今週中に3体完成するだろう。それを撮影し、ネガを作り、数年振りにオイルプリントの新作となる予定である。オイルプリントは、そのままであればモノクロームである。大正15年の資料に、オイルプリントによるカラーは前例がない、とあったので、この時点で無かったということは、オイルはブロムオイルに取って代わられ廃れて行ったので、その後もないだろう、ならば私が、と版画用プレス機を入手し、4色の分解ネガを使って転写し、天然色オイルプリントを試みたが、これをまともにやろうとしたら大変なことになる。ここまでやる必用は今の時点ではないだろう、と一先ず封印した。 数年振りになるオイルプリントは、私としては久しぶりのモノクローム作品になる。人形の撮影は、初期の頃はモノクロ専門であった。質感もさることながら塗装した色、というのはリアル感を損ねるので、モノクロの方がリアルに見える。また見る側の想像力を喚起する、というモノクロームならではの利点がある。 写真の名作とされている作品にはむしろモノクロームが多いだろう。しかし、それはあらかじめ色の着いた既存の世界を撮っているからモノクロで撮ろう、というわけで、仮に世界を自分で着彩していたとしたら。つまり被写体の山や花や人物に、自分で色を塗っていたなら、できればカラーで撮りたい、というのが人情であろう。私がカラーで撮るのは単にそういった理由による。
《天然色オイルプリントの習作》
※世田谷文学館にて展示中
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