安倍晋三のアメリカとEUの動きを様子見した「ウクライナの統一性、主権および領土の一体性」

2014-03-21 05:27:05 | Weblog



      《生活の党PR》

      《3月17日(月)、鈴木克昌代表代行・幹事長定例記者会見要旨》

      【質疑要旨】
      ・鹿児島県2区補欠選挙について  
      ・集団的自衛権について  
      ・拉致問題、横田夫妻の孫娘との面会について  
      ・国民投票法改正案協議について  
      ・小沢代表会見欠席について  
      ・小松一郎法制局長の言動に対する野党の対応について
   
      《畑生活の党総合政策会議議長「放送法改正案」民主党・結いの党・生活の党3党共同衆議院提出詳細》

 3月7日、オバマ大統領はクリミア自治共和国制圧に向けた軍の活動活発化を見せていたロシアに対して政府高官へのビザ発給制限などの制裁を発動した。このことを知らせる目的も含めていたのだろう、同3月7日、オバマ大統領の方からの申し込みによって正午から約40分間、安倍晋三と電話会談が行われた。

 どのような内容の電話会談だったのか、菅官房長官が同3月7日(金)午後記者会見で述べている。

 菅官房長官「ウクライナ情勢の改善のためのオバマ大統領の努力を支持している。 日本も情勢の早期改善を期待しているという趣旨を述べたということです」

 記者「努力を支持する中に制裁措置というものも含まれるのか」

 菅官房長官「全体としての努力への支持と私は受け止めました。一致したということはウクライナの主権と領土の一体性を尊重することが重要だという認識で一致したということで、G7の重要性を確認して、日米首脳が緊密に連携を取っていこうと。そして政治改革と経済改革の姿勢を確認をした、そういうことです」(首相官邸動画か ら)

 「ウクライナの主権と領土の一体性を尊重することが重要だという認識で一致」し、オバマ大統領のクリミア問題に発した対ロ外交の努力全体に対して支持したが、アメリカの対ロ制裁に直接的に支持を与えて日本が同調することはなかったということである。

 安倍晋三がオバマ大統領の対ロ制裁に同調しなかったのは大方のマスコミが伝えていたように北方四島返還交渉の問題があったからで、プーチンとの信頼関係を壊したくなかったからだろう。いわば「ウクライナの主権と領土の一体性」よりもプーチンとの信頼関係と北方四島返還交渉問題を優先させた。

 だが、「主権と領土の一体性」は尖閣諸島や北方四島問題と深く関わっている上に、安倍晋三が掲げている「地球儀を俯瞰する外交」に於ける重要な基礎の一つとしなければならないはずだ。

 また、「主権と領土の一体性」はこれも安倍晋三が掲げている「自由や民主主義、人権、法の支配」等の価値観に基づいた外交と表裏の関係にある。自他共に後者を守ることによって前者を守ることができる。前者は後者の尊重なくして成り立たない。

 いわば後者を無視することによって前者を損なうことが可能となる。

 安倍晋三がもし厳密に有言実行の人なら、外国の問題であっても、損なってはならない世界の原則として敏感に危機感を感じ取り、プーチン・ロシアに対してオバマ大統領やEU諸国首脳のように制裁の形で表すことになる強い阻止の意志が働いたはずだ。

 「NHK NEWS WEB」記事によると、3月16日にクリミアでロシアへの編入の是非を問う住民投票が実施されたことを受けて3月17日、オバマ大統領はロシア政府高官らの資産凍結と渡航禁止の第2弾目となる制裁発動に踏み切った。

 制裁対象はプーチンの補佐官ら側近やロシア議会上院の議長、ウクライナのヤヌコビッチ前大統領らを含む11人。

 そしてこれに歩調を合わせる形でEUが21人対象の制裁を発動。

 安倍政権はアメリカが第2段目の制裁発動を行った翌日の3月18日、査証(ビザ)発給要件緩和に関する協議停止の制裁と日ロ新投資協定等3つの協定締結交渉開始見合わせの措置を行った。

 アメリカとEUはそれぞれに対しても実害を与えない保証はない制裁発動に踏み切ったのに対して日本は日ロ双方に実害と言うことができる程の実害を与えないレベルの制裁にとどめた。

 いくら言葉で「主権と領土の一体性」を言おうと、それに対する危機感の差は歴然としている。

 3月19日の参院予算委員会でのロシアがウクライナ南部クリミア半島の編入を決めたことについての国会答弁。

 安倍晋三「ウクライナの統一性、主権および領土の一体性を侵害するものだ。(オランダ・ハーグでの3月24日先進7カ国(G7)首脳会合で)G7を含む各国と連携しながら、適切に対応したい」(時事ドットコム)――

 アメリカとEUの動きを様子見した、危機感がその程度の「ウクライナの統一性、主権および領土の一体性」となっている。

 オバマ米大統領は3月20日午前(日本時間3月21日未明)、第3弾目の追加制裁の動きに出た。《米、制裁対象に主要産業 ロシアは報復措置発動》日経電子版/2014/3/21 1:38)  

 オバマ米大統領がホワイトハウスで声明を読み上げ、ロシアがクリミア編入の既成事実化を進めた場合、ロシアの主要産業への制裁を可能にする大統領令に署名したと発表。

 制裁対象は一連の行動に関与したロシア政府高官ら20人と関連する銀行、さらにソチ・オリンピックに協力した一部のロシア企業の関係者。

 オバマ大統領声明「ウクライナでの違法な住民投票とクリミア編入について深く懸念している。新たな制裁で、ロシア経済だけでなく、世界経済も打撃を受ける恐れがある」――

 ロシアに対してだけではなく、アメリカやその他の国が実害を受けるかもしれない制裁であることを覚悟した危機感露わな「主権と領土の一体性」に向けた強い意志を示している。

 記事はこの20人の政府高官が、「その多くがプーチン大統領と関係が近い」と米ホワイトハウス高官の声を伝えている。

 ロシア外務省はオバマ大統領の声明発表の直後に9人の米政府高官や議員らのロシアへの渡航制限などの制裁措置の発動を公表。

 制裁合戦がエスカレートした場合、オバマ大統領が言っているように経済への打撃も当時国に限らない広がりを見せて大きくなる。それでもオバマ大統領は「主権と領土の一体性」を優先させる強い意志を見せた。

 安倍晋三の口では非難すれど、非難を形に表さない「主権と領土の一体性」と何と大きな違いだろうか。

 日本政府関係者「ロシアには数多くの日本企業が進出しており、仮に経済制裁などを行えば、日本の方が経済的な損失を被ることになる」(NHK NEWS WEB)――

 安倍晋三の頭の中では、自国の経済的利益や領土的利益のみを優先させた「主権と領土の一体性」が「地球儀を俯瞰する外交」の名に恥じない、あるいは「自由や民主主義、人権、法の支配」に基づいた価値観外交に即応した「主権と領土の一体性」となって収まっているに違いない。

 そうとでも解釈しないことには、このアメリカとEUの動きを様子見した対ロ外交の当たり障りなく遣り過そうとする及び腰は理解できないことになる。

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