安倍晋三の総選挙、消費税増税延期に騙されてはいけない

2014-11-20 06:26:12 | Weblog



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 《衆議院が解散する、大失政をごまかすための解散だ。》森ゆうこ生活の党前参議院議員

 表題の通り、アベノミクスと消費税の増税は大失政である。

出口戦略のないまま80兆円もの大量の資金を市場に投入し、15兆円以上の補正予算を組みながら、昨日発表されたGDPは経済評論家やマスコミなどの予想を大きく下回るマイナス1.6%とというものであった。

 当然の結果である。

 急激な円安によって一部の輸出大企業は収益を大幅に増大させ、更には消費税の増税によって、消費税5%時代約3兆円であった輸出戻し税というリベート(経済評論家 岩本沙弓氏)を増額してもらうことになる。

 一方、勤労者のほとんどが所属する中小・小規模事業所は、円安による原材料の高騰や消費税増税分を実際には価格に転嫁できず、従業員の給料を上げるどころか、収益の悪化に苦しんでいる。

 改めて言うまでもなく、日本はドイツなどのようにGDPの半分を貿易で稼ぐ国ではなく、7割が国民の消費による「内需の国」である。

 国民の可処分所得が増えなければ景気が回復して税収が増えるはずがないのである。

 安倍総理は記者会見で、アベノミクスは上手くいっているが経済は生き物だから現在の状況では消費税増税を先送りにせざるを得ないと言いながら、その生き物である経済状況に関係なく平成29年4月には必ず10%に引き上げると宣言した。

 全く矛盾と欺瞞に満ちている。

 このままでは社会保障の財源を確保するどころか、格差が拡大して生活が苦しくなり国の借金が増えるだけである。

 今必要なのは、国民の可処分所得を増やし、超高齢社会を安心して暮らすことができることを保障し、少子化をストップすることの出来る、一言で言えば「国民の生活が第一」の政治を実現することである。

 ともあれ衆議院は解散する。

 原発再稼働、特定秘密保護法、解釈改憲による集団的自衛権行使容認、派遣労働の拡大などに対して反対の意思を示す最大のチャンスである。

 国民の皆さんには主権者としての権利を行使し義務を果たしてほしい。

 森ゆうこ
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       《11月17日(月)小沢一郎代表定例記者会見要旨 党HP掲載》

      『総理の保身の為の選挙、国民をないがしろにしている』

      【質疑要旨】
      ・現在の経済状況と解散について
      ・沖縄県知事選挙、翁長氏当選について
      ・野党の連携、選挙協力について
      ・岩手県内の候補者擁立と知事選挙について
      ・内閣不信任案提出について
      ・新党結成について

 「騙されるな」は英語で「Do not be deceived.」と言うらしい。

 内閣府11月17日発表7〜9月期国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値2期連続のマイナス結果を受けて安倍晋三が11月18日夕方、首相官邸で記者会見を開いて、消費税10%への増税の2017年4月まで1年半先送りをすることを公表、11月21日の解散を宣言した。

 安倍晋三「本日、私は消費税10%への引き上げを法定どおり来年10月には行わず、18カ月延期すべきであるとの結論に至りました。

 ・・・・・・・

 国民生活にとって、そして、国民経済にとって重い重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきである。そう決心いたしました。今週21日に衆議院を解散いたします。消費税の引き上げを18カ月延期すべきであるということ、そして平成29年4月には確実に10%へ消費税を引き上げるということについて、そして、私たちが進めてきた経済政策、成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうかについて、国民の皆様の判断を仰ぎたいと思います」

 記者との質疑では次のように答えている。

 安倍晋三「税制こそ議会制民主主義といってもいいと思います。その税制において大きな変更を行う以上、国民に信を問うべきであると考えました」――

 マスコミの各社世論調査では消費税の10%への増税をほぼ70%以上の国民が反対している。

 少数派の賛成者は「社会保障制度の維持」を挙げているが、反対派の多くは「家計への負担」を理由としている。

 この点から窺うことのできる事実は賛成派は生活に余裕があり、先のことを考えることができるが、反対派は先のことよりも今を考えなければならない生活を送っているということであろう。

 当然、70%を超える国民は安倍晋三の消費税増税の1年半の先送りを歓迎することになる。しかも2017年4月の消費税率10%への引上げ時に生活必需品の税率を低くする「軽減税率」の同時導入案に前向きの姿勢を見せているというから、再増税を抵抗感なく受入れることができるように見える。

 だが、騙されてはいけない。Do not be deceived!

