昨日のブログでワイルドなところを披露してしまったが、東京は案外安全な場所であることを身をもって証明したことになる。20年以上住んでいるが、ほとんど家にいるのに、チャイムの音で出てみると誰もいない、ということが5回くらいあり、その間、階下に中国人の泥棒が入ったくらいである。 部屋を片付けよう、と思ったとほぼ同時に制作意欲が湧いてしまう。逃避行動という奴だが、それを繰り返していてバチが当たり、結局昨日から寝ずに片付ける羽目になった。今日は絶対粘土に逃げないと決めていたが、水周りの業者が来る時間が近づいて来ると、耐えられず手を出してしまった。 制作中のエドガー・ポーだって、おそらくそんな所のある人物であるのは以前書いた通りである。『黒猫』や『告げ口心臓』等読めば良く判る。妻を殺してしまったが、首尾よく壁に塗り込めたのに、何も発見できずに帰る警官を呼び止め、自信たっぷりに塗り込めた辺りをステッキで叩いてみせる。何故そうしているか自分でも判らない。やっと得た仕事も、必ず経営者と喧嘩になり、止めたらどうやって生きて行けばいいんだ、と思えば思う程、激高していったに違いない。そして自己嫌悪のやけ酒。私はやけ酒などもったいないことはしないが。 遠藤周作は、何かをしなければならない時、他のことをせずにいられない人を怠け者という。といったが、しなければならないことではないかもしれないが、何かはしている訳である。つまり私の作品は、この部屋の状態が支えている、といえなくもない。結局流し台の下が腐食し、わずかながら水漏れがあった。無事修理が終わり、苦役の御褒美は発掘された6本の酒類であった。
※世田谷文学館にて展示中
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