《生活の党PR》
《3月3日鈴木代表代行・幹事長記者会見》
【質疑要旨】
石垣市長選挙結果について
ウクライナ情勢、ロシアの軍事介入について
《3月5日(水) 河野談話検証、集団的自衛権憲法解釈変更に関する鈴木代表代行・幹事長談話》
3月5日のブログでプーチン・ロシアのウクライナの領土と主権と国民を分断・侵害するクリミア軍事制圧に対する安倍晋三の外交対応が自身が掲げる積極的平和主義外交の正体が一国平和主義であることを露呈させたものだと書いたが、今度は横並び主義の日和見主義外交であることを露呈させた。
《【ウクライナ情勢】首相、対応は「NSCで戦略的に決定する」》(MSN産経/2014.3.5 12:02)
3月5日午前参院予算委員会。ウクライナ情勢をめぐる政府対応について。
安倍晋三「国家安全保障会議 (NSC)で、東アジアへの影響、日米同盟や日EUなどの観点のほか、ロシアとは隣国でもあるから日露関係も総合的に勘案し、わが国の立場を戦略的に決めている。
連日、谷内正太郎国家安全保障局長が関連省庁幹部から情報収集し、対応の検討をしている。国家安全保障局を中心に事態の推移を注視し、適切に対応する。
(冬季パラリンピック開会式などへの政府関係者の出席に関して)原則として、五輪やパラリンピックに政治状況を持ち込むのは慎重でなければならない。オーストリアやドイツは政府要人が出席することにしており、そうしたことを慎重に見極めて検討したい」 ――
ご都合主義満載の発言となっている。
先ず、プーチン・ロシアのクリミア軍事制圧・軍事支配がウクライナの領土と主権と国民を分断・侵害する国際法違反だとの認識を一切欠いた発言でしかない。プーチンがモスクワ郊外で記者会見してクリミアの軍事制圧を認めたのは3月4日である。
既にプーチン・ロシアのクリミア制圧に向けた軍事行動が回避不可能な状況になっていた同じ日の3月 4日、菅官房長官が記者会見している。
菅官房長官「武力行使そのものを回避し、国際法の完全な順守、 ウクライナの主権と領土の一体性を尊重することを強く求める」(MSN産経)――
「MSN産経」記事はご丁寧にも、〈日本政府として 「武力行使の回避」を求めたのは初めて。〉 と解説している。
プーチン・ロシアの軍事行動が不可避な状況となってからの“武力行使回避”、“国際法完全順守”、“ウクライナの主権と領土一体性尊重”の要請なのだから、その熱意の程を窺うことができる。
だとしても、安倍政権は上記3項目の要請を口にした。
そしてそれら3項目すべてをプーチン・ロシアは無視した。
だとしたら、安倍政権の要請に対するプーチン・ロシアの無視を前提とした安倍晋三の3月5日午前参院予算委員会の国会答弁でなければならないはずだ。
だが、プーチン・ロシアのクリミア軍事制圧・軍事支配がウクライナの領土と主権と国民を分断・侵害する、いわばそれらの一体性を毀損する国際法違反であることを前提とした発言とはならなかった。
口にしたのは国際法違反であるという原理・原則ではなく、「東アジアへの影響」と、「日 同盟や日EUなどの観点」、隣国としての「日露関係」への配慮である。
いわばウクライナの領土と主権と国民分断・侵害は国際法違反であるという原理・原則を判断基準とするのではなく、後者3項目を判断基準とした日本の立場の決定――と言うよりも、安倍晋三の立場の決定としている。
この倒錯的な基準は日露関係を隣国と価値づけているところに象徴的に現れている。隣国がどのような国際法違反を侵そうと、隣国であることを基準に国際法違反を「勘案」するとしている倒錯性である。
中国も日本の隣国である。安倍晋三が常々批判している、中国の 「力による現状変更の試み」にしても、中国が隣国であることを基準にして「勘案」しなければならないはずだが、こちらの隣国に対しては「勘案」なしとなっている。
明らかに二重基準を為している。最初に安倍国会答弁をご都合主義満載だと書いたのは、国際法違反に対して原理・原則を持たないばかりか、ロシア のみを隣国特別待遇としている点にもある。
またプーチン・ロシアを「隣国」とする、その価値づけの比較対象国は、安倍晋三の単細胞な頭には入れていなかったかもしれないが、当然、ウクライナということになる。
要するに単細胞安倍晋三は隣国ではない、遠国であることを以ってウクライナを「勘案」 の対象から外したことになる。この「勘案」の対象外は同時にウクライナのプーチン・ロシアによる国際法違反の領土と主権と国民分断・侵害を対象外としたことを意味する。
このこともご都合主義のうちに入る。
ここまで見てくると、プーチン・ロシアのウクライナの領土と主権と国民分断・侵害の国際法違反に対する安倍晋三による日本の立場の戦略的決定は原則・原則なきご都合主義によって成り立たせていることになる。
最後に冬季パラリンピック開会式などへの政府関係者の出席問題である。安倍晋三は「原則として、五輪やパラリンピックに政治状況を持ち込むのは慎重でなければならない」と言っている。
尤もらしく聞こえるが、国際法違反を侵して他国の領土と主権と国民を分断・侵害するプーチン・ロシアにオリンピックを開催する資格があるだろうか。《オリンピック憲章》「オリンピズムの根本原則」の2は、次のように記述している。
〈オリンピズムの目標は、スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てることにあり、その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある。〉――
「人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会」の推進に適うオリンピックの祭典こそがオリンピズム(オリンピック精神)だとする宣言であろう。
そもそもからして性同一性障害者差別や政府批判者弾圧等の権行為によって「人類の調和」を阻害し、「平和な社会」を脅かすプーチン・ロシアにはオリンピックを開催する資格はなかった。
そして今回のクリミア軍事制圧によってプーチン・ロシアが「人類の調和」や「平和な社会」をキーワードとするオリンピズム(オリンピック精神)を体現していないことが明確となった。
政治・外交の思想であろうと、オリンピズム(オリンピック精神)と相互対応した原理・原則を欠かすことはできないということである。
安倍晋三はこのことに関する認識が一片もないどころか、「オーストリアやドイツは政府要人が出席することにしており、そうしたことを慎重に見極めて検討したい」と、他国の動向に追随する姿勢を基準としている。
このような姿勢を原則・原則なき横並び主義の日和見主義外交と言わずに何と表現することができるだろうか。
安倍晋三のこの手の原則・原則なきご都合主義・横並び主義の日和見主義外交にしても、基本は一国平和主義を土壌としているはずで、これが安倍積極平和主義外交の正体だと、やはり言わざるを得ない。
この程度の日本の立場の戦略的決定に過ぎない。
日本がウクライナと同様の境遇に立たされたとき(尖閣諸島の領有権を中国と争っている以上、決してないと断定はできない)、今回の安倍外交と同様の原理・原則なきご都合主義・横並び主義の日和見主義的な一国平和主義の外国が現れたとしても、日本は異議申立てをする資格を早くも失っていることを示す。