 どうしても消費税再増税が必要であったなら、なぜ5%から8%に増税するとき、軽減税率を導入することができなかったのか。導入しておけば、中低所得層等の中間層以下の生活負担感を和らげることができたはずだ。

 だが、自民党は税収が減るからと、政府の財政運営を第一番に考えた。勿論、年々急増加していく社会保障費の手当と維持を理由としていたが、今まで社会保障費に使っていたカネを消費税増税分で賄うことによってカネの使い途に余裕が出てくる。当然、そのための増税でもある。

 また、軽減税率導入には対象品目の選定が困難であることとか、生活必需品の線引きが難しい、税率が異なることになって事務負担が増える、納税申告者である小売店の負担が重くなる、高額所得者の方が食品にしても何にしても使うカネが多い分、軽減税率の適用が必要ないにも関わらず低所得者よりもその恩恵をより多く受けることになって得をし、その分税収も減るなどのデメリットを挙げているが、解決できない問題ではない。

 先ず欧米各国が既に日本の消費税に当たる付加価値税に軽減税率を設けて、支障なく運営しているのだから、参考にすれば、対象品目の選定や生活必需品の線引きの困難さは解決できる。

 税率が異なることになって事務負担が増える点についてはパソコンソフトが開発されるだろうから、品目を入力しさえすれば、後は税務署への申告書類も自動的に作成されるはずだ。

 小売店の負担にしても、零細小売店がバーコードを使用していなくても、小型コンピューター内臓のレジスターを用意すれば、売り上げ商品のボタンを押すだけで合計単価を計算してくれるといった形式にできないことはないだろうし、月毎、年毎の収支報告書が作成できる仕掛けにしておけば、負担はなくなる。

 そういったレジスターが高額となり、零細小売店がなかなか手に入れにくいなら、政府が補助金を出せば済む。

 ドイツではレストラン等店内飲食は19%の付加価値税がかかるが、テイクアウトの場合は7%だという。口に入れるものは同じであるのに手間のかかり具合で分けている。だが、複雑で面倒という問題は起きていないらしいし、消費者にとってより公平な税率ということになる。

 ドイツでは家賃や医療費、口座維持費、教育関係費なども非課税となっているという。

 軽減税率が低所得者対策よりも高額所得者対策となってしまうという矛盾は高額商品に対する消費税を15%とか20%にすれば解決できない問題ではない。

 例えば住宅建設に補助金制度や減税制度を設けているが、億単位の住宅建設・住宅購入には適用除外とし、尚且つ消費税を15~20%掛けることで食品等の生活必需品に対する軽減税率で低所得者よりも高額所得者がより利益を得る矛盾とのバランス、あるいは税収減とのバランスを取ることができるはずだ。

 フジテレビの「新報道2001」だったか、アグネス・チャンが6億もする豪邸に住んでいる様子を伝えていたが、日本ユニセフ協会大使に任命されていて、アフリカなどの貧しい国の貧しい国民を視察する、その皮肉な矛盾に驚かされたが、6億もの豪邸は消費税はより高くする価値は十分にあるはずだ。

 何十万とするルイ・ヴィトンやエルメス、シャネル、グッチといった高級ブランド品に対しても、10%以上の税率とすべきだろう。

 こうすることによって食品やその他軽減税率を導入した場合の高額所得者の恩恵を相殺できるはずだ。

 内閣府の2014年8月8日発表の《消費税率引上げ後の消費動向等について》を見てみる。

 旅行会社〈ボーナスの影響もみられ高額商品の売れ行きは好調であるものの、消費者の節約志向もうかがわれ、低価格商品は伸び悩んでいる〉

 百貨店A〈7月を見ると、クリアランスセール(在庫一掃セール〉の効果が今一つだった。ラグジュアリー品(高級品)についても、外商( デパートなどで店舗外で外交員によって行われる販売)は比較的堅調だが、一般顧客の動きが改善しない。〉

 一般顧客は消費税8%の家計への負担が消費を差し控えさせているのに対して高額所得層はデパートの外交員を家に呼び、高額なラグジュアリー品を購入して生活の負担感もなく物質欲を満足させている。

