実に私の悪い癖なのだが、早く仕上げれば良い物を、他のことをやったりして、自分を焦らして快感を増幅させようとする。ジッと閉じこもって時間をかけて何かを作ろうというのだからマゾヒステイックな性分は否定できない。高座上の圓朝、浮ぶヒトダマを見つめる圓朝、寄席の前に立つ圓朝、など、完成後に写真作品としてやりようがあるだけに、そう簡単にごちそうにかぶりつくのも。 牡丹柄の振り袖を持っている人がいる。さっそく武家の娘の帯の結び方を調べる。寄席の前で、牡丹灯籠を持つお露とすれ違う圓朝はどうであろう。いや圓朝と明治期の寄席で充分。お露との共演は別のシチュエ一ションにした方が良いのか。そんなことを考えている間に結膜炎が良くなれば。 怪談映画や怪談噺に使われる布や真綿に焼酎のヒトダマは納得ができない。明日は筆とスケッチブックと墨汁を買ってヒトダマを沢山描こうと思う。なんて馬鹿々しい。こんなことをやらせていただけるのも圓朝師匠のおかげです。
タウン誌深川 常連席にて日が暮れる
アートスケープ 展評『深川の人形作家 石塚公昭の世界』
HP