明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



高校生の時に体験した奇妙な話。 学校は違うが近所の幼なじみ4人が試験の前に勉強と称していつも集まった。といっても勉強はそこそこに、タバコを吸ったりウイスキーを舐めたりしながら馬鹿話で朝まで過ごす。集まる家はメンバーの実家の肉屋が、包装用のトレイが入ったボール箱を保管する倉庫としていた木造二階建ての家で、二階に従業員の女性が一人。外階段しかない。一階はトイレに台所、壁を取っ払い、柱だけの二部屋に奥に外階段のために天井が斜めになった3畳ほどの部屋。犬や猫のグラビヤ写真が壁にベタベタ貼ってある。その家は以前、我々も知っている3学年下の男の子の一家が住んでおり、その子は小学生時代に既に亡くなっていたが、その子の部屋であろう。 馬鹿話にも飽きて鬼ごっこでもしよう、ということになった。段ボール箱を奥の3畳間ともう一部屋に3段に積んで、その中に潜り込もう、ということになった。 しばらくして最後の一人という時、ボソボソと声がする。おかげでそいつも見つかってしまう。段ボール箱の間から現れた彼が怪訝な様子で「あれっ?段ボールの向こうに誰かいたろ?」「いるわけないだろ、なにやってんだよ」。そいつは「噓だろ?」と信じない。そこで段ボール箱をどかしてみたら、奥の3畳間から彼のいた段ボールを隔てた所まで、誰かが這いながら移動したようにトンネル状に暗い道ができていた。それを覗きこんだ我々は、いくらか明るくなり始めたなか、一目散にそれぞれの家に逃げ帰った。

タウン誌深川 常連席にて日が暮れる

アートスケープ 展評『深川の人形作家 石塚公昭の世界』

HP



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