 消費税再増税を先送りしたことで、一方で増税分で充当する予定だった待機児童の解消に向けた保育施設の整備や保育士の増員等の子育て支援事業、所得の低い年金受給者に最大で月額5000円程度を支給する事業、年金の受給資格獲得必要な加入期間の25年から10年の短縮措置等の低所得者対策事業に財源不足が生じるという。

 最終的にはどこかから手当するだろうが、既に8%に消費税が増税している現実は消すことができないし、平成29年4月に10%消費税が確実に待ち構えているなら、8%時点で生活必需品を対象とした軽減税率の導入を果たしておけば、中低所得層にとって10%の再増税が予定通り行われても生活の負担感は8%と10%でさして変わらないだろうし、同時に高額品に対するより高い税率の設定をしておけば軽減税率導入による税収の減少分を補うことができただろうから、先送りの必要は生じなかったはずだ。

 当然、子育て支援や低所得者対策に対する財源捻出の問題にしても起こらなかった。

 消費税増税延期はアベノミクスの成功だけを目的とした決定であって、一般国民の生活を真に考えた決定ではない。騙されてはいけない。Do not be deceived!

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安倍晋三の解散はアベノミクスの失敗が国民の目に明らかになった場合に備えた小泉任期超えを狙った個利個略

2014-11-19 05:41:21 | Weblog



      生活の党PR

       《11月14日(金) 鈴木克昌代表代行・幹事長定例記者会見》    

      『今解散総選挙をするというのは、党利党略を超えた個利個略に近い』

      【質疑要旨】
      ・衆議院解散総選挙の争点
      ・自民党、高村副総裁発言について
      ・民主党との連携について
      ・民主党以外の野党との連携について

 安倍晋三は昨日11月18日夕方の解散記者会見で消費税10%増税の先送りの理由について、アベノミクスは成功しつつあるが、消費税の8%への増税が成功の阻害要因となるためだとしている。

 安倍晋三「ここで皆様に申し上げておきたいことは、3本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつあります。経済政策において最も重要な指標、それはいかなる国においても雇用であり、賃金であります。政権発足以来、雇用は100万人以上増えました。今や有効求人倍率は22年ぶりの高水準です。この春、平均2%以上給料がアップしました。過去15年間で最高です。企業の収益が増え、雇用が拡大し、賃金が上昇し、そして消費が拡大していく、そして景気が回復していくという経済の好循環がまさに生まれようとしています。

 ですから、私は何よりも個人消費の動向を注視してまいりました。昨日発表された7月から9月のGDP速報によれば、個人消費は4月から6月に続き、1年前と比べ2%以上減少しました。現時点では、3%分の消費税率引き上げが個人消費を押し下げる大きな重石となっています。本年4月の消費税率3%引き上げに続き、来年10月から2%引き上げることは、個人消費を再び押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断いたしました」

 だが、格差について何も触れていない。「政権発足以来、雇用は100万人以上増え」たとしても、正規社員は減少し、非正規社員が増加していく流れを辿っている。このことは賃金抑制の圧力を示し、格差拡大を意味する。

 当然、「有効求人倍率は22年ぶりの高水準」にしても、非正規社員が漸次増加していく傾向の「高水準」であって、格差を内包した「高水準」ということになる。賃金もこの格差を反映することになって、「平均2%以上給料がアップ」も、正規社員、それも大企業の正規社員により多くの金額が集中した「給料がアップ」であって、非正規社員は除外されていることは断るまでもない。

 今年の春闘の回答は、「NHK NEWS WEB」記事が伝えるところでは、正社員の平均賃金引上げ額(「ベースアップ+定期昇給」)は月額5981円であて、非正規労働者の時給の平均は昨年比+1.36円の11.43円。

 非正規労働者の1日労働時間を8時間、月25日労働とすると、8時間×11.43円×25日=2286円。正社員平均賃金引上げ月額5981円-非正規均賃金引上げ月額2286=3695円の格差である。

 しかも非正規雇用は労働者全体の4割弱の計約2000万人で、労組に加入している人は80万人に過ぎないという。残る1980万人は時給当たり1.36円の賃上げに恵まれたかどうかである。

 格差は拡大している。アベノミクスが成功すればする程、格差は拡大していくことになる。いわば安倍晋三は格差を隠蔽したアベノミクスの成功を語っているに過ぎない。

 富める者が益々富む中で貧しき者が少しでもお裾分けに預かることができるならいいが、安倍晋三がもう一つ隠していることがアベノミクス成功を阻害する要因となって立ちはだからない保証はない。人手不足である。

