明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



数年ぶりにクロッキーブックを買う。私は制作の前にスケッチはしない。最初に何気なく描いた最初の一枚が決定版になってしまうことがしばしばあり、気楽に描けなくなり止めてしまった。 天才アルトサックス奏者チャーリー・パーカーは、スタジオに入って最初の演奏が良く、周りのミュージシャンの調子が上がってきた時には、逆に調子が落ちてしまうそうだが、一方私はというと、そんな天才とは違うので、おそらく最初に描いたものに縛られてしまい、そのためパーカーのバックミュージシャンのように、二枚目、三枚目に良い物がでてくるのを逃しているのではないか、と考えて描くことはなくなった。 そういえば、今気が付いたのだが、私は子供の頃から、ちょっと手が空いていると、常に悪戯描きをしてきた。江戸川乱歩の土蔵に入った頃、乱歩の蔵書すべてに私が子供の頃に描いた悪戯書きが描かれており、それが発覚して立教の教授に説教される夢を見たくらいである。おそらくこれは貧乏ゆすりに近いもので、楽しくてしょうがない時に描くことはない。よって治らない悪習と感じていたのだが、その癖はアイディアスケッチ止めたあたりから、いつの間にか収まっていたようだ。 今回久々にスケッチする気になったのは、『潮騒』の監的哨、焚き火のシーンをどう作り、どう撮るか考えるためである。

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