明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



この間、夜中に寝ていて、突然胃液が上がって来る、という異変が起きた。七百数十年前に渡来した僧を作ったが、通常であれば、その生い立ちから調べ、作家なら作品を読むのだが、私には何が書いてあるのかわからない文献ばかりで、今までのようにはいかなかった。最低限ここまでは触れておきたい、というところに達していないせいで、あんなことになったのだろう。頭ではそこまで意識しているつもりはなかったが、ヘソ下三寸のもう一人の私が、頭で思っている以上に気にしていたらしい。いつもは一方的にけしかけるくせに、案外ナイーブである。単に警告だったか、スッキリしてすぐ寝たが。そうこうして資料が一冊届いた。これがあれば、胃液の逆流だけは避けられそうである。 しかしものは考えようで、40年以上やってきて、胃液を吐くようなモチーフに出会う、というのは幸せかもしれない。と、しおらしいことをいいながら、本音は吐いた胃液の分量以上の快感物質を溢れさせずに済ます訳にはいかない。

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