写真という物は無い物は撮れないということに、一応なっている。私の場合、被写体を自分で作っているので、被写体が完成しないと撮れない。というわけで、昨晩から寝ていない。早朝になって聴こえ出した深川の祭りの音を聴きながら続ける。深川は正調の“ワッショイ”に統一されているから気持ちが良い。田舎の麦踏みみたいな妙なビートは願い下げである。せっかくの本祭り。数十分程カメラを持って出かけ、このままでは寝てしまいそうなのでエドガー・ポーのマントの続き。 午後、鵜の木の『Hasu no hana』へ。来月写真の古典技法の4人展をがある。それにさきがけ企画者の田村写真の田村さんの提案で、萩谷剛さんを交え、古典技法に関しての雑談をカメラに収め、いずれユーチューブにアップするという。 私がオイルプリントで最初に個展をやった2000年頃、この作品はどうやって作られた物か、ある程度説明して、ようやく来廊者の眼に灯が点る。というのを嫌という程経験した。今の常識からすると確かに写真というより版画に近く、カテゴリーに収まらない部分が落ち着かなかったのであろう。画廊のオーナーにまで会期中判らないといわれ続ける始末であった。 以後会場で同じセリフを繰り返すことに辟易し、制作行程をプリントアウトしたものを置いておいた。今回もその必用があるだろうが、なにしろ他の三人が『ブロムオイル』『ヴァンダイク・ブラウン』『雑巾がけ』である。来ていただく方もすでに覚悟を持って来られるであろうから気は楽である。
※世田谷文学館にて展示中
過去の雑記
HOME