なぎのあとさき

日記です。

サックス先生の本

2019年03月07日 | 読書メモ


3月はじめの週。

庭の沈丁花が満開で、空気は甘い匂い。
クリローも次々咲いて、枯れてた庭が正気を取り戻してる。
月曜と、水曜夜は雨。一雨ごとに緑が増える。

にゃんこたちは変わりなし。
このところ毎朝、ビーが肩から顔の上にいて、肩が痛くて、鼻と口はビーのあごでふさがれて目が覚める。
メルカゾールを減らしてから、ちょっと大声で鳴くようになってはいるけど、本人がつらそうなことはないし下痢もないから、このままでいいと思う。

--------

サックス先生の本が隅々まで面白い。訳注まで読みごたえ充分。今年はたくさん本を読み、メモっていこうと思う。

「レナードの朝」
流行性の脳炎にかかった患者たちが、ある夏、特効薬とされていた薬で何十年かぶりに一時的に目覚めるが、その後、様々な副作用に見舞われる、症例がまとめてある。同じ病でも人によって症状が全然違っていて、病の過酷さ、人の脳の複雑さ、わからなさ、ふしぎさ、人間とはどういうものか、に近づいていく。
著者で神経科医のサックスは、医師としての腕前や洞察力、幅広い知性はもちろん、人間への敬意、愛情に溢れていて、魅力的。過酷な状況の中でこの人自身が救いだったように思える。
まだ半分くらい。

「色のない島へ」
こちらは、サックスがミクロネシアの島々に出かけ、一つの島内に多く発症する難病を調査する。私たちが見ると島はほとんど緑色だけど、色盲の島民たちは、同じ緑も光り具合、濃淡などで違って見える。視覚だけではなく、手触りや匂いなど、五官を使って考える。

人間への愛情と同じように、島の自然に対しても愛情があふれ、島の地形や生態系、歴史まで掘り下げていく。ダーウィンやメルヴィル、クック船長、コペルニクスにヴィトゲンシュタインなどなど、先人たちの足跡や言葉も織り交ぜて。やたら好まれるスパムと、太平洋の島の食人習慣の話も面白い。

グアムの一番美しいビーチは、スペインの宣教師や大戦時の日本兵に住民を虐殺されて占領されて、その後は米軍の基地になってもともとのチャモロ人は入ることもできない。
グアムは外来種のきのぼりヘビが鳥という鳥を食べて、鳥の声がしない。

グアムとロタの話は、ソテツの話で、ソテツには、脳神経を壊す毒素があるらしくて、日本に占領されて食べ物がソテツくらいしかなかったチャモロ人は、ソテツを食べて脳炎になった人が多くいた、けど、わかっていないことも多い。

調査の途中で釣りやシュノーケルに出かけるサックス先生。グアムでは一日の大半泳いでる、という女性と海に潜って珊瑚を眺める。大量のナマコすら、サックス先生は愛情をこめて見ている。ダーウィンですら、ナマコをディスってたけど。

ソテツは恐竜時代から生き残ってる植物で、ロタ島のソテツの森は人類誕生前の風景を感じることができるのに、日本人がゴルフ場を建設するため森を破壊してるそうで、、原生林がなくなると地下のリーフに酸性の雨が流れて珊瑚が死んで生態系が崩れてしまう。(ナマコの大発生は珊瑚の死と関係がある)
こんなの、大戦時の日本人とやってること変わらないじゃんね。
無知は罪だ。

コメント