 安倍晋三は東京に一極集中した人口を地方に戻して企業を起こし、地方を活性化させることを主体とした「地方創生」を掲げて、「アベノミクスの効果を全国津々浦々に波及させていく」と豪語しているが、東大日本大震災復興によって人手不足が生じ、アベノミクスによる僅かな景気回復がそれに輪をかけた。いわば景気が回復する程に人手不足が増していく。しかも日本の人口は縮小の方向に向かっている。人口統計上も労働力は減少傾向にあることになる。

 いわば人手不足と人口減少を合わせた労働力のパイが縮小していく状況下で全国津々浦々、各地方の経済を万遍なく活性化させていくために必要とする人手・雇用を確保するということは自己矛盾そのものである。

 アベノミクスが成功の道を歩むとしたら、人手不足の壁にぶち当たり、あるいは「地方創生」によって各地方が多くの若者その他を集めて津々浦々経済的に活性化していくとしたら、同じく人手不足の壁にぶち当たることになって、無理に人手を掻き集めようとしたら、経済の活況に基づいた賃上げではなく、員数揃いのための賃上げ競争が起きて、逆に企業の経営を苦しめ、見えてくるのは虻蜂取らずの苦境といったところだろうか。

 既に人手不足が賃上げの誘引となっている。よりよい給与を提示しなければ、人が集まらない、あるいは既存社員の給与を据え置いたなら、転職されてしまう恐れがあるからと、賃上げを行う。だが、GDPは二期連続のマイナスである。賃上げをしたものの、業績が芳しくなく、経営が苦しくなっている中小企業も存在するということを聞く。

 格差と人手不足。外国からの「高度人材活用策」も「外国人技能実習制度」の拡充も根本的な解決策となるわけではない。

 しかも安倍晋三に残されている時間は短い。人手不足は待ったなしで、格差拡大が悪性の癌腫瘍のように進行している。これらによってアベノミクスの成功が覚束なくなったなら、支持率は下がって、政権が立ち行かなくなる恐れが出てくる。

 だが、ここで解散しておけば、例えアベノミクスの失敗が国民の目に明らかになったとしても、選挙に勝利して4年間どうにか政権を維持したなら、戦後、佐藤栄作、吉田茂に次ぐ第3位の5年5カ月の在任期間を誇った小泉純一郎を抜いて6年の在任期間を記録することができる。

  安倍晋三は昨日の解散記者会見で記者から勝敗ラインを問われて、次のように答えている。

 安倍晋三「自民党、公明党連立与党によって過半数を維持できなければ、私たちの三本の矢の経済政策、アベノミクスを進めていくことはできません。過半数を得られなければアベノミクスが否定されたということになるわけでありますから、私は退陣いたします」――

 要するに勝利を予定している。余程のことがない限り4年間の任期を獲ち取ることができることになる。

 外国を何カ国訪問して、首脳会談を何回開いたと、単なる数字でしなかい記録を以って自身の外交能力とするような政治家である。当然、任期という記録に拘ったとしても不思議はない。

 鈴木克昌生活の党代表代行・幹事長 11月14日の定例記者会見で、「今解散総選挙をするというのは、党利党略を超えた個利個略に近い」と言っているが、まさにそのとおりだろう。

 安倍晋三の任期に立ちはだかるとしたら、来秋の自民党総裁選であろう。そのときアベノミクスの失敗が国民の目に明らかになっいたなら、石破茂か誰かに取って変わられる恐れが出てくる。

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アベノミクスに冷水を浴びせたGDP速報値、甘利が安倍晋の「デフレからの脱却を目指す」は失敗したと明言

2014-11-18 06:01:20 | Weblog

 
 内閣府11月17日発表の2014年7月~9月GDPの伸び率速報値は物価変動除外実質で前の3カ月間と比較マイナス0.4%、年率換算でマイナス1.6%の低い水準にとどまった。年率7.3%減だった4~6月期に続く2四半期連続のマイナス成長で、直前の市場予測(約2.5%増)さえ裏切る悲観的結末となった。

 マスコミ記事を切り貼りすると、こういうことになるらしい。

 いわば実体経済はアベノミクスに景気停滞の冷水を浴びせた。

 主な原因は2期ぶりのプラスとなったものの、伸びが0.4%しかなかった個人消費の停滞と製品の在庫減少だそうだ。つまり生産が不活発の状態にあった。

 この二つは深く関連し合っている。個人消費が活発で、物が売れていれば、在庫してある物から先に出荷するが、物が売れている状況が在庫が減っている分を補う形で生産が後を追うことになる。

