安倍晋三の「条件を呑まなければ首脳会談をやらないは正しくない」の中国批判はご都合主義の御託

2013-07-23 09:07:47 | Weblog

 安倍晋三が参院選投票日の7月21日(2013年)夜、日本テレビの番組に出演、日中関係と閣僚の靖国神社参拝、さらに自身の参拝について次のように発言したと次の記事が紹介している。《首相、中国を改めて批判 条件つき首脳会談「おかしい」》asahi.com/2013年7月21日23時5分)

 安倍晋三「問題があるからこそ対話をしていく必要性は高まっていく。対話のドアは開いていると申し上げている。中国側も対応していただきたい。こちら側が条件を呑まなければ首脳会談をやらない、という姿勢自体は少しおかしい。

 国のために戦った方々に敬意を表し、ご冥福をお祈りするのは当然のことで、外国からいろいろと指図される謂(いわ)れはないだろう。

 (自身の参拝は)外交問題に発展していく中に於いて、申し上げないという姿勢だ」――

 閣僚の参拝は「外国からいろいろと指図される謂れはないだろう」とは何と強気な。参議院選挙で自民党が大勝し、自公安定多数を獲ち取っただけあって、強気を通り越して、驕りが既に出てきたか。

 安倍晋三は7月3日(2013年)の日本記者クラブでの9党党首討論で、「靖国神社に眠っているのは国のために戦った兵士たちの魂で、戦争の目的や理念とは関係ない」と発言しているが、それは安倍晋三の都合であって、戦争をさせられ、植民地とされた国々にとっては戦争そのものを導き出した「目的や理念」を個別の問題にも当てはめていくゆえに戦死者に対しても「戦争の目的や理念」は常に関係してきて、単に魂の問題としてのみ取り扱うことはできないはずだ。

 何よりも問題なのは安倍晋三が靖国神社に祀ってある死者を「国のために戦った兵士たちの魂」だけと矮小化するゴマ化しが存在することである。

 A級戦犯と言われる戦争指導者たち、例え国内法的には犯罪人ではなくても、国外に於いては関係しないことであって、侵略戦争を仕掛け、韓国を始め、アジアの国々を植民地化していき、それがことごとく失敗して国内外に多くの死屍累々を招き、国内外の国土の破壊を招いき、国の進路を誤った指導者たちが祀ってあることについての言及はない。

 戦争指導者たちがそこに魂の形で眠っているとしても、戦争被害国から見た場合、その魂から果たして「戦争の目的や理念」まで剥ぎ取ることはできるだろうか。

 安倍晋三が靖国神社参拝について言っていることはご都合主義の歴史認識に過ぎない。

 安倍晋三は日中関係について、「こちら側が条件を呑まなければ首脳会談をやらない、という姿勢自体は少しおかしい」と中国の姿勢を批判しているが、自分がどれだけご都合主義の御託を並べ立てているか、その矛盾に気づいていない。

 だったら、安倍晋三も日本側の条件を提示することはやめるべきだ。例え条件を提示するだけで、その条件を呑むように要求しなくても、提示した段階でそれを呑むことを要求する形を取ることになる。

 そうでなければ、条件の提示は無意味となる。

 日本は常々中国に対して「尖閣諸島は日本固有の領土で領土問題は存在しない」という姿勢を取り、話し合いを拒んでいるが、「領土問題は存在しない」と主張すること自体、条件の提示に当たる。

 その条件は譲ることはできないと言うなら、中国側の「条件を呑まなければ首脳会談をやらない、という姿勢」にしても、中国側からしたら譲ることのできない条件ということであって、日中同じ態度を取っていることになり、批判する要件を失うことになる。

 日本側が提示した条件を中国側が呑まないことによって首脳会談が実現しない日本側の姿勢は問題とせず、中国側が提示した条件を日本側が呑まないことによって首脳会談が実現しない中国側の姿勢のみを批判するのは無能なご都合主義の御託以外の何ものでもない。

 一度ブログに用いたが、中国政府が6月中旬、日本側に首脳会談開催の条件を伝え、受け入れを求めたと、2013年7月2日付け「YOMIURI ONLINE」記事が伝えている。その条件とは――

