Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

12月のポトラッチ・カウント(9)

2024年12月29日 06時30分00秒 | Weblog
<あらすじ>つづき
 「静まりかえった天守。薄明かりの中に富姫が一人佇んでいると、一人の武士、姫川図書之助が階段を上り、五重へとやってくる。何故来たのかと問いかける富姫に、天守の五重は、百年来、人間の来た例はないが、鷹を失った罪で切腹を申しつけられたところを、鷹の行方を見届けることを条件に猶予を与えられたと語る。富姫は図書之助の清々しさに心を打たれ、ここは人間が一度足を踏み入れたなら、生かしては帰さない場所であるが、この度だけはと許して帰す。 
 戻る途中で妖かしに雪洞の灯を消された図書之助が、再び五重に姿をあらわす。約束を破ったことを富姫に咎められると、闇の中で梯子を踏み外し男の面目を失うよりは、富姫に命を取られようとも、再び灯をもらいに来たと答える。富姫はその詞に感銘を受け、深く心をひかれる。そして鷹は自分が奪ったものだと明かし、筋道の通らない人間世界に帰したくないと引き留める。図書之助は迷いはあるものの、世の中への未練が断ちきれない様子。富姫は断ち切りがたい思いを抱えながらも、ここへ来た証拠にと秘蔵の兜を持たせて帰す。

 異形の世界に侵入してきた図書之助は、鷹を失った科で主君から切腹を言い渡されている。
 これに富姫は、
 「私は武士の切腹は嫌いだから・・・。主と家臣というだけで、命を差し出すなんて間違い。鷹の命と人の命のどっちが大切だというのか」(記憶に基づく再現なので、不正確かもしれない)
と嫌悪感を露わにする。
 異形たちは、武士の論理・倫理を否定しているのである。
 その一方で、光を失った二人は、
図書之助「私の命をあげましょう
富姫「私もあなたの手に掛かって死にたい。あなたの顔が一目見たい
とポトラッチ合戦を行う。
 日本の伝統とも言うべき「死によって成就される愛」 (25年前(4))の本歌取りのようである。
 但し、この後桃六によって光を取り戻し、異形の世界で二人の恋は成就するので、ハッピー・エンドということになる。
 こうやって見てくると、富姫は、「曾根崎心中」のお初と似た役目を担っていたように感じる。
 つまり、「汚れた現世から相手を救済する観音様」である。
 ・・・というわけで、二人のポトラッチは未遂に終わったため、ポトラッチ・ポイントは、5.0×2人×1/2(未遂)=5.0。
 

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