け継がれていく。世襲されることで、格差は加速度的に広がっていくのだ。」(p27)
ややジャーナリスティックな表現が気になるけれど、大きく間違ってはいないだろう。
戦後(特に80年代以降)の日本(国家・社会)は、「世襲」(+コニャティークなネットワーク形成)と「階層化」という2つの原理、及び両者の相互作用によって突き動かされてきた。
後者(階層化)について言えば、階層性は枝分節集団の核心的要素であり、今に始まった話ではないが、「現代版カースト」では、これが極端化しているのが特徴と言える。
例えば、80年代以降の顕著な現象として、正社員を極端に優遇する(その代わりサービス残業や全国転勤等を強制する)一方で、非正規雇用労働者を極端に冷遇して、労働者間の階層を敢えて”スティープ”にするというものがある。
その背景に、(モースが言うところの)「権威」の源泉=「富」(資源)の絶対量の減少・不足、及びその分配における機能不全(つまり信用崩壊)があるのは確実である。
前者に対してはアベノミクスのような政策が実施されたものの、その効果が疑問視されていることは周知のとおりで(というか、一国の政策で解決できるような問題ではなかろう)、後者についてはほぼ手つかずの状態で放置されているという、惨憺たる状況である。
その結果、例えば「カイシャ」の経営者などが、減少・不足した富(資源)(賃金、社内における地位等)の分配において、「正社員にはうんと多く、それ以外にはうんと少なく」する、さらには、派遣・偽装請負のように、一部のメンバーを階層の外(下)に弾き出す(実質的に階層をもう一つ増やす)ことによって階層性を維持する(自身の権威を保ち、最低限正社員が辞めないようにする)方法を選ぶようになってしまったのかもしれない。
さて、それでは、もう一つの方、「世襲」についてはどう説明すればよいのだろうか?
実は、「会社」が「イエ」(枝分節集団)化する(その結果「階層性」が生じる)最大の原因は「世襲」なので、こちらがおそらく最大の問題なのである。