飯島訪朝は私費なのか、公費なのか、公費なら許されない政府未公表に対してテレビで喋る怪

2013-07-09 05:22:02 | Weblog

 
 飯島勲内閣官房参与が北朝鮮を秘密裏に訪問したのは5月14日。秘密外交である以上、拉致問題についての話し合いだとは察しがつく。

 問題は北朝鮮側が招請したのか、日本側が何らかの成算があって訪問受け入れを要請、北朝鮮側が応じたのかであるが、安倍内閣が飯島訪朝を公表せず、秘密裏に北朝鮮入りを果たさせたにも関わらず、北朝鮮側がピョンヤン空港に降り立った飯島を自国メディアを使って大々的に報道、その時点で飯島訪朝が北朝鮮側の招請ではなく、安倍晋三がであろう、差し向けた秘密外交であったことが判明したが、同時に北朝鮮側の報道によって秘密外交そのものが破綻したことが証明された。

 判明しなかったのどのような成算に基づいた秘密の派遣だったかである。何しろ政府は肝心のことについて何ら公表していない。

 勿論、飯島訪朝以降も拉致問題で日朝間に何ら進展を見ていない。

 大体が政治というものは自らに都合のいいことは大々的に公表、宣伝するが、都合の悪いことは公表せずに隠しておくものだが、安倍晋三は特にその傾向が強いように思える。

 ところがである、政府が正式に何ら公表しないにもかかわらず、飯島自身はテレビに出て喋っている。

 私費で、自身の意志で訪朝したというなら許されるが、5月18日付「MSN産経」記事によると、5月18日午後に帰国し、菅官房長官に対して北朝鮮要人との会談で、(1)被害者の即時帰国(2)真相究明(3)実行犯の引き渡しを求めたことを報告したなっていて、報告を受けた菅官房長官が同日夜に視察先の大分県別府市滞在の安倍晋三に電話報告したというから、政府派遣の公費による訪朝であることが分かる。

 また、「毎日jp」記事によると、日本政府が5月19日に韓国政府に対して飯島訪朝の結果について報告していると伝えていることも、政府派遣の飯島訪朝であることを証明することになる。

 日本政府は韓国政府に対して拉致問題で目立った進展はなかったと説明したという。

 秘密外交を秘密外交でなくしたのだから、北朝鮮側に拉致問題を進展させる意志がなかったことを証明し、飯島訪朝が失敗だったことの証明ともなる。

 安倍晋三自身も5月20日参院決算委員会で自らの派遣であることを発言している。

 安倍晋三「拉致問題については、日本以外にも拉致被害者はいるわけでございますが、主に日本から多くの無辜の民が拉致をされているわけでございまして、安倍政権としては、何としても安倍政権のうちにこの問題を解決をする、こういう決意であります。しかし、残念ながら、もちろん米国を始め多くの国々は日本の立場を支持、理解をしておりますが、この問題は日本が主導的に解決をしなければ、残念ながらほかの国がやってくれるということはありません。

 そこで、外交には様々なこれは要素があるわけでございます。密接に連絡をしていくこともあれば、それは日本の判断として行うこともございます。そして、そこで韓国も米国もそれぞれ全てを我々に連絡をしてくれるわけでもないわけでございまして、そこはお互いに理解しながらやっていくわけでございまして、現段階では米国側も十分に理解をしていただいていると、このように確信をいたしております」――

 要するに米韓の報告なしに飯島を訪朝させたことを正当化し、正当化することによって、飯島訪朝が安倍晋三派遣の秘密外交であったことを明らかにしている。

 いわば飯島訪朝は私費による個人的スタンドプレーではなく、公費による政府派遣であった。

 飯島勲は5月21日午後、首相官邸に安倍晋三を訪ね、正式に訪朝報告をしている。

 翌日の5月22日になって菅官房長官が次のように発言している。

 菅官房長官「(飯島訪朝は)「私が判断し、首相の了解の下に訪朝していただいた」(YOMIURI ONLINE

 要するに失敗だったから、その責任が安倍晋三に及ばないように菅官房長官の発意としたのだろう。

 このことも安倍晋三の都合の悪いことは公表せずに隠しておくご都合主義の一つであるはずだ。成功していたなら、大々的に宣伝していただろう。

 飯島勲な7月5日夜、訪朝後初めてBSフジのテレビ番組に出演している。

 《拉致・核、参院選後に動き=訪朝の飯島内閣官房参与》時事ドットコム/2013/07/06-01:40)

 飯島勲「近い時期には横並び一線で全部解決する。動きだすのは遅くとも参院選の後。(9月下旬の)国連総会の前までには完全に見えてくる。

 訪朝に先立ち、拉致被害者の即時帰国、真相究明、実行犯の引き渡しを要求すると事前に伝えていた。

 (金永南最高人民会議常任委員長が会談に応じたことについて、拉致問題を)一気に解決する意志がある」(下線部分は解説文を会話体に直した)

 こういったことは私費による個人的な訪朝なら許される報告だが、安倍晋三派遣の公費を使った訪朝なのだから、テレビ番組に出て個人的に喋ることではなく、政府が記者会見で公式に発表する、国民に対する説明責任を負っているはずだ。

 特に「近い時期には横並び一線で全部解決する」ことが強く予想できるということなら尚更、政府が発表すべき内容であるはずだ。

 だが、依然として安倍内閣は正式な報告を公表していない。

 この7月5日夜の飯島テレビ発言に3日先立つ7月2日、「時事ドットコム」記事によると、北朝鮮はブルネイ首都バンダルスリブガワンで開催の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムで、北朝鮮政府広報担当官が拉致問題は「完全に解決済みだ」と発言している。

 また、上記飯島テレビ発言は日本政府が韓国政府に対して拉致問題で目立った進展はなかったと説明したこととも矛盾する。あれは拉致問題を進展させるためのカモフラージュでしたと後で言い訳が立つだろうか。

 あくまで秘密事項として報告したはずだ。

 もし飯島テレビ発言が事実でないとしたら、安倍晋三の秘密外交飯島訪朝を成功と見せかけて参院選を利する、なり振り構わないニセ情報ということになる。

 だから、動き出すのは参院選後とした?

 いずれにしても政府未公表に対する飯島勲のテレビ発言の怪としか言い様がない。

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