石原都知事の外国人参政権反対、「帰化」発言

2010-04-20 08:42:20 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを――

 4月17日に日本武道館で 「外国人参政権に反対する国民大会」が開催。そこでの石原都知事の当然と言えば当然な発言が波紋を広げている。それぞれの発言は解説を加えながらいくつかに分けてあるが、纏めてみた。
 
《『与党は帰化した子孫多い』 石原知事》東京新聞/2010年4月18日 07時06分)

 石原都知事「帰化された人、そのお子さんはいますか(会場に呼びかけ)、与党を形成しているいくつかの政党の党首とか与党の大幹部は、調べてみると多いんですな。国会はずいぶん多い。インターネットの情報を見るとね。それぞれ検証しているんでしょうけれど。それで決して差別はしませんよ。(続けて朝鮮半島の歴史に触れ、韓国政府が清国やロシアの属国になるのを恐れて)議会を通じて日本に帰属した。彼らにとって屈辱かもしれないけども、そう悪い選択をしたわけではない」

 「ごく最近帰化された方々や子弟の人たちは、いろんな屈曲した心理があるでしょう。それはそれで否定はしません。その子弟たちが、ご先祖の心情感情を忖度(そんたく)してかどうか知らないが、とにかく、永住外国人は朝鮮系や中国系の人たちがほとんどでしょ、この人たちに参政権を与えるというのは、どういうことか」

 「与党を形成しているいくつかの政党の党首とか与党の大幹部は、調べてみると多いんですな。国会はずいぶん多い」・・・・

 要するに外国人参政権付与法案を推し進める中心人物、あるいは参政権付与に賛成する多くが帰化人だと間接的な言い回しながら断定している。その上で、そういった帰化人が主体となって付与する朝鮮系や中国系の多い永住外国人向けの参政権は問題だと言っている。

 社民党の福島瑞穂が石原都知事が言った「与党を形成しているいくつかの政党の党首とか与党の大幹部は、調べてみると多いんですな。国会はずいぶん多い」帰化人とは自分のことを指したと思ったのだろう、19日の記者会見で発言の撤回と、撤回しない場合の提訴を示唆している。

 《石原知事の提訴検討=「帰化」発言めぐり-社民・福島党首》時事ドットコム/2010/04/19-12:43)

 記事は、福島党首は〈自身を念頭に置いた発言だとの認識を示した。〉と書いている。

 福島瑞穂「私も両親も帰化した者ではない。発言は永住外国人の地方参政権に賛成してきた私の政治信条をゆがめ、踏みにじるものだ」

 インターネット上に前社民党党首の土井たか子や福島瑞穂が在日の帰化人だとする情報がまことしやかに飛び交っているのは知っていた。自民党政治に反対し、尚且つ反米、そして中国や北朝鮮に肩入れする政党の政治家を短絡的に帰化人と決め付けている構造の、根拠が甚だ怪しい情報と見ていたが、石原都知事は「インターネットの情報を見るとね。それぞれ検証しているんでしょうけれど」「検証」をその情報を流布している者に任せて、自らは自身の直感、あるいは客観的認識能力を通して真偽を判断する“検証”すらも介在させずにそれを事実と看做して自らの情報に付け加えている。

 著名な文学者でもある石原慎太郎になぜこのようなことが起きるかというと、自身が中国人や朝鮮人(韓国・北朝鮮人)に差別意識を持っていることから彼らに対するとき、本来の直感、あるいは客観的認識能力から離れて差別意識に染まった偏った混濁した直感、あるいは客観的認識能力と化すからではないのか。

 その発言が多くの国民に影響力を与える石原都知事が人種差別主義者であることは問題だが、それ以上に問題なのは、「ごく最近帰化された方々や子弟の人たちは、いろんな屈曲した心理があるでしょう。それはそれで否定はしません。その子弟たちが、ご先祖の心情感情を忖度(そんたく)してかどうか知らないが、とにかく、永住外国人は朝鮮系や中国系の人たちがほとんどでしょ、この人たちに参政権を与えるというのは、どういうことか」と国民が外国人参政権付与の判断とする基準に“帰化した”「与党を形成しているいくつかの政党の党首とか与党の大幹部」「ずいぶん多い」国会議員を間違った情報であるにも関わらず持ち出したことであろう。

 日本人の潜在意識に今も巣食って消えない中国人差別・朝鮮人差別を利用して“帰化”を根拠に反撥を誘い、外国人参政権反対意思を誘導するだけではなく、併せて参議院選で与党投票に有権者の拒絶反応を誘おうとする、極めて政治的な発言をそこに見ることができる。

 福島瑞穂が言っているように、「私も両親も帰化した者ではない。発言は永住外国人の地方参政権に賛成してきた私の政治信条をゆがめ、踏みにじるものだ」だけの問題ではないと言うことである。

 勿論、石原の言っていることが合理的な根拠を持った反対論なら構わない。アメリカに“帰化”したヒスパニック系国会議員がヒスパニック住民やまだ国籍を得ていないヒスパニック系移民の利益を代弁して不都合はどこにもないのと同様に、日本に帰化して国会議員、あるいは「政党の党首とか与党の大幹部」となった中国人、韓国・北朝鮮人が出自先の永住外国人や帰化した元永住外国人の利益を代弁してどこに不都合があるのだろうか。

 政治家は「国民のため」を言っても、すべての国民を平等に対象としているわけではなく、所詮対象に優先順位をつけて利害を代弁するに過ぎない。

 石原の人種差別に満ちた反対論は為にする(「ある目的をもって、また自分の利益にしようとする下心があって、事を行う」『大辞林』三省堂)卑劣で愚かな主張と言わざるを得ない。
 
 マスコミが伝える他の政治家の反対論も合理的な根拠を持っているようには見えない。
 
 《外国人参政権 亀井氏が反対》NHK/10年4月17日 17時9分)

 亀井静香国民新党代表「選挙は自殺者が出るほど過酷なもので、永住外国人への地方参政権の付与が日本を滅ぼすのは当然だ。法案はあっという間に成立するところまできており、国民新党が拒否権を発動しているから成立しない」

 言っている意味がどうも分からない。「自殺者が出るほど過酷な」「選挙」と「永住外国人への地方参政権の付与」がどう繋がるのか、さらに「永住外国人への地方参政権の付与」がどうして、どういうふうに「日本を滅ぼす」ことになるのか、その根拠、理由を一切示さないまま、「日本を滅ぼす」と言っている。乱暴な論理展開としか言いようがない。

 具体的な根拠提示が為されていたなら、マスコミが伝えないことはないはずである。

 自民党の大島幹事長も大会に出席して、「参政権が付与されたら、小さな村、小さな町で、小さな市、あるいは大きなところで帰化して日本国籍を持った方々が立候補して、参政権を与えられた永住外国人が投票することになって当選し、そういった方々に議会が占拠されて市長さん、知事さんが生まれたら、日本の安全はどうなるか、日本の主権が侵されることになる」といったことを声が篭って殆んど聞き取れない真面目臭って訴えていた姿を「YOU TUBE」で流していたが、一方で、「参政権が欲しければ国籍を取ることが基本だ」と反対派の“バカでもチョン”でもが言うことを言っていたが、もし大島が危惧する日本の主権を侵害するといったことを永住外国人が望んでいたなら、その方便として日本国籍を取って、とっくの昔に「市長さん、知事さん」を誕生させて、あるいは国会議員を大量に誕生させて、日本の主権を好きにしていたろう。

 そもそもからして外国人の多くが日本国籍を取得するのは生活上の便宜からで、血としている民族的主体性まで日本人になるわけではなく、あるいは自らの主体性まで他人になるわけではないはずである。

 このことは日本人が外国の地でその国の国籍を取得する場合に於いても同じことが言えるはずである。

 仲間内で日本国籍取得によって主体性が外見上疑われるということなら、その国籍取得(=帰化)は日本人になるためではない、市長さん、知事さん、国会議員の先生方を大量に誕生させるためだと公言して憚らなければ、外見上も主体性がどこにあるか証明できるわけである。

 いわば永住外国人から日本の主権を守ることについては彼らを永住外国人の地位のまま置いておくことも、彼らが日本国籍を取得することも条件とならないということである。

 自分たちが言っていることの矛盾に気づかずに反対を叫んでいる。その非合理性は潜在意識化に巣食っている人種差別という非合理性と合い響き合って生じた非合理性としての矛盾であろう。

 内心の外国人差別が言わせている外国人参政権反対であり、「日本を滅ぼす」ではないのかということである。

 (【チョン】(〔俗語〕「一人前以下であること」。例「ばかだの、ちょんだの、野呂間だのと/西洋道中膝栗毛」『大辞林』三省堂

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普天間移設/鳩山首相は自らの身内さえ説得していなかった

2010-04-19 05:35:05 | Weblog

   

 民主党鹿児島県連が17日夜、普天間移設問題で臨時常任幹事会を開催、政府検討の部隊一部徳之島移設案の白紙撤回を19日以降、鳩山総理大臣に申し入れる方針を決めたと、「NHK」記事――《民主県連 白紙撤回申し入れへ》(10年4月18日 5時52分)に出ている。

