明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



約四十年前、コタツの上で制作し、寝ていた。それは長く続いたが、独学かつ自己流の私は、何か変だが、どうして良いか判らない、という悪夢を良く見た。横着にもコタツから出ず、離れて眺めチェックすることもしない。またここで虎渓三笑のミスをしばしば起こした。回転台の上で作るのだが、前面を作っていて集中してしまい、気が付いたら前面が殆ど出来て、後ろ半分が手付かずで慌てて後ろ半分を作った。ひどい話であるが、これが後年、写真を撮る際に功を奏す。 一眼であるカメラの視点で初めて成立する撮影専用の造形をした。勿論写らない所は作らない。そうでないと得られない効果がある。また、制作時間がなく、造形と撮影の二刀流に乗じて写る所しか作らずに済ました。それは数°たりとも動かせないほど冷酷に写らない所は作らない。お陰で展示ができない被写体が増えてしまった。2016年、深川江戸資料館における『深川の人形作家石塚公昭の世界』に展示出来る作品は全て出品しようと、急遽後ろ半分を作り足したが、爪の先ほどの問題も生ぜず。 独学者が集中し過ぎて身に付けた特殊な手法。密室内の出来事は決してよそで口にしてはならない。



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