帆∞翼(セイル バイ ウイング) -太陽そして風と供に- 

海・南風・そして何より”真夏の太陽”が大好きな翔です。

「よろしく!」  

ゴールド

2014年10月10日 | ど下手な 詩集やエッセイ等

 

Photo: http://normantour.exblog.jp/m2011-09-01/

 

 

「ゴールド」

立ちこめる朝霧の中を歩く、 目の前に広がるは一面のゴールド。

朝の太陽はあらゆる物を輝かせ、それが痛いほど瞳を貫きつつ、時間を停めてしまう。

 

左の手のひらを広げ、霧を掴んでみる。

同時に、右手の指先で立木の葉に触れてみる。

 

滑って転げ落ちる滴が指先に冷たい感覚を与え、もう一方は指先からスルリと逃げていく空気。

繋がるようでいて、僕を介して接続できないこの二つは、やがて空に昇り雨となって大地に降り注ぐ。

 

いつぞやのそれはとても暖かく、 雷鳴を轟かせ、虹を演出しながら僕を洗い流していた。

傘を忘れて、 たったそれだけで泣いていたんだよね、純粋で弱虫だった・・・・

 

そんな時、「君はまだ知らないことが多いね」と 優しい笑顔を見せながら消えていく積乱雲。

緑から始まる季節の変化は、嵐の訪れを重ねるたびに深くなり、黄から赤へ、そして大地の色になって地中へ溶け込んでいく。

 

目の前に広がる金色が尚一層輝いて周りが見えない、ただ、それに包まれる事に微塵の不快さはない。 清々しいくらいだ。

あと1時間もすれば景色はいつもと同じになり、時計はまた正確な時を刻みはじめる。

 

ほんのわずかな時間に起きる変化の中に身を浸すという事、そしてそれをどれだけ幸せに受け取れるか?

知らないことを知る素晴らしさとは、

そう、あのときの積乱雲が僕に教えてくれたことだ・・・・

 

少しだけずり落ちたバックパックのショルダーベルトを握ると、「ありがとう」と一言だけつぶやき、再び歩き出す。

あの日、雨に打たれていた少年の心のままに・・・・

 

詩  BY  翔