 この臨時常任幹事会開催は地元の支援者などから移設反対意見が多く寄せられていたことからの動きだという。会議は非公開、終了後、民主党鹿児島県連代表川内博史衆議院議員が発言している。

 「報道されている徳之島案は我々地元選出の議員にも何の話もない。政府から何の説明もないまま報道が先行し、島民や県民に不安が広がっている現状を遺憾に思う。早急に、政府に対し、そもそも徳之島案があるのかどうか確認し、あるとすれば白紙撤回するよう求めたい」

 言っていることは、報道のみで知っている徳之島一部移設案だということであろう。政府からは「何の話もない」「何の説明もない」、報道上でのみ存在する移設案だと。

 これが鳩山首相取って置きの“腹案”だからだろうか。主要関係閣僚のみの腹に収めて、秘密にしておく。だから“腹案”なのだと。

 だとしたら、笑えない冗談となる。

 政府からは「何の話もない」「何の説明もない」ということなら、徳島案に関して誰を相手に交渉していたのだろうか。ただ単に普天間の部隊のこれこれだけを徳島に移すことができたなら、沖縄の負担軽減と言える、県外移設の約束もある程度は果たしたとすることができると計算していただけのことなのだろうか。

 どちらであっても、不手際の印象のみが浮き立つ。鳩山首相がオバマ大統領と10分間の接触をしたのは日本時間13日午前。アメリカでは会談ではなく、会話(=talk)と位置づけられていたとテレビで報道していたが、オバマ大統領から決着を危ぶむ不信の声を掛けられたが事実とすると、鳩山首相の「ある意味でじっくりと2人だけで話ができました」はいくら体裁を飾る自己擁護とは言え、国民にウソの報告をしたことになるし、徳島案に関して地元に「何の話もない」「何の説明もない」ままにオバマ大統領に「オバマ大統領にも、ぜひ協力を願いたいということを申し上げ」、「5月末までにこの決着をするということを、私の方から申し上げた」ことになる。

 そして4日後の17日夜に民主党鹿児島県連が臨時常任幹事会を開催、報道上のみ存在する、あるかどうかも分からない徳島案が実際にあるとしたらの条件付きで、白紙撤回を求める決議を行った。

 いわば身内の民主党鹿児島県連に4日後に白紙撤回を求めると決議されるような欠陥を一部分含んだ移設案でもって鳩山首相はオバマ大統領との“会話”で「5月末までにこの決着をするということを、私の方から申し上げ」ていたのである。

 そこへきて昨18日日曜日に徳之島で基地移設反対の3度目の集会が開催された。《徳之島、三たび大規模集会 1万5千人「基地いらない」》asahi.com/2010年4月18日18時27分)

 3月28日の第一回約4200人(主催者発表)を遥かに上回る約1万5千人(同主催者発表)が人口約2万6千人の島に島内や奄美群島などから集まったという。幼児、子どもまで参加した反対運動となった。徳之島、天城、伊仙3町と市民団体が主催。

 「長寿、子宝の島に米軍基地はいらない」

 3町代表の大久保明・伊仙町長「もう政府は徳之島に基地をという案は出せないと確信した。振興策という甘い汁はいらない」

 記事は書いている。〈鳩山政権では、普天間のヘリコプター部隊の大半を徳之島に移す案を検討しているが、米側は「地元との合意がない」と反発。社民党も反対を表明し、民主党鹿児島県連も白紙撤回を求めており、協議は進んでいない。
 異例の規模の反対集会となり、首相が地元の合意を得るのは極めて困難な情勢であることが浮き彫りになった。25日には、沖縄県でも県内移設に反対する大規模集会が開かれ、鳩山由紀夫首相が繰り返してきた「5月末決着」は絶望的との見方も強まっている。(石松恒)〉――

 政府からは「何の話もない」「何の説明もない」といった不手際な状況をなぜ生じせしめたのだろうか。

 同じ反対されるにしても、最初に説明があって、その説明に対する賛成・反対の態度を求めた結果、反対という順序を取るべきだが、政府からは「何の話もない」「何の説明もない」うちから大規模な反対集会を打たれる逆順序な事態を生じせしめている。

 このような推移を逆説するなら成算を確信できるところまで持っていかなかった“腹案”だったということではないのか。党首討論で“腹案”を紹介するときだけ、確信ある言葉となっていたということではないのか

 なぜ、地元への説明を最初に持ってこなかったのだろうか。なぜ鳩山首相は自ら動いて、地元首長や地元住民、地元県連への説得を行わなかったのだろうか。頭を下げてお願いに回らなかったのだろうか。

 それでも反対を受けて断念せざるを得なくなったとしても、努力した姿勢だけはある程度の評価を受けることになるはずだ。「沖縄が負担するのは構わないが、自分の地元が負担するのはいやだという地域エゴに負けた」とすることもできる。

【追記】(7:35)

 鳩山政権が鹿児島県徳之島移設案に関して、〈今月中にも県や同島の3町の首長に正式に受け入れを要請する方向で調整に入った〉と《普天間移設、徳之島に正式要請へ 地元は反発、難航必至》asahi.com/2010年4月19日3時4分)が伝えている。

 既に反対運動が激しくなっているのに、「今月中」の正式な受入れ要請への調整となっている。

 伊仙町大久保明町長「政府が移設を打診してくれば、墓穴を掘る」

 遅きに逸した感のある「今月中」の正式申入れは、〈米側との実務者協議で具体的な移設案をまとめた上で候補地に正式提案する考えだった〉としていたことからの遅れだったとしているが、〈米側は地元合意のない案については協議できないとの立場〉を取っていたというから、このミスマッチを政府は放置したまま米側の合意を得ようと時間を費やしていたことになる。

 もしかしたら鳩山首相がオバマ大統領との10分間の“talk” で「オバマ大統領にも、ぜひ協力を願いたいということを申し上げ」たのは地元合意を後回しにして米側合意を先に得るための「ぜひ協力を」のお願いだったのかもしれない。

 いずれにしても、米軍合意重視、地元合意軽視の姿勢だったと受け取られたとしても仕方はあるまい。

 記事は最後に、〈政府高官の一人は「移設先は徳之島しかない」と明言。「政府が説明しないままこのような事態になっている。何も言わずにいると5月になる。とにかく表に出すことが必要だ」と述べた。〉と書いている。政府の失態を政府高官が自ら認めてた発言であるが、いくら認めても、例え徳之島が受入れに動いたとしても、遅すぎた事実を覆すことはできない。

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鳩山首相の「桜を見る会」挨拶、勘違いしていないか

2010-04-18 06:03:53 | Weblog

   

 鳩山首相が昨17日午前、東京都新宿区・新宿御苑で「桜を見る会」を催したという。そこでの挨拶。《首相“桜の花を咲かせたい”》NHK/10年4月17日 12時59分)

 鳩山首相「桜も雪も見られるたいへんな日になった。人生の晴れたとき、人は集まってくるが、いったん人生に雨が降ると、いなくなってしまう。雨のときに集まってくれる友こそ真の友であり、皆さんは鳩山政権の『雨天の友』だ」

 「桜の花が、『寒いときこそ頑張らなければ』と美しさを競って咲いている。新政権も現在、厳しい状況を迎えているが、改革の志を持って、時計の針を大きく前に進め、新しい時代にふさわしい桜の花を咲かせたい。新しい日本づくりのために頑張ることを誓いたい」

 〈会場には、各界から招かれたおよそ1万人が訪れ、鳩山総理大臣は、元プロテニスプレーヤーの杉山愛さんや大相撲の大関・把瑠都関らと握手をしたり、記念撮影をしたりしてい〉たという。

 「皆さんは鳩山政権の『雨天の友』」だったから、首相は終始ご機嫌だったに違いない。

 「雨のときに集まってくれる友こそ真の友であ」ると言っているが、一国の総理大臣が“友”とすべき対象は招待を受けたからと各界から集まった「1万人」なのか、総理大臣の椅子を最終的に約束し、その政治的能力の評価を最終的に下す有権者(=国民)なのだろうか。

 一国の総理大臣は国会で各党議員を相手に政治を行いながら、常に国民と対峙している。一国の政治は国民のためにあり、国民のためにするからだ。当然、最終評価は国民の手にある。いわば如何に国民を“友”とするかにその政治的力量はかかっている。

 雨が降ろうが降るまいが、集まってくる国民が存在してこそ、初めて有能な総理大臣であることの証明となる

 それを「桜を見る会」に招待を受けたからとある意味当然集まってくる、いわば招待を動機として集まった各界からの「1万人」のみを相手に「雨のときに集まってくれる友こそ真の友」だと言っている。

 あるいは視野を国全体、国民全体に置くべきを招待客の「1万人」のみに置いて、“友”か否かを悲壮感すら漂わせて語っている。

 大いなる勘違い以外の何ものでもあるまい。

 例えそこに比喩的な意味を持たせていたとしても、集まる集まらないは、あるいは“友”となる、ならないは本質的には相手が問題ではなく、自身の能力や人柄に関わる問題であろう。

