5年で50億ドルアフガン支援政策決定に於ける「首相のイニシアチブ」、「官邸主導」の矛盾

2010-08-23 07:03:00 | Weblog

 《官邸にアフガン支援室設置へ 官房副長官が表明》asahi.com/2010年8月22日22時18分)

 福山官房副長官が22日のNHK番組「日曜討論」で、首相官邸に「アフガニスタン支援室」を今月内にも立ち上げる予定で設置する方針を明らかにしたという。

 アフガン復興に向けて政府は5年間で最大約50億ドルの支援を昨秋表明している。その具体策作りで、福山官房副長官が事務局長に就き、国際協力機構(JICA)などの専門家の意見も聞きながら、官邸主導で取り纏めを目指すとしている。

 福山官房副長官の「アフガニスタン支援室」設置の狙いについての発言――

 福山官房副長官「首相のイニシアチブで議論が始まっている。米国との協力関係をどう作っていくかの一つの行動だ」

 記事解説。

 〈政府内には、アフガン支援を通じて米国との連携を深めたいとの考えがあり、官邸がまとめ役になる必要があると判断した。 〉・・・・

 5年間で最大約50億ドルのアフガン復興に向けた支援を昨秋表明した。その具体策作りに向けた準備が「首相のイニシアチブで議論が始ま」って、「アフガニスタン支援室」を予定としては今月内に立ち上げ、「官邸がまとめ役」となって、いわば“官邸主導”で具体策作りに着手するということである。

 この5年間で最大約50億ドルのアフガン復興支援は自民党政権が「テロ対策特措法」と「新テロ対策特措法」に基づいて国際貢献として行ってきたインド洋での海上給油に民主党政権は野党時代から反対、政権獲得後の2010年1月15日に「新テロ対策特措法」が期限切れを迎えることから、これに代る国際貢献として国際治安支援部隊(ISAF)作戦本部への自衛官の派遣を考えていたが、連立を組む社民党の反対やアフガン本土の悪化する一方の治安上の理由等から見送ることを決め、鳩山政権が2009年11月10日に代打の代打として発表した2010年から5年間で最大約50億ドルの支援である。

 内訳は反政府勢力タリバン元兵士の社会復帰支援や農業支援、首都カブールの再開発、インフラ整備等を柱としている。

 鳩山首相は同じ日に早速カイザルアフガン大統領に電話を入れている。

 カイザル「支援を効果的に実施したい」(asahi.com

 ホルブルック特使(米国のアフガン・パキスタン担当)「米国にとって日本が最大の友人であることを確認する決定だ」(同asahi.com

 外務省幹部「国際社会が腰を抜かすぐらいの巨額支援だ」(同asahi.com

 国際社会が腰を抜かしても、アフガン復興に役立たなければ、相変わらずカネを出すしか能のない日本と笑われる。

 そして3日後の11月13日にオバマ米大統領が初来日、鳩山首相は大統領との会談の中で早速のこと、直に報告している。

 鳩山首相「アフガン支援では、テロの根源を断つという民政支援中心の支援が日本流の望ましい支援だと考えた」(asahi.com

 2010年から5年間で最大約50億ドルの「国際社会が腰を抜かすぐらいの巨額支援」は「テロの根源を断つ」目的と、当然その効果を持たせた支援だということである。

 だからこそ、「国際社会が腰を抜かすぐらいの巨額支援」を必要としたのだろう。

 2010年2010年4月の2010年度からの5年間だとしても、既に4カ月も経過している。給油支援に代る国際貢献策として計画した2009年11月からすると、10ヶ月近くになる。

 一向にテロの攻撃が沈静化せず、治安回復が遅々として進まない、却って悪化しているアフガンの待ったなしの現状を見た場合、「テロの根源を断つ」べく5年間で最大約50億ドルの支援を打ち出した以上、2010年4月から実施できるように前以て「アフガニスタン支援室」を設置、具体策を練り上げて、2010年4月1日を以って実行に移すべきを、「アフガニスタン支援室」を8月内に立ち上げる予定だ、「首相のイニシアチブで議論」を始めている、官邸主導だなどと言っている。

 急ぐべき政策でありながら、一つの政策を計画してから、政策の形にしていくまでのスピードがこれ程までに時間がかかるものなのだろうか。他の政策も似たようなスピードで決定していくのだろうか。

 確かに民主党政権は鳩山前首相から2010年6月8日に菅内閣に移行している。だが、このことは同じ政策を引き継いで実行しようとしていることと、日本にとっての重大な国際貢献と位置づけている点で何ら変更はないことからすると、政策決定遅滞の理由にはならない。

 いわば「首相のイニシアチブ」であろうと誰の「イニシアチブ」であろうと、実行段階での政策の有効性・無効性に関わる検証の議論はあったとしても、政策決定の「議論」は終わっていて、既に実行されているべき政策でありながら、そうはなっていない物事決定のスピードの遅さは勿論、そうはなっていない政策を今更ながらに「首相のイニシアチブで議論」を始めている、官邸主導だなどとするのは単にそう思わせる口先だけのゴマカシにしか思えない。

 大体が遅滞している政策決定を「首相のイニシアチブで議論が始まっている」とすること自体、「首相のイニシアチブ」は政策の計画段階にあって然るべきだから、菅首相の場合は政権を引き継いだ6月からあって然るべきだから、矛盾した状況設定となる。

 福山官房副長官は何事も官邸主導・政治主導で行われていて、決して官僚主導ではないこと、菅首相のリーダーシップの下政策が決定していることを印象づけようとしたのだろうが、わざわざ印象づけなれればならないこと自体が菅首相の指導力のなさを物語っている。指導力は第三者が印象づけるものではなく、発揮の主体自体が自らの実行力で印象づけなければならない能力だからだ。

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