 だが、個人消費が低迷、物が活発に売れていないから、在庫の取り崩しで間に合わせて、生産をセーブすることになる。

 安倍晋三にとってもこの実態は予想外だったはずだ。

 経済再生担当相の甘利明がこのGDP速報値に関して言及している。《経済再生相 デフレマインド払拭しきれず》NHK NEWS WEB/2014年11月17日 12時10分)  

 甘利明「民間予測のプラスに近いことを期待していたが、マイナスの大きな要因は消費だ。デフレマインドを払拭しきれないなかで消費税率を上げたインパクトが想定より大きいということだ。

 総理があす以降、(10%増税について)何らかの判断をするのではないか。最も大事なことは消費税率引き上げによって景気が失速し、デフレに戻ってはならないということだ。

 アベノミクスは失敗していないと思う。経済環境をよくして企業業績を伸ばし、賃金に反映される。こうしたことが消費を後押しするという循環は成功している」――

 甘利明は以前、10%への増税について、「予定通り引き上げることがベストだ」と言っていながら、「最も大事なことは消費税率引き上げによって景気が失速し、デフレが戻らないことだ」と、ベストをご都合主義にも変えている。

 甘利はGDPの「マイナスの大きな要因は消費だ」と言いながら、「アベノミクスは失敗していない」と言い、「景気の好循環は成功している」との趣旨のことを言っているが、個人消費は伸びず、この低迷を受けて生産が停滞しているGDP速報値が示す実態からは言っている通りの光景は見えてこない。

 民主党の前原誠司が国会やテレビの報道番組で、「消費税を増税する前から実質賃金は減っている、消費税の影響じゃない」といったことを繰返し発言しているが、少なくとも5%から8%への増税と円安による輸入原材料高騰に連動した生活用品高騰に抵抗感なく個人消費に走ってもいい程の賃金上昇の恩恵に恵まれていないから、関連し合う形で企業業績も停滞しているということであって、甘利の言っていることは事実に反する口先だけの「成功」に過ぎない。

 何よりも問題なのは「デフレマインドを払拭しきれないなかで消費税率を上げたインパクトが想定より大きいということだ」と言っていることである。

 消費税増税は民主党野田政権下での民自公3党合意と3党合意に基づいた増税法案の成立で決めたことで、その影響を計算に入れて、安倍晋三は「デフレからの脱却を目指す」と言っていたはずだ。

 いわば織り込み済みの影響でなければならなかった。

 織り込み済みの上にデフレからの脱却を目指していたことは2014年9月3日の安倍改造内閣発足記者会見の発言に現れている。

 竹内日本テレビ記者「留任した麻生財務大臣と、この新しく起用された谷垣幹事長は、両者とも消費税率の引上げには前向きな発言をされておりまして、来年10月の10%への引上げの流れが、これで強まったのではないかという見方があります。総理御自身がこの年末の最終判断をされるわけですけれども、どういうふうに考えられているのか、現時点でお聞かせ願えますか」

 安倍晋三消費税率を8%、そして10%に引き上げていく、これは国の信認を維持するとともに、現在のこの社会保障制度、年々給付が増えていくわけでありますが、この社会保障制度を次の世代に引き渡していくという責任を果たすためのものでもあります。また、子育て支援もしっかりと行っていく、そのための消費税の引上げであります。

 しかし、その中において、我々はデフレから脱却をして経済を成長させていく必要があります。そのことによって税収も増えていくわけでありますが、こうした認識においては、麻生大臣も、勿論そうでありますが、同じ閣内にいた谷垣さんも全く同じ考えであります。そういう考え方の下に、そもそも我々は野党時代にこの法案に賛成し、かつ、その後、政権をとってから、我々は成長戦略をしっかりと進め、デフレからの脱却を目指して、今、成長を回復することができたわけでございまして、そういう認識においては、谷垣さんと全く一緒だと言ってもいいと思いますし、先般も実は谷垣さんとこの問題についてもお話をいたしました。
 