 例えばカネをたくさん持っていたときは友人がたくさん集まってきたが、財産を失い、一文無しになると、一人去り、二人去りして、すべての人間が去っていった。去っていった人間を薄情だと非難することはできるが、実際はカネの関係しか築くことができなかった本人の人柄や人間性こそ問題にしなければならないはずだ。カネが友人をつくる力となっていたに過ぎなかったということだからだ。

 それを鳩山首相は、「いったん人生に雨が降ると、いなくなってしまう」人間を否定的に評価し、「雨のときに集まってくれる」人間を肯定的に評価しているが、そのような状況をつくり出す自身の資質は一切問題にしていない。

 この点でも鳩山首相は大いなる勘違いを犯している。

 政権発足から7ヶ月かそこらで発足当初と比較して国民の支持を急激に失った。鳩山首相から見たら、「人生に雨が降」った状況であろう。多くの国民が「いなくなってしまう」支持状況に立たされた。

 「いなくなってしま」った国民が問題なのか、そういう状況をつくり出した鳩山首相に問題があるのか。

 「桜を見る会」の挨拶からすると、鳩山首相は自身を問題とせずに国民を問題にしている。
 
 一国の総理大臣としての指導力や政策実現能力は「雨のときに集まってくれる」「真の友」「雨天の友」たる「各界から招かれたおよそ1万人」に納得させていたとしても、そのことを以て支持を失って「いなくなってしまう」大多数の国民に対する納得を補うことはできないはずだ。

 鳩山首相を見ていると、「政治は結果責任」という言葉が常に頭の中に入っていないように見える。少々認識が甘いのではないのか。文学的言辞に浸っている場合ではないはずだ。

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仙谷国家戦略担当相の衆参同日選挙発言

2010-04-17 07:19:02 | Weblog

   

 仙谷国家戦略担当大臣が、〈民放の番組収録で、鳩山内閣が退陣する事態となった場合は、新しい総理大臣が衆議院を解散し、夏に衆参同日選挙が行われる可能性もあるという見方を示し〉たと、「NHK」記事――《仙谷大臣“退陣なら衆参同日選挙も”》(10年4月16日 20時56分)が書いている。
 
 仙谷国家戦略担当相(普天間基地移設問題で)「何とかこの問題をしのいで、日本が直面している課題を解決することで、政権に対する信頼を取り戻さなければならない」

 内閣支持率の下落傾向に歯止めがかかっていないことに関連して、鳩山内閣が退陣する事態となった場合――

 仙谷「歴史的な連立政権として、日本がどう生き抜いていくかという大命題を提起し、『1年で申し訳ないけども』ということで、衆参同日選挙によって信を問う可能性はあるし、論理的にはそうなる」――

 「NHK」記事は〈新しい総理大臣が衆議院を解散し、夏に衆参同日選挙が行われる可能性もあるという見方を示しました〉と解説しているのみで、発言の狙いを取り立てて詮索してはいない。

 《衆参同日選「論理的にある」 仙谷戦略相》日本経済新聞電子版/2010/4/16 23:44)が次のように狙いを書いている。

 〈5月末までに米軍普天間基地の移設問題が決着しなかった場合、首相は退陣すべきだという議論が広がることをけん制する狙いがあるとみられる。〉――

 《仙谷戦略相「首相退陣なら衆参同日選になる」》YOMIURI ONLINE(2010年4月16日21時45分)は次のようになっている。

 〈戦略相の発言は、鳩山首相が参院選前に辞任した場合は、衆院を解散して国民に信を問うべきだとの考えを示したものだ。民主党は、自民党が衆院選を伴わずに首相交代を繰り返してきたことを批判してきた経緯があるためだ。〉――

 前者は首相辞任回避の狙いからの発言、後者は辞任の可能性を前提とした「論理的」な原則論からの衆参同日選挙容認の発言と見ている。

 「NHK」記事が仙谷国家戦略担当相の「何とかこの問題をしのいで、日本が直面している課題を解決することで、政権に対する信頼を取り戻さなければならない」と、内閣が鳩山首班で維持されることを願う言葉を伝えているように他の記事も同様の構図を取っている。

 〈普天間問題については「首相は頑張ってしのいでもらいたい」と語り、あくまで首相を支える姿勢を示した。「(自公政権のように)1年ごとに首相が代わると、政党政治そのものへの絶望感が国民に生まれる」との認識も示した。〉(上記日経新聞電子版

 〈国家戦略相は、衆院解散にあたっては財政再建を選挙戦の争点にすべきだとの考えを表明した。同時に「1年ごとに首相が代わるのは甚だ具合が悪い。政党政治に対する不信感と絶望感が国民に生まれてくる」と述べ、当面は鳩山首相の続投を支持する考えを強調した。〉(上記YOMIURI ONLINE

 「日経新聞電子版」は国民新党の下地幹郎国会対策委員長の仙谷発言批判の言葉を伝えている。

 下地「普天間問題でみんな頑張っている最中だ。そういうことを言う閣僚は辞めた方がいい」

 《国民新党・下地氏、仙谷氏の同日選発言に批判「大臣を辞めた方がいい」》msn産経/2010.4.16 23:28 )は下地国対委員長の批判をもう少し詳しく載せている。

 下地「米軍普天間飛行場の移設問題でがんばっている最中に、退陣という言葉が出てくること自体がおかしい。そういうことを言う大臣が辞めた方がいい。不規則発言といわれても仕方がない」

 要するに下地議員は現時点で辞任や衆参同日選挙を判断することに反対の姿勢を示している。

 何しろ国外・県外移設を煽り立てて沖縄県民をその気にさせた張本人たる鳩山首相が国外・県外移設の成算ある青写真を描くことができないままに「5月末決着」をムキになって言い張って自分で自分の首を絞めているような滑稽な場面を演じているのである。「5月末決着」ができなかった場合、責任を取る形の辞任に追い込まれる可能性は十分にあり得る。

 では、辞任後の衆参同日選挙の可能性は「YOMIURI ONLINE」記事が書いているように「論理的にはそうなる」が〈自民党が衆院選を伴わずに首相交代を繰り返してきたことを批判してきた経緯〉を踏まえた民主党の原則論からの発言であるとするなら、閣僚の一人がそのように口にしたことによって、特に国民の信を問わずに首相の首を挿げ替えてきた自民党を除いた野党に衆参同日選挙を迫られる可能性は生じる。

 自民党は仲間の中堅議員から顔が怖過ぎる、時代がかった物言いだ、直して欲しいと言われた大島幹事長が4月13日の党役員連絡会後の記者会見で、〈鳩山首相が米軍普天間飛行場移設問題に5月中に結論を出せなかった場合、「鳩山内閣は追い込まれた状況を打開するために何をするか分からない。(衆院選の公認候補となる)選挙区支部長選任に全力を挙げなければならない」〉(「毎日jp」/2010年4月14日)と7月の衆参同日選挙も想定して準備するよう既に指示を出しているし、今日17日付の「日刊スポーツ」記事――《閣僚や自民幹部から衆参同日選発言相次ぐ》が、「小沢民主党幹事長が起死回生で、若い首相を担いで衆院を解散し、衆参同日選を狙うという話も流れ始めた」(2010年4月17日0時6分)と川崎二郎自民党・国対委員長の発言を紹介して、同日選挙の動きに警戒感を示している様子を伝えているが、参議院選の人材不足から衆議院落選組みの参議院立候補者へと鞍替えを図っているさ中に同日選挙となった場合、衆議院への出戻りに色気を示す議員の出現による混乱や、あるいは鞍替えによって衆議院選挙区に不在が生じたことによる混乱が、それが少人数の混乱であってもマスコミを通じて全国に報じられることによって混乱が拡大されかねない影響、例え前々からの立候補者がいても、準備不足からの混乱も予想され、そういった影響を考えると、実際には好まない同日選挙ではないだろうか。

 民主党にしても、内閣支持率から言って議席を減らす可能性が高く、減らした場合国民新党と民社民党との連立を維持したまま公明党とも連立を組んで絶対多数の維持を図る手もあるが、単独での衆議院307議席の虎の子を1年も経たないうちに減らすのは忍び難いだろうし、4年間は内閣の陣容を変えないと当初言っていたことを楯に、例え普天間移設「5月末決着」が6月にずれ込んだとしても、内閣を維持し、参議院選挙の結果を待って、第一党を維持した場合、国民の審判を得たこととして鳩山内閣の延命を図るという手もある。

 いわば余程の突発事態が生じない限り、衆参同日選挙の可能性は低いように思える。

 川崎二郎自民党・国対委員長が言った、「小沢民主党幹事長が起死回生で、若い首相を担いで衆院を解散し、衆参同日選を狙うという話も流れ始めた」は野党となってただでさえ資金不足に陥っている自民党の(昨年の総選挙で議席を減らして、政党交付金も年初の見込み額から5億1600万円減らして165億9500万円だと「Wikipedia」が書いている。一方の民主党は5億7000万円増の110億6300万円。自民党の借金は100億円超。)選挙エネルギー・資金エネルギーを衆参に分散させ、混乱を生じさせることを狙って「流し」た「話」ということもあり得る。

