かつて噛みつきによる流血試合で日本中を戦慄させたレスラー、フレッド・ブラッシーはいった。“オレの邪魔をするヤツはどんなヤツでも噛み殺す。たとえそれがオレのお袋でもな” お袋でもな、といわれても欧米ならともかく、今ひとつ怖さが伝わって来ない。しかし今日の私に部屋を片付けろ、という奴がいたらどういう目にあったか判らない。 本日ようやくヨダレを垂らさんばかりにエドガー・ポーの制作に集中した。何ヶ月もかけて作った面倒な頭部を用意し、いざ作ろうと思ったら部屋の片付け。と思ったら芯材が出て来ない、と快感を増すために我慢をしいられたような2日であった。そしてここが肝心なのだが、手が離せない時に限ってどうでもよい長電話をかけてくる母が、85歳の誕生日に飛行機に乗って4泊5日で祖父の故郷広島に、一人で出かけていった。出かける前はこれが最後になる、と殊勝なことをいっていたが、私が制作を開始した途端、電話があり、はしゃいだ様子で親戚が10人も集まってくれて来年も来たいという。母がお世話になっている、会ったこともない親戚に心を込めて礼をいった。 葛飾にいようと広島にいようと同じである。その後携帯の電源を切ったのはいうまでもない。
※世田谷文学館にて展示中
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