全世界累計発行部数1000万部を突破した「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリ
ーズ。2013年に刊行された廣崎玲子作、jyajyaの絵による大ヒットシリーズ
は、子どもたちの心を動かし現在も大人気継続刊行中である。
新米教師の等々力小太郎(大橋和也)は、赴任した小学校でふしぎな駄菓子屋
の噂を生徒たちから聞く。その店の名は「銭天堂」。生徒によると、ものまね
がうまくなったり、テストの点数が上がっているという。
店を訪れると店主の紅子(天海祐希)がいて、ぴったりのお菓子を選んでくれ
るという。ただ、食べ方や使い方を間違えると大変なことになる。やがて、小
太郎が片思いをする友人・陽子(伊原六花)までもが銭天堂で買った駄菓子を
食べてしまうが、人に認められたいというその思いが暴走する。
小太郎は密かに銭天堂を探すが、別の店「たたりめ堂」の存在に気づく。その
店には、不気味に笑う店主・よどみ(上白石萌音)がいた。人の恨みや嫉妬
を好物にしていた。
願いがかなう駄菓子を手に入れ、願いが叶ったとしてもそれはある意味一瞬だ
けのこと。それをどう継続するのかは、結局は自分次第である。駄菓子はきっ
かけでしかないということをさりげなく示す物語。
令和の子どもたちが訪れる昭和感あふれる駄菓子屋。そのお菓子のネーミング
のおもしろさとわかりやすさにクスクスする。
天海祐希は恰幅良い装い。言葉も「ござんす」口調でいつもとは違う役柄だ。
一方、上白石萌音はラストに名前が出るエンドロール。この映画では、バラエ
ティでよく使われる上“黒”石萌音が満載の出演。かわいさも、けなげさも一切
なし。
この役柄に上白石萌音をキャスティングした人は、黒い部分をよくわかってい
るなあと思う。映画の中では、どのように紅子さんにやっつけられ、退場とな
るのかお楽しみに。少しホラーさもあるのだが、監督が中田秀夫だからかもし
れない。
そして、主演はこの人ではないかというほど奮闘していた大橋和也に注目
を、、、と書くまでもなく出番が多い。
当方は原作は未読。以前の職場に置いてあり、おもしろいから読んでと勧めら
れていたのに、読まないままだった。映画化されると聞き、ちょっと後悔。
が、映画は映画として十分に楽しめるのでぜひ。映画を観て気になる人は原作
を手にしてもいい。