 このような混乱も自民党からしたら好まない場面であって、衆参同日選挙拒否理由に挙げることができる。

 民主党側が衆参同日選挙を見せかけることで自民党が体力的に十分に選挙を戦えない状況にあると暴露させることができたなら、そのことによって鳩山首相の退陣を求める声が低くなる。

 仙谷国家戦略担当相の「衆参同日選挙によって信を問う可能性はあるし、論理的にはそうなる」の発言も結果的に功を奏することになる。

 あるいは最初から小沢幹事長と意を通じてではなく、暗黙の一致で「衆参同日選挙」で自民党を撹乱しようという意図からの確信犯的な発言である可能性も考えることができる。 
 
 民主党にとって第一義的問題は鳩山内閣の維持であり、鳩山内閣の元、参議院選挙に勝利することだろうからだ。退陣・国民の信を問う総選挙は他に打つ手がなくなった場合のあくまでも最後手段に過ぎないはずだ。

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普天間基地移設に見る誤魔化しに満ちた鳩山由紀夫と平野博文の態度(1)

2010-04-16 11:46:00 | Weblog

 12、13両日ワシントン開催、オバマ大統領主催の核セキュリティーサミットに出席した我が日本の鳩山首相はオバマ大統領との首脳会談を望みながら、断られ、そのお情けの代償として夕食会で大統領の隣に座る栄誉を与えられて約10分間会談することを許された。

 なぜこのような名誉ある待遇を踏むことになったのだろう。

 この名誉ある待遇を米紙ワシントン・ポストは14日付のコラムで「間違いなく最大の敗者」としての扱いだと皮肉ったという。《「最大の敗者は鳩山首相」 核サミット、米紙が皮肉》asahi.com/2010年4月15日10時39分)

 いわば核セキュリティーサミットという場で鳩山首相は「間違いなく最大の敗者」に陥ってしまったと位置づけられた。その理由として、〈米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐる首相の迷走ぶりが、オバマ政権の高官らに「信頼できない印象を与えている」〉からであり、〈鳩山政権側から移設問題の再検討を求め、5月中に結論を出すとしたのに「今のところ何の提案もない」〉ことを挙げているとした上で、〈首相に対し「ユキオ、同盟国のはずだろう。米国の核の傘で何十億ドルも節約しているだろう」と皮肉を込めて呼びかけた。 〉と記事は紹介しているが、その呼びかけの裏には「しっかりしろよ、大丈夫か?」と揶揄する気持を張り付けているようにも見える。

 「最大の敗者」である鳩山首相の対極に位置する「勝者の筆頭格」に挙げられたのはオバマ大統領と約90分にわたり会談した中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席だそうだ。

 同じ事柄を扱った「NHK」記事――《“サミットの敗者 鳩山首相”》(10年4月15日 15時59分)は胡錦涛主席について次のように書いている。

 〈「参加した首脳のうち、勝者は容易に判定できる。オバマ大統領と会談して国の威信と重要性を示した首脳であり、その筆頭は、大統領と90分間会談した中国の胡錦涛国家主席だ」〉――

 いわば鳩山首相は胡錦涛主席と大違いで、「国の威信と重要性を示した首脳」足り得なかったということになる。

 この米紙の鳩山首相に対する「間違いなく最大の敗者」待遇に平野官房長官が基地問題と大違いの素早い対応を示した。《「一国の首脳に非礼」=官房長官、米紙に不快感》時事ドットコム/2010年4月15日(木)18:03)

 平野「一国の首脳に対して、いささか非礼な面があるのではないか。・・・・時間の問題ではなくて、いかに機会に接するかという観点から大事な意見交換の場だった。例え(非公式会談が)10分であろうが有意義な機会であった

 鳩山首相の日本国内における評価――指導力がない、言葉が軽い、ぶれる等の評価に現れることとなっている移設解決の遅滞であって、そのような諸々の状況を反映していないことはない「最大の敗者」評価でもあろう。

 いわば基地移設に指導力を発揮できていない混迷した状況が首脳会談拒否、10分間の夕食会での非公式会談として現れたのであり、そのような事実関係を含めた「最大の敗者」評価であって、単に核セキュリティーサミットでの扱いのみを把えた評価ではないはずだ。

 いわば様々な事実関係があり、核セキュリティーサミット前からそれを引きずっていて、引きずったまま核セキュリティーサミットに臨んだ。平野官房長官は米紙の冷評以前の問題として、鳩山首相が現在置かれている様々な事実関係をこそ取り上げなければならないはずだ。

 オバマ大統領との夕食会での話し合いは果して「例え(非公式会談が)10分であろうが有意義な機会であった」」のだろうか。

 鳩山首相はオバマ大統領との10分間の会談後の12日夜(日本時間13日午前)に記者会見を開いている。
 
 《普天間「大統領は大統領の立場で関心」13日の鳩山首相》asahi.com/2010年4月13日16時47分)(普天間問題のみ抜粋引用)

 【米軍普天間移設問題】

 ――オバマ大統領との非公式協議は。

 「ワーキングディナーでしたから、そのディナーを最初、10分間みんな食事していてくれと言ってくれまして、その10分間を使って、私と2人で、隣り合わせにしてくださったものですから、ある意味でじっくりと2人だけで話ができました。まず私の方からは、日米同盟というものは大変大事であると。その考え方の中で、(米軍)普天間(飛行場)の移設問題を今努力している最中だということを申し上げました。

 そして、この件に関しては、岡田(克也)外務大臣とルース(駐日米)大使との間で今、交渉を行っているということであるので、オバマ大統領にも、ぜひ協力を願いたいということを申し上げたところでございます。ええ、恐縮ですけれども、オバマ大統領がどのような話をしたかということは、私の方から申し上げるべきではありませんので、申し上げませんが、5月末までにこの決着をするということを、私の方から申し上げたところでありました。その思いの下で努力をするということになったところでございます」

 ――大統領の発言は差し控えたいということだったが、感触としてはいかがだったか。

 「感触も申し上げられません。えへ。言葉を全部読まれますから。感触として当然5月末までにそれぞれの立場がありますから、その立場の中で、私どもが移設先をしっかり決めていくということに対しては、当然のことながら、大統領は大統領の立場で関心を持ってみていただけると思っております」

 ――5月までに決着という意味は、日米両政府で合意したいということか、日本政府案を提示するという意味なのか。

 「決着というのは当然、アメリカ側と接触しないと決着ということになりません」

 (秘書官「よろしいですか。あと1問でお願いします」)

 ――移設案について一部を県外に出したいとか、具体的な内容については説明したか。徳之島の件とか、(キャンプ・シュワブ)陸上案とか。

 「具体的な地名を私から一切出しておりません」

 ――県外移設についてはおっしゃったか。

 「私が申し上げたのは、沖縄の負担というものを軽減するということ。それがある意味で日米同盟というものを持続的に撤回(ママ)させていく、発展させていくためにも必要なことだということは申し上げました」

 (秘書官「ありがとうございました」)

 「恐縮ですけれども、オバマ大統領がどのような話をしたかということは、私の方から申し上げるべきではありませ」が、「ある意味でじっくりと2人だけで話ができました」――

 鳩山首相が記者会見を行ったのは12日夜(日本時間13日午前)である。

 次に挙げるのはワシントン発のインタビュー記事で、インタビューは「14日」の日付となっているから、ワシントン時間の「14日」であって、日本時間では15日となるはずである。日本時間の「14日」であったとしても、ワシントン時間では13日となるから、鳩山首相の記者会見後のインタビューということであろう。

 《普天間移設先「日本から正式提案ない」 米国務次官補》asahi.com/2010年4月15日10時58分)

 〈【ワシントン=伊藤宏】米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、キャンベル米国務次官補は14日、日本政府が現行計画以外の新たな移設先を検討していることについて「我々が聞いているのは日本側の考え方であり、正式な提案は受け取っていない」と述べた。ワシントン市内で記者団の質問に答えた。〉

 記事はさらに次のように書いている。

 〈日本政府は、岡田克也外相がルース駐日米大使と会った際に、日本側の移設案を説明したとしている。だが、米政府はこうした説明を正式な提案とは受け止めておらず、日本側の移設案を検討する段階にはないという認識を示したものだ。〉

 鳩山首相が「腹案」がある、「腹案は、現行案と比べて、少なくとも同等か、それ以上に効果のある案だ」と解決に自信を示していたにも関わらず、降って沸いたものではないはずのその「腹案」なるものを岡田外相は4月9日のルース米大使との会談で提示したはずだが、その「腹案」を以てしても政府の移設案は実現可能性が低いからと実務者協議入りを拒否され、日本政府は4月10日に実務者協議入りを断念している。

 鳩山首相が「腹案」とした日本政府案が実現可能性が低いと見られたのだから、キャンベル米国務次官補のワシントン時間と思われる14日「我々が聞いているのは日本側の考え方であり、正式な提案は受け取っていない」は当然の発言となる。

 上記「asahi.com」記事は最後に次のように付け加えている。

 〈キャンベル氏はまた、日本側が新たな提案をする場合は「国内の政治力学や、我々の作戦運用上の要請を反映させたものとなるよう注意を払わなくてはならない」と指摘し、移設先の地元合意をとりつけることが必要との考えを示した。そのうえで「我々は今も現行案が最善と非常に強く思っている」とも述べ、米側の姿勢に変わりがないことも強調した。 〉――

