明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



7日からの展示は初めて参加するグループ展だが、少女の人形が大半で、どうも私だけ浮いているようである。プランタンでは85年に『第1回人形達展』という創作人形の公募展があり、その頃私は架空の黒人のミュージシャンを作っていたが、招待作家として出品した。先年亡くなった俳優の河原崎長一郎氏も出品していたが、私にはTVのお父さん役よりも『神々の深き欲望』などの映画のイメージが強かった。今思うと父親の四代目河原崎長十郎は前進座の創立メンバーで、三代目長十郎は“劇聖”九代目市川團十郎ということになる。四代目長十郎の祖父、座元であった六代目河原崎権之助に、生まれてすぐ七代目團十郎に養子に出されたのが九代目である。 養父権之助が九代目に与えた試練は実に過酷で、たまりかねた七代目が取り返しに来たくらいで、その稽古のスケジュールは、現在だったら幼児虐待レベルである。しかし結局はこの時代が九代目の土台を作ったということになるのであろう。権之助は強盗に殺されるが、幼い九代目は息を潜めて隠れていて助かり、養父の刺殺された時のうめき声を後々まで覚えていて、芝居に取り入れたというから、さすが劇聖である。 そして今回私が出品するのが、九代目團十郎の写真作品である。だからどうだというと、特にどうということもないのであった。

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