明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



 

 

 

拳を握るようにして作るのを我慢した『一休和尚酔臥図』。我慢しているだけで昨日は終わってしまった。小学生じゃないのだから、と思っていたが、結局我慢出来ず、先に酔い潰れる一休を作ることにした。昔から自分を焦らし、盛り上がりと集中力を高める、という癖があったが、3年ぶりに婚約者に対するが如くに一休に向かうことにした。枕にすべき髑髏はすでにある。 ところが1300年頃の正月の京の街で酔い潰れるのは、ちっとやそっとのことではないだろう。ムシロだかコモでもかけていないと凍死しかねない。身体が隠れてしまい、作り甲斐にかけるな、と少々がっかりする。しかし英一蝶の『一休和尚酔臥図』は横で心配そうに見ている町人こそ面白いものの、一休はただ地べたて寝ている。せっかくしゃれこうべ掲げて歩く一休を作るのであるから、其の二としてその晩の有様にした方が面白い。仕方がない一休はムシロに埋めることにしよう。そういえば、やはり小学生の頃読んだキュリー夫人の伝記に、研究室が寒くて、机を身体の上に乗せて寝た、という話を読んだ。しかし、重い物を乗せて寒さを紛らわせていることが判らないだろう。



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