 いわば日本側の提案(=腹案)は「国内の政治力学や、我々の作戦運用上の要請を反映させたもの」とはなっていないと言っている。だから、実現可能性が低いと見られて、実務者協議入りを拒否され、日本側も協議入りを断念せざるを得なかった。

 では鳩山首相が言った、「腹案は、現行案と比べて、少なくとも同等か、それ以上に効果のある案だ」は何だったのだろう。中身のない言葉に過ぎなかったということなのか。
 
 《普天間基地移設に見る誤魔化しに満ちた鳩山由紀夫と平野博文の態度(2)》に続く

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普天間基地移設に見る誤魔化しに満ちた鳩山由紀夫と平野博文の態度(2)

2010-04-16 11:23:21 | Weblog

 4月9日に日本案は実現可能性が低い、「国内の政治力学や、我々の作戦運用上の要請を反映させたもの」とはなっていないとして拒否されたということなら、これらの否定的要素を補って満足に肯定化させ得る案を数日間で創り上げることができるとしたら、政権交代から7ヶ月以上も経過しているのだから、とっくに創り上げることができていたはずで、7ヶ月という時間がありながらそれができていないということなら、当然、数日間で修復できるはずはないと断言できる。

 だからこそ、マスコミや関係者がこぞって5月末決着は不可能を言っているのだろう。

 であるにも関わらず、鳩山首相はオバマ大統領との非公式会談後の記者会見で、「この件に関しては、岡田(克也)外務大臣とルース(駐日米)大使との間で今、交渉を行っているということであるので」と、実務者協議入りの拒否と断念といった経緯がどこにもなかったかのように、さも実現可能性を持った案を挟んで両者が「交渉を行っている」かのようにオバマ大統領に言ったとする発言を行っている。

 オバマ大統領にしても日本国内の国外だ、県外だ、いや県内を排除するわけにはいかない、セロベースだといったなかなか定まらない迷走ぶり、纏まりつつある日本政府案の中身、中身に対するアメリカ側の軍やその他の専門家の「国内の政治力学や、我々の作戦運用上の要請を反映させ」ていないに代表される評価、評価を具体的な形として下した実務者協議入り拒否等々の経緯の一切を承知しているはずだから、鳩山首相の発言に対するオバマ大統領の反応は口先だけと取られたとしても止むを得ないのではないのか。内心に軽蔑を誘う発言だったと疑うことができないこともない。

 いわば芳しい発言をオバマ大統領から得ることができなかった。できたなら、それを自らの手柄とするために率先して公表すべき成果とするはずだが、それができないから、「ええ、恐縮ですけれども、オバマ大統領がどのような話をしたかということは、私の方から申し上げるべきではありません」、あるいは「感触も申し上げられません」と誤魔化すことしかできなくなり、「私どもが移設先をしっかり決めていくということに対しては、当然のことながら、大統領は大統領の立場で関心を持ってみていただけると思っております」と推測するしかなかった。

 このことは「時事ドットコム」記事――《「きちんと責任取れるのか」=米大統領、首相に疑問呈す-普天間移設》(2010/04/15-12:56)が証明している。

 記事は首相が〈会談の冒頭、大統領に「日米同盟が大事だという考え方の中で移設問題を努力している。5月末までにきちんとやる」と解決を約束〉したところ、〈大統領が「きちんと責任を取れるのか」と強い疑問を呈し〉たと伝えている。対して鳩山首相は、〈改めて5月末決着の意向を表明した。〉としている。

 この「きちんと責任取れるのか」の不信感は、首相が〈昨年11月の大統領訪日時の首脳会談の際、普天間問題の決着に関して「トラスト・ミー(私を信じて)」と発言。政府関係者によると、大統領はこれに「あなたを完全に信じる」と応じた。しかし、米政府の期待した年内決着は見送られ、大統領サイドに首相への強い不信感が生まれた〉ことが尾を引いた二次的不信感だとしているが、「トラスト・ミー」が「トラスト・ミー」担っていなかったことだけではあるまい。

 4月9日までに米タイム誌のインタビューに応じて、「今までは米国の主張を受け入れ、従属的に外交を行ってきた。・・・一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼(=トラスト)を高めていく」(msn産経)と発言したことが自らが満足に約束を果たしていないことに反した偉ぶった態度、利いた口を利くと受け取られて不信感に追い討ちをかけたといったこともあるのではないか。
 
 交渉事に於いて「一方的に相手の言いなりにな」らないためには相手を納得し得る、あるいは相手を上まわるそれ相応の問題解決のアイデアを創造し、提供していく能力、あるいは外交術(外交上の創造力)を発揮していくことで解消できる事柄であって、言葉で言うべきことではないはずだが、普天間移設に関しては関連する創造力を発揮し得ていないばかりか、自らの案を地元との合意という必要事項さえ欠いて、きちんと纏め上げることさえできていない。

 そういった自らが抱える不首尾を弁えずに、「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼(=トラスト)を高めていく」などと言う。偉そうにと取られたとしても不思議はない。

 一旦誤魔化しを働くと、その誤魔化しを誤魔化すために新たな誤魔化しを働くことになる。

 《米政府が徳之島、勝連沖を拒否 普天間、5月決着は不可能に》47NEWS/2010/04/15 02:02 【共同通信】)

 題名がすべてを物語っている。

 日本政府が提示していたキャンプ・シュワブ陸上部、鹿児島県・徳之島へのヘリ部隊の移動、沖縄本島東岸の勝連半島沖埋め立てによる人工島案の拒否であるが、この拒否は、〈複数の日米外交筋が14日、明らかにした〉ものだそうだが、記事は9日の岡田・ルース米大使会談でルース大使が既に岡田外相に伝えていたこととしている。

 〈米側の意向はルース駐日米大使が9日、岡田克也外相と会談した際、ヘリ部隊と地上部隊、訓練施設との一体的な運用の必要性を指摘すると同時に、関係自治体の反発を踏まえ「日本から提示された考え方を受け入れるのは極めて難しい。われわれは現行計画かその沖合への微修正が良いと思っている」と伝達した。米側は「日本政府と関係自治体の合意が先決」との基本姿勢。オバマ米大統領も12日の首相との非公式会談で同様の考えを伝えた可能性がある。〉――

 鳩山首相も承知していた日本案の拒否でありながら、オバマ大統領との非公式会談で、「5月末決着」を請合った。いわば「トラスト・ミー」を演じた。

 アメリカから帰国してから、5月末決着に関して鳩山首相は15日の朝、記者団に語っている。《在日米軍再編:普天間移設 5月決着、米と地元の合意が条件--鳩山首相》毎日jp(2010年4月15日)

 ――5月末の決着とは、米国と地元の合意を得た唯一の案が発表されることか。

 鳩山首相「はい、決着は決着ですから、その通りだ。これでいこうと、その方向がお互いに認められる状況を指す。その状況をなんとしてもつくりたい」

 オバマ大統領に「5月末までにこの決着をするということを、私の方から申し上げた」と同じく、5月末までにその「状況」をつくると記者団を通して国民に確約した。

 この首相発言に対する平野官房長官の発言は次のようになっている。

 「米国と地元に理解をいただき、その上で具体的に決められる状態に行くということだ。5月末までにすべてのことが納得、理解してとはなかなか運んでいかない」
 
 この発言は記事解説によると、〈調整は6月以降も続く可能性を示唆した〉もので、〈決着の定義をあいまいにすることで、5月末までに合意が得られなかった場合の予防線を張る意味があると見られる。〉としているが、5月末以降ずれ込むことが許されるのは細部に関する具体的な取り決め事項であって、それを当然とすることはできても、移設場所と軍の運用形態と運用規模はアメリカ側・地元側の「合意」を得る必要上、具体的に決定して、「理解をいただ」いておかなければならない問題点であろう。

 平野官房長官の言い方がどうも曖昧にしか聞こえない。この親にしてこの子ありの類で、誤魔化しの鳩山首相にしてこの官房長官の誤魔化しありにしか見えない。「NHK」記事――《“期限内の合意 こだわらず”》(10年4月15日 12時52分)からこの箇所に関する平野長官の発言を拾ってみた。

 平野「アメリカと地元に理解していただき、具体的に詰められる状態にすることが、ある意味での合意だと思う。基本的に、政府として、こういう考え方でやっていくと決めて、理解を求めていくということだ」――

 日本政府が提案したその“移設案”で行こうとアメリカと地元が日本政府と意見を同じくした場合をアメリカと地元の「理解」とすることは可能となり、このようなケースでは一つの「合意」と言える。

 だが、後段の「基本的に、政府として、こういう考え方でやっていくと決めて、理解を求めていく」ことは「合意」以前の問題であろう。日本政府のみが「こういう考え方でやっていくと決め」たことであって、そこにはアメリカと地元の「考え方」は入っていないからだ。「理解を求めていく」は相手の「理解」を得る前の状態を言うのであって、当然「合意」の遥か前段階にあることになる。

