季節の中で 暮らしの中で -Through the seasons and daily life-

現代の都会でプチ昔&田舎暮らし
-old & country style in modern urban life

たくさんの子どもに届け

2018-08-21 16:30:53 | 洋書 English books
私の好きな作家、ルイス・サッカーの新しい本を読む。

Fuzzy Mud
Louis Sachar
Bloomsbury Childrens Books


日本語版が出ました。

       
泥 (児童単行本)
Louis Sachar,千葉 茂樹
小学館


両方読んだけど、やっぱり日本語の方は一日で読めて、英語の方は一週間くらいかかった。
でも面白いのは英語。

いつもルイスサッカーの本を読むたびに、どうしてこんなにも子どもの心境がわかるんだろうなって思う。
十代前半の生き苦しさや生々しさがそのまま。
うまいなあ。

メインの話はエネルギー問題で、人口増加に伴うエネルギー不足を補うために作られた微生物の反乱。
その微生物の及ぼす影響がかなりグロテスクなので、映画化はむずかしいかなあと思うほど。

そんな危機的な状況の中で、現代的で普遍的なローティーンの子どもたちの人間関係が描かれています。

家庭の問題や社会の問題。
読む人によって、誰に共感できるかが違うんじゃないかと思う。

いじめが出て来るんだけど、それが一番私には印象的だった。
クラスのみんなに無視されるくらいのいじめ。
掘り起こしてみたら、その発端がその子どもの家庭が温かくて幸せだから、だって。
満たされない子どもが理不尽なやりかたでその子どもを傷付けて行く。

嫉妬と言うものが恐ろしいなと思う。
その羨みの眼差し(邪視)を跳ね返すためにインドでは鏡を子どもの衣服に縫い付けるミラーワークと言う刺繍をするほどだから、それは大昔から世界中であったことなんだろう。
「リア中爆破しろ」ってやつ。

世の中の困った事や不幸は大抵この「満たされない人」によって起こってる。
だれかに満たして欲しくて、餓鬼のように周りの人を喰いつくし傷つける。

本来はその子が生まれてから子どもでいる間に親が満たしてあげるべきところ。
その摂り落としを補うのにどれだけの専門家が関わって、本人が頑張って何年もかかって苦労する事か。
心が空虚で飢餓状態の人がが立ち直るための時間とエネルギー、周りの人が受けるダメージ、社会に及ぼすマイナス要因。それを考えたら、小さい頃に暖かく育てることがこの世で一番益があることで、大事なことだとわかると思う。

この世の中を良くしようと思ったら、自分自身から。マイケルジャクソンも言っている。
心にどうしようもない空虚や飢餓があって、自分で解決できないと思ったら、専門の人に臆しないで頼ったら良い。それを勇気と言うと思う。
辛い苦しいのは別の生き方があるサイン。

この本が、たくさんのタマヤやマーシャルやチャド、そしてかつてそうであった人にも届きますように。

この本の後に、また恒例の夏の読書。

Holes
Vladimir Radunsky,Bagram Ibatoulline
Yearling


何回読んでも心に響く。

日本語版はこれです。お勧めです。できれば英語版で。

穴 HOLES (講談社文庫)
幸田 敦子
講談社





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