記事題名がそのまま伝えている。《富士山3連休の登山者 去年より6%減》(NHK NEWS WEB/2013年7月16日 4時47分)
山梨県側の吉田口登山道での登山者数であって、すべての登山道での増減ではないが、しかし6月26日の世界文化遺産登録後の初めての3連休で登山者が殺到するだろうと思っていたから、前年比6%減というのは予想外であった。
7月13日から7月15日午後6時までの3連休登山者は1万4350人。前年度は1万5265人で、915人減ったことになる。
土日と登山して、月曜日を休養日とすれば、疲れを仕事の平日に持ち越さずに済む13日土曜日の連休初日ですら、7157人と去年とほぼ同じだそうで、14日日曜日が5590人、去年より13ポイント程少なかったという。
〈また、山小屋に泊まらず夜通し山に登り、御来光を見るいわゆる「弾丸登山」とみられる登山者は連休前日の12日金曜日からの3日間で1921人と去年より20%ほど少なくな〉ったと書いている。
富士吉田市の説明によると、土曜日からのマイカー規制を今年は金曜日の午後5時からに早めたためではないかと分析しているそうだが、体力ある若者にとって世界遺産登録後の弾丸登山は記念として、あるいは勲章として好まれ、挑戦の対象となりやすいように思えるが、そうでもなかったということなのだろうか。
前年比減少の考え得る理由の一つは世界遺産登録後初の3連休ということで、登山者が殺到し、混雑すると予想、警戒して却って登山を敬遠したのではないかと疑うことができる。
もう一つ、世界遺産登録されたということで気が逸ったのか、7月1日の富士山山開きから最初の週末の7月6日までの間に前年以上に登山者が殺到したことが連休中の登山の先食いとなって、逆に連休中の登山者を減らしてしまったと考えることもできる。
尤も、山開き後の混雑をテレビ・新聞等で知って三連休中のなお一層の混雑を予想、上記理由と同じで、警戒して敬遠したという理由も重ねることができるかもしれない。
次の記事から7月初めの登山者数を見てみる。《遺産効果 早くも1万人超 最多更新の見方強まる》(山梨日日新聞/2013年07月07日)
この場合も山梨県側の吉田口登山道での把握で、6合目安全指導センター前を通過した登山者に対するカウントだそうだ。
山開きした7月1日から7月5日までの5日間の登山者は昨年の1.5倍。
7月6日は強風が吹き荒れる悪天候にも関わらず、午後10時現在の登山者数は5055人で、7月1日からの累計は1万人を突破。
昨年は山開き後最初の土曜日の登山者数は4690人、1万人を突破したのは1日遅れの7月7日。
7月1日~7月5日の登山者数は6672人。昨年同時期を2322人(53.4%)上回った。
この数字は夏山シーズン中の登山者数が過去最多の25万9658人となった2010年よりハイペースの推移だそうだ。
記事は、3連休となる来週以降はさらに登山者が増える可能性を予想している。
富士吉田市富士山課担当者「今夏は過去最多の登山者数になる可能性は大きい」
5合目「こみたけ売店」小佐野昇一社長「例年山開き直後の客足はよくないが、世界遺産効果なのか、観光客はとても多い」――
世界文化遺産登録が例年の山開き後の客足の悪さを補ったということなら、7月中旬の3連休はなお一層その傾向が出てよさそうなものだが、逆の傾向となった。
果たして先食いなのだろうか。混雑を予想して敬遠した危険性回避からの手控えなのだろうか。記事は、〈地元関係者の間では、世界遺産登録効果で今シーズンの登山者数は過去最多を更新するとの見方が強まっている。〉と解説している。富士登山など考えたことのない者の間でも、世界文化遺産登録を機に一度日本一高い富士山に登ってみようという気を起こすのが人間の情というものである。山開き後の例年を1.5倍を上回る登山者殺到が招いた先食いからの3連休中の登山者数の減少とは考えにくい。
山開き直後数日の混雑を知って、3連休中のなおの混雑を予想、警戒して敬遠する気持が働くというのも人間の情の一つとしてある。
より時間的余裕が取れる夏休みが高校生なら7月末から8月一杯、大学生なら8月9月の2カ月間、社会人なら8月中旬の1週間前後間近に控えていて、混雑回避から3連休から夏休みに回したとしたら、夏休みがより混雑するとしても、休養日を数日用意できて時間的余裕を持つことができることに変りはなく、却って混雑の危険性回避の分散に役立つ。
富士山の間近の世界文化遺産登録にも関わらず、7月3連休の富士山登山者が前年比で減少したことを予想される混雑の危険性回避の心理が働いたと把えて、参院選で自民党が大勝、大量議席獲得した場合の危険性にも当てはめるべき回避意識ではないだろうかと有権者に訴えた立候補者は一人でもいたのだろうか。
大量議席獲得による怖い物なしの心理に囚われてかつての自民党の驕り、暴走の復活、あるいはかつてお得意としてきた地元利益誘導政治のDNAの復活、財政のムダを生んだ土建政治のDNAの覚醒等々、十分に考え得る危険性に対する回避の心理を有権者は働かせるべきだと。
例えば自公政権は震災被災地の復興事業で資材や工事の人材が集中、資材と人件費の高騰と人作業員不足を招いているにも関わらず、防災・減災の名のもとに大量の公共事業を復活、全国に広げているが、資材と人件費の高騰と人作業員不足を全国に広げることになって、このことが被災地と全国共々に影響し合って工事の受注希望の業者がなく、入札が成立しない「入札不調」が被災地の場合は前年度比1.6倍、北海道では今年度の3カ月間は昨年同時期と比較して約2倍の「入札不調」(2013年7月9日付「NHK NEWS WEB」)となっていて、全国的に拡大している可能性を指摘している。
被災地の公共工事は不可欠だろう。だが、工事が集中することによって資材と人件費の高騰と人作業員不足を招いている状況下で被災地以外の公共工事を選挙の票になるからと言って計画もなく無闇に増やせば、国の財政の負担を招く。
かつて来た自民党土建政治への逆戻りである。
こういったことになりかねないことを前以て予測し、自民党に驕らせず、暴走させずの程々の謙虚さを持たせる危険性回避策として、有権者は大量議席獲得だけは阻止する心理を働かせた方が懸命と言うべきではないだろうか。