 このことは日本が案を示して「理解を求め」たが、理解を得ることができずにアメリカ側に拒否されたことが既に証明している。

 平野官房長官にしても鳩山首相にしても、日本の政府案自体が問題となっているにも関わらず、前々から「理解を求めていく」と同じ内容の言葉を囀(さえず)ってきた。まるで「理解を求めていく」と囀りさえすれば、相手から「合意」を得ることができるかのように。

 日本側は政府案がアメリカ側に受け入れられない案であることを承知していながら、理解を求めさえすれば、受け入れられない案であることにアメリカ側が目をつぶって合意が得られるだろうとの予定調和で、「理解を求めていく」という言葉に縋っていたのかもしれない。

 その思いがあるから、実務者協議入りを拒否されてアメリカ側が受け入れられない案であることが分かっていたにも関わらず、そのことを無視して、たったの10分間の非公式会談でオバマ大統領に対して、「ぜひ協力を願いたい」と“理解”を求めたのではないだろうか。

 だが、それぞれの国家の安全保障に関わる問題である以上、目をつぶって妥協することを求めるといったプロセスが入り込むのは許されるはずもない重要な外交問題・軍事問題であるにも関わらず、「理解」で済まそうとする安易さがなかったろうか。

 5月末決着が6月以降にずれ込むことになったとしても、如何に乗り切るか鳩山首相も平野官房長官の新たなゴマカシに入っている。ウソの上にウソを塗り重ねるように誤魔化しを凌ぐためには誤魔化しの上に誤魔化しをさらに塗り重ねなければならないからだ。

 平野官房長官について言えば、先に示した「アメリカと地元に理解していただき、具体的に詰められる状態にすることが、ある意味での合意だと思う。基本的に、政府として、こういう考え方でやっていくと決めて、理解を求めていくということだ」の散々に囀ってきた「5月決着」を翻す口先の誤魔化しであり、鳩山首相の場合は具体的進展を果たさないまま、「5月末までに決着する、最善を尽くす」の一点張りに現れている。

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トヨタ・レクサスGX460は国によって安全性に違いが生じるのか

2010-04-15 04:46:26 | Weblog

   

【お断り】(10/4/15/06:44)

 「msn産経」記事――《トヨタ・レクサスGXの販売一時中止、世界全体に拡大》(2010.4.14 23:22)が題名で言っているようにトヨタは販売一時停止を北米から世界全体に拡大することにしたとしている。

 「毎日jp」記事――《トヨタ:レクサスGX460販売停止、全世界で リコール問題反省、「迅速に」》(2010年4月15日)は、〈当初、米国での販売停止のみ発表していたが、一連のリコール(回収・無償修理)問題で、対応の遅さを批判されたことを踏まえ、早急に対応すべきだと判断した。〉と販売一時停止の全世界拡大を解説している。

 このことはあくまでも第二段階の措置として講ずることとなった事態であることを物語っている。最初から世界全体で販売一時停止を決めたわけではない。

 二重基準と気づいたからなのかどうかはこの記事も類似の記事も触れていないようだから不明。

 《トヨタ車 米誌の指摘で販売停止》NHK/10年4月14日20:00)

 昨14日夜7時にNHKテレビで流していたニュースの記事だが、アメリカの有力な消費者情報誌「コンシューマー・リポート」がトヨタのSUV(多目的スポーツ車)「レクサスGX460」を走行テストしたところ、電子制御で車が横滑りするのを防ぐ装置の作動が他の車と比較して遅いために、高速でカーブを切ったときなどにコントロールが効かなくなり、最悪の場合、横転する恐れがあるとして、「買わないように」との厳しい評価を13日公表したという。

 トヨタはこの公表を受けて、原因を究明するまでこの車の販売を一時停止すると同じ13日に発表。但しトヨタは、〈厳しい品質チェックを行っており、これまでに安全に関する苦情や事故が起きたという情報は一切寄せられていないとしてい〉るという。

 記事は「コンシューマー・リポート」について次のように解説している。1936年に設立された非営利の組織「消費者組合」が発行する雑誌で、雑誌とウェブサイトで併せて800万人の購読者を抱え、自動車だけでなく、電気製品や住宅関連、それに食品に至るまで、幅広い分野の製品について、企業の影響を受けずに客観的な視点でテストを行い、消費者向けに評価を公表している。

 1936年設立、現在に至る息の長い歴史はその商品評価が多くの消費者に信頼され、受け入れられていたことの証明であり(800万人の購読者を抱えいること自体が証明となっているが)、記事が〈アメリカでは多くの消費者が製品を購入するにあたり、参考にしているといわれています。〉と触れているように製品購入の信頼できる基準ともなっていることの証明でもあろう。

 記事は、〈自動車分野でも、コンシューマー・リポートの評価は重視されており、評価によっては各社の自動車販売にも影響を及ぼすとされています。〉と書いている。

 昨夜のニュースでは、かつてトヨタがアメリカで車の売り上げを大きく伸ばした頃、この雑誌がトヨタ車の品質を高く評価したことが販売を後押ししたとも言われていると解説していた。

 それだけ影響力があるからこそ、記事が書いているように、〈「買わないように」という評価を付けたのは2001年以来だということで、トヨタとしては販売が好調なレクサスへの不信感が広がるのを防ぐねらいがある〉ことからの販売一時停止という素早い対応なのだろう。

 記事は、〈企業の影響を受けずに客観的な視点でテストを行い、消費者向けに評価を公表しています。〉と書いているが、確か商品評価の中立性・公平性を厳格に守るために企業からの資金援助、企業広告の取扱いを一切行っていないと解説していたテレビニュースがあったと思う。

 《トヨタもホンダも畏れる存在! 米コンシューマーレポートの謎》ダイアモンド社/2009年12月2日 瀧口範子)では、テスト用の商品すべてを自腹で購入していると書いていて、製造元の影響を排したその中立性・公平性を暗に示唆している。

 トヨタが〈厳しい品質チェックを行っており、これまでに安全に関する苦情や事故が起きたという情報は一切寄せられていないとしてい〉ながら、「コンシューマー・リポート」が一昨日の4月13日に「買わないように」との商品情報を公表すると、同じ日に販売一時停止を発表する過剰とも言える反応を示した。

 「IBTimes」記事――《「レクサスGX460」、販売中止に-米誌の「買ってはいけない」評価受け》(2010年04月15日 00:18)によると、販売中止が〈コンシューマー・リポートが同車の評価を発表してから数時間後の通達〉となっている。

 だが、トヨタは販売一時停止発表の次の日の14日になって、「レクサスGX460」の北米以外の地域での販売を継続する方針を明らかにしたと《北米以外は販売継続=レクサスSUV》時事ドットコム/2010/04/14-11:55)が伝えている。

 〈トヨタは同モデルを日本で生産。北米では昨年12月に発売し、これまでに約5400台を販売した。中近東、ロシア、オセアニアなどにも輸出している。日本国内では販売していない。〉――

 「コンシューマー・リポート」がトヨタのSUV(多目的スポーツ車)「レクサスGX460」を走行テストしたところ、電子制御で車が横滑りするのを防ぐ装置の作動が他の車と比較して遅いために、高速でカーブを切ったときなどにコントロールが効かなくなり、最悪の場合、横転する恐れがあるとテスト結果を公表し、「買わないように」と評価付けを行った。それを受けてトヨタは販売一時停止を発表した。

 だが、販売一時停止は北米のみで、他地域では販売を継続する。

 トヨタは同じ車でありながら、国によって安全性に違いをつけたことになる。

 〈厳しい品質チェックを行っており、これまでに安全に関する苦情や事故が起きたという情報は一切寄せられていない〉と、その安全性を信じるなら、そのことを主張して販売を続けるべきではないだろうか。

 警告に従って原因を究明するまで販売を一時停止するということなら、原因究明まで他国での販売も停止することが終始一貫した公平な態度ではないだろうか。

 そうしないことは少なくとも二重基準を働くことになる。

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千曲市御柱死者事故に見る人災

2010-04-14 06:26:33 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンス――

 3月11日午後7時頃に千曲市土口の古大穴(ふるおおあな)神社の境内で、御柱祭の参加者が地面に掘った穴に垂直に建てる予定の御柱が突然倒れ、男性4人が下敷きとなって、1人が死亡、1人が腰の骨を折る重傷、他の2人が打撲を負った。

 《千曲の御柱祭で男性1死亡3人けが 柱倒れ下敷きに》信濃WEB/10年4月12日(月) )

 倒れたのはこの日建てる予定だった2本のうちの2本目。

 御柱は長さ10メートル、直径約30センチ。御柱を建てる穴は深さ1・2メートル、直径80センチ程。建てる手順は穴の中に立て掛けた長さ約3メートルの板2枚に横たわった状態の御柱の根元をあてがい、その板をロープを引いてもそれ以上手前に逃がさずに支える支点としてロープを引きながら柱を建てかけていくと同時に根元を板に滑らせていき、穴の底にスッポと落として建てた状態にする。