 〈1〉日本政府が領土問題の存在を認める
 〈2〉日中双方が問題を「棚上げ」する

 この2条件は中国側の尖閣問題についての従来からの対日基本姿勢であって、日本側も承知していた内容であるはずである。
 
 中国側のこの条件提示に対して谷内(やち)内閣官房参与が6月17日、18日と中国を訪問、「日本政府として、認められない」と拒否の回答をしたという。

 拒否回答だけでは外交は成り立たない。訪中した谷内内閣官房参与が中国側の条件提示に対する日本側の見返りの条件提示を行ったことを2013年7月9日付け「47NEWS」が共同配信の記事で伝えている。

 〈1〉領土問題の存在は認めない
 〈2〉外交問題として扱う
 〈3〉中国が領有権を主張することは妨げない

 これらの条件は相互に矛盾する。この場合の外交問題は領土問題の存在を前提としなければ成り立たない。中国の領有権主張を可能とするためには領土問題存在の前提を必要とする。

 要するに〈2〉と〈3〉の条件を成立させるためには〈1〉の条件が障害となるゆえに取り下げなければならないにも関わらず、取り下げもせずに〈1〉を絶対条件として成立するはずもない〈2〉と〈3〉を提示する矛盾である。

 菅官房長官が7月9日の記者会見で、「提案した事実はない」と否定している。

 但し安倍晋三は7月に入ってから、中国が尖閣問題で力による現状変更を試みているとする批判をエスカレートさせている。単に参院選向けの外交能力誇示を目的とした批判だけではあるまい。中国側の「こちら側が条件を呑まなければ首脳会談をやらない、という姿勢自体」に対する苛立ちが誘発することとなった批判のエスカレートでもあるはずだ。

 菅官房長官の事実否定にも関わらず、もし中国側が2条件を提示したのみで呑むことを要求され、日本側が2条件に代わる見返りの条件を提示もせずに、「こちら側が条件を呑まなければ首脳会談をやらない、という姿勢自体は少しおかしい」と批判しているのだとしたら、安倍晋三の外交無能力を曝す証明としからない。

 もし日本側が中国側が提示した2条件を呑むことができないと拒否、それに代わる何らかの見返りの条件を提示したものの中国側が呑むことはできないと拒否したとしたら、相手の条件を呑まないという点に於いて同じことをしたことになり、既に触れたように安倍晋三の「こちら側が条件を呑まなければ」云々の中国批判は無能なご都合主義の御託そのものとなる。

 事情がどうであれ、相手国がある外交問題で進展がないのは相手国に問題があるにしても、相手国に対して有効な手を打つことができていない閉塞した状況をも示しているはずで、にも関わらず相手国を批判ばかりしているのは有効な手を打つことができない自らの閉塞状況を棚に上げることになり、卑怯な批判となりかねない。

 飯島訪朝についても、谷内内閣官房参与訪朝についても 谷内参与の後を追うようにして訪中した谷口内閣審議官の件についても安倍内閣が何ら公表していないのはいずれも失敗したか、何ら進展を見なかったかのどちらかであろう。

 当然、批判ばかりしてはいられないはずである。にも関わらず、批判をエスカレートさせている。外交関係を進展させることができるか否かが自己にかかっている外交能力であるなずなのに、批判することで却って外交関係の進展を阻害する逆行に意を止めない様子からは批判が自己の外交能力を正当化させる手段となっているような感しか窺うことができない。

 正当な根拠もなく「尖閣諸島は歴史的にも法的にも日本固有の領土である」と言っているわけではあるまい。正当な根拠があるからこそ言っているはずである。

 根拠があるなら、領土問題の存在を認めて、話し合いのテーブルに持ち出し、その正当な根拠を示して、尖閣諸島が日本の領土であることを主張、最終的に決着づければいい。

 話し合いが決裂したとしても、実効支配という有利な条件を握っているのだから、現状の変更は回避できる。

 中国周辺の外国を訪問して、力による領土・領海の一方的変更の反対、平和的解決を訴えるよりも、話し合いのテーブルで討議したすべての内容を情報として公開した方が遥かに説得力を持つはずだ。

 安倍晋三がそういった具体的方法を選択せずに口だけ勇ましいことを言っているのは自己の外交無能力を隠す犬の遠吠えとしか判断しようがない。

コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする