『大鴉』はポーを一気に有名にした作品であり、詩人としての評価も高まった。 嵐の夜。亡くなった恋人レノーアを忘れようと読書に集中する男。これでやけ酒を飲ませたらポーそのものであろう。夜更けに読書なのでガウン状の物を着せる予定だが、『大鴉』の1作目の構図はポーのアップにしようと決めているので、作るとしても横隔膜のあたりから上で充分であろう。当然写らない背中は作らない。 ポーは酔うと、酒場だろうとどこだろうと自分のヒット作である『大鴉』を詠んだそうである。自意識過剰気味なポーは、特に美しい御夫人の前では身振り手振りを交え、陶酔したようになったに決まっている。 当初バストアップのポーの表情と、背後にハラス(アテナ)像の頭の上にとまる鴉。という構図をイメージしていたが、さらに一番手前に、大げさな悲劇俳優のような仕草の手を配置する。ということを思いついた。その方が背後でじっとしている鴉が生きてくるのではないか。昨日思いついたのは、最前でもっともアップとなるこの手を、たった4センチほどの人形の手を使わずに、T千穂の常連Fさんの手を使うことである。以前からこの手は気になっていた。私はホント、無駄に飲酒しているわけではないな、と改めて思うのであった。
※世田谷文学館にて展示中
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