 穴の深さ1・2メートルは柱が穴の底に立った場合、誰が支えなくても穴の口が支えて倒れるのを防いでくれる十分な深さということであろう。

 いわば柱の根元を穴の底にうまく誘導しさえすれば倒れることはない。

 原理は単純だが、単純どおりにはいかなかった。記事は原因を、〈参加者によると、事故があった御柱は板がずれて穴に落ちなかったとみられ、不安定な状態のまま、綱を引いていた氏子らに倒れてきたという。〉と書いている。

 「板がずれて」と言うことは、板をしっかりと固定してなかったということである。いわばロープを引いてもそれ以上手前に逃がさずに支える支点の役目を負わせていた板がその役目が果たすことができるように手筈を整えておかなかった人間の手落ちがあったということになる。

 そのために穴に立てかけた板にあてがった柱の根元を板に沿って下方に滑らせていって穴の底にスムーズに誘導させることができなかった。

 「NHK」記事も同じ原因を伝えている。《穴に入らぬまま立ち上げたか》(10年4月13日 7時27分)

 〈穴の内側には板が立てかけてあり、柱を板に当てて、板に沿って立ち上げる予定でしたが、引っ張った際に柱が板から外れて穴ではない地上部分に着地したのにそのまま立ち上げようとしてバランスが崩れ、倒れた疑いが強いことが警察への取材でわか〉ったと伝えている。

 要するにロープを引いて人間の力で御柱を立てる際の最も重要な役目をロープを引く人間ではなく、板こそが担っていた。

 ところが人間は往々にして自分たちこそが最も重要な役目を担っていると思い上がってしまう。自分たちが主役だといった高揚感が先走って、柱を建てることだけを考え、そこに視線を集中させて我武者羅に一気呵成にロープを引いていく。最も重要な役目を担っている板がその役目を果たしているか監視することさえしなかった。

 当たり前のことだが、穴に立てかけた板にまだ横たわった状態の柱の根元をあてがうと、地面と同じ高さから上の位置――穴から出た位置に柱が当たることになる。板をしっかりと固定していない場合、ロープを引くことで柱の根元がそこに力が加わると、板の根元は穴の底で逆方向に逃げて、穴の底を塞ぐ形で板が斜めになる。当然、斜めになった板は柱の根元を滑らせにくくするから、滑らせるまでの時間が余分にかかることになって、柱が不安定な状態を保つこととなる。

 これはしっかりと固定していなかった板の不安定な状態に応じた柱の不安定な状態であり、板は一枚板ではなく、二枚板だから、双方の不安定さが相乗的に呼応してなお不安定な状態を招いて中間からくの字に折れ曲がり柱の根元ががそこに間隙をつくる形で突き破って、穴の底に向かって滑っていかずに穴の外の地面に立ててしまうといったことも起き得る。

 板は根元を土中に打ち込んで固定するか、あるいは穴の逆の壁と板の間に穴の底の位置で何本か突っかい棒を水平にあてがって固定し、尚且つ二枚板だから、板の頭の部分をくの字にも一枚一枚離れることもないように細い板を当てて釘打ちするかして固定することと、柱を立てかけるためにロープを最初に引き始めたとき、板が柱の根元を手前に逃がさずに支える支点の役目を果たしているか監視し、ロープを引く周囲に適宜合図を送る監視者を画像から見ても置いなかったようだが、置いていさえすれば、万が一柱の根元が板からずれたとしても、その時点で素早く中止の合図さえ送れば、柱を穴とは別の地面に建てかけてしまうといったことまでは起きなかったはずだ。

 あるいは板の根元は動かないように固定してあったかもしれないが、「引っ張った際に柱が板から外れ」たということは板2枚の幅は少なくとも柱の直径30センチの倍以上の長さがあったろうから、板に柱の根元をあてがった状態で画像に描いてあるように斜め左右からロープを引けば、左右の引きが少しぐらい違っても、板から外れることはなく、それが外れたと言うことは板の頭のみ固定してなかったことになる。  

 まさしく人間の油断が招いた人災事故ということではないだろうか。

 それが自然災害であっても、初期活動の遅れから多くの死者を出すことになった阪神大震災が証明しているように被害を大きくする多くのことは人災だったり、あるいは救える命を徒に死なせてしまうのも人災だったりする。警報遅れ、連絡間違い、あるいは鹿児島県霧島市で小学3年生の男子児童が天窓から落下して大怪我をした事故のように再発防止の学習とする記憶しておくべき注意事項を風化させてしまう等々、枚挙に暇のない人災が繰り広げられている。

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民主岐阜県連の党体制刷新申入れは成算あっての要求なのか

2010-04-13 05:11:25 | Weblog

 
《NHK世調 内閣支持率32%》NHK/10年4月12日 19時56分)(一部抜粋引用)

 鳩山内閣を「支持する」 ――32%(先月比-6ポイント)
      「支持しない」――56%(先月比+6ポイント)

 支持しない理由
  「実行力がないから」     ――41%
  「政策に期待が持てないから」――35%

 夏の参議院選挙で、民主党が参議院で単独過半数を占めることは望ましいと思うか

 「望ましい」          ――13%
 「どちらかといえば望ましい」  ――20%

 「どちらかといえば望ましくない」――25%
 「望ましくない」          ――29%

 《民主「新体制」構築を申し入れ 岐阜県連》47NEWS/2010/04/12 13:11 【共同通信】)

 民主党岐阜県連(代表・平田健二参院国対委員長)が12日、党や内閣の支持率下落を踏まえて夏の参院選に大きな影響が避けられないからと「新体制」構築を党本部に申し入れたという。具体的には名指しは避けたものの、小沢一郎幹事長らの辞任を求める県連内部の意見を反映させた内容だそうだ。

 〈申し入れ書は10日の県連常任幹事会で決定。「政治とカネの問題に関し、国民の声を尊重し、さらなる説明責任を果たすとともに、政権政党として責任ある対応を考え、速やかに新体制を築くこと」を要請している。〉

 代表の平田健二参院国対委員長が12日に国会内で記者会見に応じている。

 平田「内閣や党の支持率低下で党員が危機感を持っている。参院選に必勝できる体制をつくろうという趣旨だ」――

 鳩山首相や小沢幹事長が“新体制構築”に応じる成算があっての申し入れなのだろうか。いわば小沢幹事長が辞任に応じる成算があって、申し入れたのだろうか。

 その逆で成算ないままに行ったのだろうか。

 同じ内容を扱った《民主岐阜県連が党体制の刷新要求、地方組織では初 小沢氏更迭論背景に》msn産経/2010.4.12 12:58 )は題名どおり、〈政権交代後、民主党の地方組織が党体制の見直しを申し入れるのは初めて。〉と解説している。

 〈申入書は「(内閣)支持率低下に歯止めがかからない状況で、参院選への大きな影響は避けられない」と危機感を表明。鳩山首相や小沢氏の名指しは避けたものの「政治とカネ」の問題で「さらなる説明責任」を果たすよう促し、党代表の鳩山首相に「速やかに新体制を築く」よう求めた。〉――

 それとも、岐阜県連がトップを切ることで後に続く県連の続出を期待し、大勢を占めることで“新体制構築”への圧力となるとの計算から行ったということなのだろうか。

 勿論、小沢辞任の声が例え大勢を占め、それが小沢幹事長にとっての四面楚歌となったとしても、小沢幹事長が辞任するという確信的な成算を必要とする。

 もしも小沢幹事長が自ら辞任に応じなければ、鳩山首相には小沢幹事長を切るだけの力はないだろうから、辞任要求の反小沢との党内抗争へと進むのは確実で、そのことをマスコミが露出報道することとなって、国民は主として党内抗争の視点で民主党の動向を見ることになる。

 麻生政権末期の、「麻生では総選挙は戦えない」、「総裁選を前倒しして選挙の顔を変えるべきだ」、「早期解散の要求」といった動きが活発化、中川秀直元幹事長が自民党総裁選の前倒しを目指して両院議員総会開催を求める署名集めを開始、麻生内閣の閣僚であった与謝野財務相や石破農相も署名に応じたばかりか、二人は首相官邸に麻生首相を訪ねて首相に自発的な辞任を求める、いわば身内の反乱を起こしさえしたが、麻生首相が総選挙前の総裁選の前倒しも任期途中の辞任にも応じなかった結果、党内抗争化して党の混乱、足並みの乱れ、党の分裂を印象づけただけで、国民の多くが麻生首相の政権担当能力、あるいは指導力に一挙に疑問符をつけることとなって、それが不利に働いて政権交代を招く大きな要因の一つとなったことは否めない。

 民主党がその二の舞を自民党に引き続いて演じることとなった場合、当然内閣支持・政党支持の世論に何らかの影響を与えることとなり、答は参議院選挙で自ずと出てくることになる。いわば支持率低下になおさら歯止めがかからない状況をつくり出すことになることは確実であろう。

 生方騒動も結局は党内騒動の印象づけと内閣支持率低下に力を貸しただけで終わった。
 
 問題は参議院選挙での勝敗である。選挙まで残す時間は余すところ僅か約3カ月。岐阜県連に引き続いて他の県連が小沢辞任に同調し、それが大勢意見となったとしても、参議院選挙までのどの時点でそういった状況をつくり出せるか、なおかつそれが同じく参院選挙前のどの時点で小沢幹事長を辞任に追い込む力となり得るのか計算を成り立たせた上での“新体制構築”の申入れでなければならないはずだ。

