明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



エドガー・ポーの創作した探偵デュパンの影響を受け、後にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズや江戸川乱歩の明智小五郎が生まれる。ポーの作品にはアルコールに依存した男や悪夢に取りつかれた男、その他自分を反映させたと思しき人物が登場するが、デュパンも明らかに天才的洞察力、分析能力などポーの要素を持った人物である。よってポーの一作目は『モルグ街の殺人』における名探偵デュパンに扮してもらうことにした。すでに完成している『モルグ街の殺人』の背景は、オランウータンに襲われるレスパネエ穣という設定で、暑苦しいほど毛むくじゃらのオランウータンと全裸の女性という、名探偵がいなくても充分なシチュエーションではある。そもそもそこにデュパンがいては、娘が野獣に殺されるのを物陰から黙って見過ごしている名探偵という画になってしまうわけだが、イメージ作品ということで。 それにしても前作の泉鏡花が着物がどうの何がどうした、と描写が細か過ぎて大変であった。その点ポーは、登場人物の容姿などあまり細かく描写しないのでありがたい。江戸川乱歩の時も、本来乱歩を明智小五郎にするところ、明智がもじゃもじゃ頭ということで、若い頃から禿頭の乱歩を使うことを断念したことは前にも書いた。

※世田谷文学館にて展示中

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