先ずトルコのエルドアン首相が安倍晋三のお友達であることを記す。2013年5月4日、安倍晋三はトルコを訪問、エルドアン首相と首脳会談を行い、経済関係強化や科学技術分野の協力を謳った。
そして5カ月経っただけの2013年10月30日、安倍晋三は再びトルコを訪問。エルドアン首相と首脳会談を行い、経済関係強化や科学技術分野の協力を謳った。
5カ月経ったばかりであるし、急を要する課題を抱えていたわけではないから、中身は変わり映えのしない訪問であったはずだ。
トルコ・イスタンブールと日本・東京はスペイン・マドリードを加えて2020年オリンピック候補都市として争っていた。最初の2013年5月4日の訪問時、安倍晋三はエルドアンに対して次のようなお願いをしている。
安倍晋三「イスタンブールが五つの輪を射止めたら、私は誰より先に『イスタンブール万歳』と言いたい。もし東京が五つの輪を射止めたら、誰よりも早く『万歳』と叫んで頂きたい」(MSN産経)――
エルドアン首相がどう答えたのかインターネット上を調べてみたが、見つけることができなかった。常識的には逆のことを言ったはずだ。
エルドアン首相「東京が五つの輪を射止めたら、私は誰より先に『東京万歳』と言いたい。もしインスタンブールが五つの輪を射止めたら、誰よりも早く『万歳』と叫んで頂きたい」・・・・
そして2013年9月7日のアルゼンチン・ブエノスアイレスのIOC総会は東京に決定を下した。安倍晋三はその翌日の2013年9月7日にフジテレビ「新報道2001」に出演。
安倍晋三「勝利が決まった瞬間にですね、トルコのエルドアン首相が駆けつけてきていただきまして、握手をして、そして、抱き合って、祝意を示していただきました。5月に2人で約束したことを、(エルドアン)首相が果たしていただきまして」(NAVER)――
固い抱擁の瞬間、その固さにも優る固い友情で結ばれたはずだ。
安倍晋三お友達のそのトルコ首相エルドアンがツイッターを遮断したという。国民の言論の自由を奪った。勿論、情報統制を目的としている。
エルドアンが任命した複数の閣僚がマネーロンダリング(資金洗浄)や金密輸の疑惑、あるいは国営銀行での汚職疑惑がかけられ、警察当局の捜査が行われていたが、エルドアンの家族にも捜査の手が及んだことで、エルドアン自身にも国民から疑惑の目が向けられて、ツイッター等のソーシャルメディアで批判や糾弾の声が広がっていたという。
国営銀行での汚職疑惑では3閣僚が辞任。そのうちの1人が首相は事情を知っており、辞任すべきだと述べたと「ロイター」は伝えている。
では、ツイッター遮断を次の記事からみてみる。
《トルコ政府がツイッター遮断》(NHK NEWS WEB/2014年3月21日 21 時41分)
トルコのエルドアン政権がインターネットのツイッター上で、首相自らの汚職への関与を指摘する投稿が広がるのを防ごうとツイッターを遮断する措置を取ったものの、逆に国の内外で反発が広がっているという。
記事が、〈政権批判の手段として重要な役割を果たしている。〉としているツイッターの遮断なのだから、火に油であるのは目に見えていたはずだが、安倍晋三と同様の単細胞らしい。
3月20日の西部ブルサでの演説。
エルドアン「ツイッターを根絶やしにする。国際社会が何と言おうが構わない」――
相当に頭に血を上らせている。
これはインターネットが存在しない時代の独裁者による情報遮断措置であった“焚書”に近い。
ツイッターを遮断したにも関わらず、投稿は続いているとして、次のような投稿を紹介している。
▽ツイッターのロゴマークになっている鳥がエルドアン首相に一斉にふんを落としている画像
▽イスタン ブールの空港で鳥が検査官に呼び止められ、「武器や麻薬、ツイッターは所持していないか」と質問される風刺画
この言論の自由の抑圧は安倍晋三が掲げる「自由や民主主義、人権、法の支配」に基づいた価値観政治に反するが、エルドアンがお友達である以上、批判の声を上げることはあるまい。
だが、まさしく現代の民主主義の時代に逆行する政治がどう行われようと、その逆行を国民は許すはずはなく、手段を見つけていつかは立ち上がるだろうから、ツイッター遮断は汚職疑惑を隠そうとする壮大なる臭い物に蓋でしかないだろう。
その臭い物が何であるかは国民に既に知られているのだから、いくら蓋をしようと、臭い匂いは漏れ続けて、臭い物自体(=汚職)を「根絶やし」にしなければ収まりはつかないはずだ。
このことに気づかないエルドアンのこの愚かしさが何となく安倍晋三の歴史認識等で見せている愚かしさに似ている。