 そういった計算を成り立たせていなければ、内紛、ゴタゴタを参議院選挙まで持ち越すことになる。党内人事によってではなく、参議院選挙がすべての答を出すということである。

 また、小沢幹事長を参議院選挙前に切ることができたとしても、切ったなら、切ったで党を割る可能性も出てくる。政界再編という動きが生じ、それが岐阜県連にとって望ましい方向なら構わないが、今度はそうなるという成算がなければならない。

 例え政界再編であっても、共倒れという方向を取る可能性も否定できない。当然、“新体制構築”の申入れには共倒れということになってもいいという覚悟が含まれていなければならないことになる。

 そこまで計算した“新体制構築”要求なのだろうか。

 小沢辞任の成算がなければ、辞任要求よりも、共倒れ宣言、共倒れも止む得ないと宣言をした方が、潔く戦えるのではないだろうか。少なくとも国民の目にゴタゴタを見せずに戦えるはずである。

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鳩山首相「アメリカの言いなりにならない」の言葉の軽さ

2010-04-12 07:23:35 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを――
 
《米タイム誌インタビュー 首相「今まで従属的…米の言いなりならぬ」》msn産経/2010年4月10日(土)08:00)

 鳩山由紀夫首相は9日までに米タイム誌のインタビューに応じ、日米関係について「日本にとって最も大事な関係」としながらも、「今までは米国の主張を受け入れ、従属的に外交を行ってきた」と指摘した。その上で「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」と強調した。

 首相はこれまでも、「米国にも言うべきことを言う」などと、対等な日米関係の構築を唱えてきた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題が難航しているだけに、波紋を広げそうだ。

 日中両国の経済力に関しては「中国の人口は日本の約10倍で、いつか日本のGDP(国内総生産)を抜くのは当然だ。経済的により良い日中関係を作る方が大事だ」と述べた。

 ただ、中国の軍事力に関しては「透明性が十分ではない。軍事力の急速な伸びを、常に注視しなければならない」と懸念を示した。

 インタビューは3月30日に行われた。

 「一方的に相手の言いなりになるよりも」とは「一方的に相手の言いなりになる」ことへの拒絶宣言そのものの発言であろう。いわば記事題名で書いているように、「一方的に相手の言いなりにならない」と言ったと同然の言葉となっている

 普天間の移設先を具体的に日米共同で検討する実務者協議開催を岡田外相がルース米駐日大使との4月9日の会談で求めたのに対してアメリカ側が時期尚早だとして拒否したと《普天間「5月決着」絶望的、実務協議断念へ》YOMIURI ONLINE2010年4月11日03時07分)が伝えている。

 理由を次のように書いている。〈政府がまとめた新たな移設案は実現可能性が低いとして、米側が実務者による協議入りを拒否し、日本側が同日、協議開催を当面断念する方針を固めたためだ。〉――

 時期尚早の具体的理由は、

 〈1〉米軍の運用面で現実的でない
 〈2〉受け入れ先の地元合意がない
 〈3〉移設実現の期限が不明――等を挙げたという。

 日本政府の移設先案は米軍キャンプ・シュワブ陸上部とホワイトビーチ埋め立て、そして県外の鹿児島県徳之島へのヘリ部隊分散移設だが、すべて地元合意を第一前提としなければ、他の条件を成り立たせたとしても、その努力はムダとなる。

 それとも実務者協議で日米合意という既成事実を作り上げてから、日米合意の既成事実を楯に地元合意を強制する頭があったのかもしれない。地元合意に新たな障害となる1月24日の名護市長選挙での普天間辺野古移設反対派の稲嶺進氏の初当選に対して、平野官房長官が、「民意の1つであることは事実であり、それを否定はしないが、今後の検討では、そのことを斟酌して行わなければいけない理由はないと思う。名護市辺野古への移設という選択肢をすべて削除するということにはならない」 と、地元民意の無視を意志した前科がある。地元民意の無視とは地元合意の無視、あるいは地元合意の強制を意味する。

 だが、それ以前の問題として協議に入るために必要な米合意が立ちはだかって、地元合意に立ち戻らざるを得なくなったということではないだろうか。

 地元合意に関して記事は次のように解説している。

 〈一方、政府案で移設先に選ばれた沖縄県や徳之島では反発が日増しに強まっている。徳之島では、政府は関係自治体に移設の打診すら実現できていない。

 同島にある伊仙町の大久保明町長は10日、防衛省幹部からの会談申し入れを8日に拒否したことを明らかにした。〉――

 岡田外相がルース米駐日大使と会談して実務者協議入りを拒否されたのはの4月9日。その前日の4月8日に防衛省幹部は徳之島伊仙町大久保明町長との会談を拒否されていた。地元合意がこのような状況にあるにも関わらず、日本側はアメリカ側に移設先を具体的に検討する実務者協議入りを要求したのである。

 いわば基地受け入れの地元当事者の意向抜きの具体的な検討を求める逆の手順を踏んだことになる。

 そもそもからしてアメリカ側はこの実務者協議入り拒否を示すサインを前以て出していた。

 《移設問題“正式な提案必要”》NHK/10年4月7日11時34分)

 記事は岡田外務大臣が先月3月29日にゲーツ国防長官やクリントン国務長官と会談して日本政府内の検討状況を説明した概要に対してアメリカ側の反応を伝えたアメリカの外交専門誌「フォーリン・ポリシー」の6日付け電子版の記事を紹介する形を取っている。

 「フォーリン・ポリシー」はアメリカ側の反応を複数の政府当局者の話として次のように伝えている。

 〈日本政府が示した現行案に代わる新たな移設案は、計画の概要だけで詳しい内容はなく、アメリカ側は日本側に何の対案も示せない状況〉にあると。

 そしてこのことを米「当局者の1人」の発言の形で具体的に代弁させている。

 「日本側が提示したのは提案ではなく、議論の準備段階のアイデアや概念だ。ボールはなお日本側にあり、日本は正式な提案を示す必要がある」

 正式な提案とはなっていない、「アイデアや概念」に過ぎないと酷評している。

 先月3月29日の時点で正式な提案とはなっていないと扱われ、4月9日の岡田・ルース会談で日本政府の移設案は実現可能性が低いからと実務者協議入りを拒否されたということは、日本側の提案に見るべき進展がなかったことを示している。

 そして10日に日本側は実務者協議開催を当面断念する方針を固めた。相手にされなかったのだから、止むを得ず断念ということなのだろう。

 だが、先月3月29日から岡田・ルース会談の4月9日の間の3月31日の鳩山首相と自民党谷垣総裁の党首討論で鳩山首相は普天間移設先として、「私には今、その腹案を持ち合わせているところでございます。そして、関係の閣僚の皆様方にも、その認識の下で行動していただいているところでございます」、「腹案は、現行案と比べて、少なくとも同等か、それ以上に効果のある案だと自信を持っている」と発言し、内容を明らかにすることは障害が生じるからと明らかにしなかったものの、自らの“腹案”に太鼓判を押している。

 この太鼓判についてはアメリカ側も十分に把握した情報となっているはずであるし、「腹案は、現行案と比べて、少なくとも同等か、それ以上に効果のある案だ」と日本の首相が自ら言っている以上、5月末決着という時期の点から見ても、アメリカ側は日本政府の最終案と看做したはずである。

 だが、その“腹案”(=最終案)さえもアメリカ側は実務者協議入りするには満足な材料とはなっていないと一蹴した。

 そこへもってきて米タイム誌のインタビューで、「今までは米国の主張を受け入れ、従属的に外交を行ってきた」「一方的に相手の言いなりになるよりも、お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」の発言が飛び出した。

 「お互いに議論を通じ、信頼を高めていく」とオブラートに包んで婉曲的に言ったつもりかもしれないが、アメリカ側から見た場合、鳩山首相自らの“腹案”(=最終案)に対するアメリカ側の拒絶に向けた反撥だと取られても仕方のないタイミングの発言ではなかったろうか。いわばアメリカの拒絶に対する“一方的に相手の言いなりになりません”の鳩山首相の拒絶ではないかと。

 例え基地移転問題で曲折や紛糾があったとしても、そのことで日米関係全体が険悪な対立関係に陥るわけではない。同盟の歴史も抱えている。そのような関係を持った国に対して、“一方的に相手の言いなりになりません”の意図をあからさまに持った刺激的で直接的過ぎる発言を一国の指導者が発していいものだろうか。

 口には出さずに日米関係を構築していく場面で、あるいは日米間に生じた様々な交渉の場で態度で示すべき事柄であろう。例え首相がかねてから、「米国にも言うべきことを言う」と対等な日米関係の構築を唱えていたとしても、それを態度として実質的に示すことができなければ空論で終わるのと同じく、“実質的態度”を一貫した必要条件とする以上、やはり口で言うべき“一方的に相手の言いなりになりません”ではなかったということではないだろうか。

 もし言うべきではないことを言ったということなら、言葉の軽い人間と看做されたとしても仕方はあるまい。

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