アメリカ南部の田舎町にあるレストランでジェナはウェイトレスとして働く。おいしいパイを作れることで評判だが、夫のアールに束縛され、息の詰まる生活を送っている。離婚も考えようとしていたとき、妊娠していることがわかり、病院を訪れる。そこで、産婦人科医のポマターと出会い、人生が大きく動き出す。
ジェナに寄り添うのは同僚ウェイトレスのベッキーとドーン。
ドーンは人見知りでオタクだが、彼女もまた一歩を踏み出そうとしている。姉御肌で年長のベッキーもまた、夫の介護に時間をさかれつつも、新たに自分の時間を作ろうとしていた。
アメリカ映画『ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた』(2007年)をベースに製作されたブロードウェイミュージカルの日本版。
2016年3月にブロードウェイで上演されて大盛況。女性の心をつかみ、圧倒的な支持を得た今作である。
高畑充希は映像での芝居も器用にやりこなすが、ご存知のとおり歌がうまく、高音が綺麗。そもそも地声に揺らぎというか、
ビブラートが効いているような気もするので、小柄ながらもソロパートでも圧巻。美声を轟かせる
ミュージカルが主戦場なのだと実感した。
そして、同僚ウェイトレスのベッキー・浦嶋りんこ(LiLiCoとダブルキャスト)とドーンを演じる宮澤エマとのバランスも絶妙で、みんなが実力派。
そのことも落ち着いて観られる要素である。
また、音楽番組「おげんさんといっしょ」で高畑充希と共演する宮野真守がジェナと不倫関係に陥る産婦人科医ポマターを演じており、この二人の息の合った呼吸にも注目。
さらに、おばたのお兄さんも登場するのだが、意外とと言えば失礼だが頑張っていて、何と言ってもその身体能力を生かしたダンスはさすが!とうなってしまう。
出演はほかに、レストランの店長カルを勝矢、オーナーのジョーを佐藤正宏が演じている。
東京、福岡での公演を経て、4月15日~19日まで大阪。4月29日~5月2日は愛知・御園座での公演となっている。
★追伸
高畑充希氏はこの作品のジェナ役において、菊田一夫演劇賞を受賞した(4月20日のニュースより)。