明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



圓朝は首に多少の遊びがあり、前後も左右もわずかに振れる。左右などは橋幸夫ほどにも振れないが、この微妙な角度で表情が変わる。動きは最小にとどめたほうが、微妙な腹の中の景色を表せる。と思う。誰が見てもこういう状態だ、と作ると見る場合の解釈、想像の余地を奪うことになる。明日には仕上げを終わり、扇子、湯呑を作りたい。その後、着彩、羽織の紐を作る。色は無難に鏑木清方の圓朝像を参考にしたい。 以前、小津安二郎を作った時、どうみてもお洒落な小津の着衣の色に悩んでいた。絶対、これはしなかった、というようなことが有りそうだったからだ。たまたま近所の文化センターに、当時のプロデューサーと、もう亡くなられた小津の弟の奥さんである小津はまさんが見えたので、小津の首を持って伺い訊いたところ、「グレーの色違いで間違いなし」。とキッパリ。おかげで小津を良く知る人々に、少なくとも着衣の色に関しては後々まで笑われることは避けられたわけである。江戸時代に無かった洲崎遊郭を舞台に小説を書いてしまっては、たとえ名作であっても色は褪せる。 本日もあくび一つ出ず。ここのところの眠さの原因は私の体調もあろうが、大方はウチに居る“砂はかけないけど婆ぁ”のせいであることは間違いないようである。

タウン誌深川 常連席にて日が暮れる

アートスケープ 展評『深川の人形作家 石塚公昭の世界』

HP



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