《生活の党PR》
《3月14日 鈴木克昌代表代行・幹事長定例記者会見》
『野党が一致して問題にあたらなければ、政府の思惑通りに進んでしまう』
【 質疑要旨 】
・小松一郎法制局長官について
・選挙制度改革について
・国民投票法改正案について
・他党との統一会派について
プーチン・ロシアが軍事的制圧下に置いたウクライナのクリミア自治共和国で3月16日ロシアへの編入を問う住民投票が行われ、96.77パーセントの賛成という結果となった。この結果を受けて、プーチンは3月18日、クリミア自治共和国のロシアへの編入を表明、編入の条約にも調印したとマスコミが伝えている。
ウクライナ憲法は領土問題はウクライナ全土での国民投票で決めると規定しているという。それをプーチンは自分自身はクリミア編入は考えていないが、「クリミアの将来は住民自身の決定による」と、あくまでもクリミア国民の意思だとしていたのはロシア系住民が人口の60%以上を占める数的優勢を背景に賛成多数の結果を予測し得ていたからだろう、編入は最初からのシナリオということになって、それを完結させたといったところである。
住民投票の形を取っているが、全土での国民投票を規定しているウクライナ憲法に則っていないことと軍事的制圧下の住民投票である以上、「力による現状変更」以外の何ものでもない。
安倍晋三は尖閣諸島の領有権を念頭に中国が自国領土だと主張して尖閣諸島周辺の日本領海を公船を用いて侵犯する行為を「力による現状変更の試み」だと批判しているが、プーチンがクリミアで見せた「力による現状変更の試み」を国際社会が無力なままに既定事実化させた場合、中国の尖閣諸島に対する「力による現状変更の試み」に一定の正当性を与えることになることは誰の目にも明らかなことであるはずだ。
いわば中国が国際社会の無力と既定事実化を当てにして「力による現状変更の試み」に打って出ない保証はなくなる。
また安倍政権がプーチンのクリミアに対する「力による現状変更の試み」に北方四島問題やロシアとの経済関係を優先させて特別な危機感を持たない態度に終始した場合、中国の尖閣諸島への「力による現状変更の試み」に対しても特別な危機感を訴える資格を失うことになる。
外国の問題については危機感を持たないが、自国の問題となると、危機感を持たないわけにはいかないではご都合主義に過ぎる。
尤も安倍晋三は内政に於いても外交に於いても「基本的人権や民主主義、法の支配」等の価値観を尊重する積極的平和主義を掲げながら、外国の人権問題については何ら批判の声を挙げないご都合主義を常態としていて、内政と外交を使い分ける名人ではある。
プーチンが外国の領土と住民に対して力による現状変更者であると分かった今、安倍晋三とプーチンとの信頼関係は倒錯性を帯びることになる。この倒錯性を無視して信頼関係のなお一層の構築に努めるとしたら、領土に対する「力による現状変更の試み」が外国のケースの場合は問題視しないというご都合主義をより鮮明にすることになる。
日本政府はプーチンがクリミアのロシアへの編入を決めたことでやっと制裁の動きに出た。だが、その制裁措置はビザ発行手続き簡略化協議や開始予定の投資協定締結交渉の凍結程度であって、プーチンとの信頼関係の維持の範囲内の及び腰の制裁措置となっている。
領土問題は信頼関係に基づいてではなく、あくまでもビジネスライクに行うべきだろう。