原作は『弱くても勝てます 開成高校野球部のセオリー』や『ご先祖様はどちら様』などで知られるノンフィクション作家・高橋秀実の同名エッセー。
映画『舟を編む』で第37回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した渡辺謙作がその原作にアレンジを加え脚本化し、監督もつとめた。
主題歌はLittle Gree Monstarの「magic!」「生きなくちゃ」の2曲。
大学で哲学を教える小鳥遊雄司(たかなしゆうじ)は、泳ぐことができない。いつも理屈ばかりつけて”水”を人生から遠ざけてきたが、ある日
何気なく見たポスターに誘われ、スイミングスクールの訪れる。そこで、出迎えたコーチ薄原静香(うすはらしずか)に、あれよあれよと言う間に
入会させられてしまう。女性グループに男性一人。顔を水につけられない小鳥遊は女性軍にからかわれながら、ジタバタしながらも少しずつ
泳ぎ方を身につけていく。
そして、小鳥遊は泳ぎながら元妻(麻生久美子)との過去の出来事とも向き合うことになる。
コーチの薄原は交通事故でリハビリをした経験があり、極度に道を行き交う車を怖がる。”リハビリ”とは”再生”の意味を持つ。この言葉と意味
も小鳥遊の背中を押す。
ここまできたのは一人ではなかった。薄原から投げかけられた水泳と人生の違い。
水泳は一人でやるもの
人生はみんなでやるもの
これもまた、再生のメッセージとなる。
理屈屋の小鳥遊雄司を演じるのは長谷川博己、薄原静香は綾瀬はるかが演じる。この二人は大河ドラマ「八重の桜」で夫婦役だったので、息は
ぴったり。小鳥遊の元妻は麻生久美子がつとめているが、関西言葉を終始使っているのが新鮮である。
ほかに、阿部純子、伊佐山ひろ子、広岡由里子、占部房子、上原奈美、小林薫など。
この作品は東京テアトル、リトルモアの製作で去年大ヒットした『花束みたいな恋をした』と同じ。大作の位置にはないが、ゆっくり観たい。