 この消費税10%への引上げについては、これまでも申し上げてきたとおり、7月、8月、9月の経済の回復を含めて、経済状況等を総合的に勘案した上で年内に判断をいたします。今後とも冷静に分析を行いながら、しっかりと対応していく考えでありまして、早期に経済を成長軌道に乗せ、アベノミクスの効果を全国津々浦々に波及させていくように、谷垣幹事長とも力を合わせながら全力を尽くしていく考えであります」――

 国の信認維持と社会保障制度維持を再優先の目的として8%、そして10%への引き上げを予定通りに策しているということは、その影響は織り込み済みであるということであり、さらに影響を排してデフレからの脱却を目指しているということでもあり、そのように目指していながら、10%への引き上げは7月から9月の「経済状況等を総合的に勘案した上で年内に判断する」と矛盾したことを言っている。

 当然、甘利が「デフレマインドを払拭しきれないなかで消費税率を上げたインパクトが想定より大きいということだ」と言っていることは、消費税増税の影響を織り込み済みでありながら、それが狂って、目指したデフレからの脱却に失敗したと明言しているのと同じ意味となる。

 つまりアベノミクスは消費税増税と為替政策を受けた円安によって物価をインフレ方向に持って行くことには成功したが、国民のデフレマインド払拭には失敗した。

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日中首脳会談開催合意文書解釈に見る岸田外相の薄汚いゴマカシ

2014-11-17 09:11:33 | Weblog



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       《11月16日『沖縄県知事選挙結果を受けて』 鈴木克昌生活の党幹事長談話》
      『沖縄県知事選挙結果を受けて』

     平成26年11月16日
     生活の党代表代行・幹事長 鈴木克昌

     本日投開票が行われました沖縄県知事選挙において、生活の党が支援しました翁長雄志候補が初当選を果たしました。沖縄県の多くの皆
     様にご支援を賜りましたことに心より感謝申し上げます。

     これまでの選挙は、基地をはさんで保革に分かれ、経済か平和を中心とする選択を県民に迫るものでした。しかし今回の選挙では、そう
     したイデオロギー対立ではなく、県民との公約を遵守できるリーダーか否かが問われました。 沖縄県民の多くの皆様が、オール沖縄の
     『建白書』で先導的役割を担い、信念のぶれない翁長雄志候補を新しい知事に選ばれたことに心より敬意を表します。

     安倍政権は、今回の選挙で示された県民の意思を真摯に受け止め、辺野古埋め立てについて再考すべきと考えます。    

 沖縄知事選で基地移設反対の翁長雄志候補が36万票も取り、当選した。ペテン師仲井真前知事に約10万票の大差をつけての当選である。1万、2万の差なら、安倍政権は民意を如何ようにも誑(たぶら)かすことができるが、10万の差からは誑かしの言葉を見つけることは困難であるはずである。

 安全保障は沖縄だけの問題ではなく、日本全体の問題であったとしても、普天間基地の県外移設を手段とした安全保障を以って日本全体の問題としなければならない外交手腕の発揮を必要とする36万の民意であり、次点に10万の大差をつけた民意であるはずである。

 2014年11月16日放送のNHK日曜討論「首脳会談実現 どう動く日中関係」で、日中首脳会談を開くに当たって日中外交当局で合意した4項目のそれぞれの文言が何を意味するか、その解釈を出演者に質問していた。

 ここでは尖閣問題のみを取り上げる。出演者は岸田文雄外相、東京福祉大学国際交流センター長遠藤誉女史、神田外語大学教授興梠(こおろぎ)一郎氏、東洋学園大学教授朱建栄氏の4氏。それぞれの意味・解釈を一通り見てみる。

 尖閣の領土問題に関わる合意は、〈双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。〉となっている。

 中川緑アナ「岸田外務大臣に伺いたいんですが、『異なる見解を有している』というのは、中国側が領有権問題が存在するんだとしている、その主張を日本側も認めたということなんでしょうか」

 岸田文雄「いえ。結論から申し上げますと、そうではありません。この発表のポイントはですね、東シナ海海域に於いて近年、緊張関係が生じている。えー、このことについて、異なる見解を有している、これがポイントになります。

 緊張関係が生じていることについては、先程もご説明がありましたように、中国公船の領海侵入もあれば、東シナ海の防空識別圏の設定もあれば、更に一方的な東シナ海に於けるガス田開発。こういったものもあります。こういった緊張した状況に対して、日中間に於いて考え方が異なっている。これを『異なる見解を有している』。このように表現したわけですので、従来の我が国の立場について、この中で触れているというものではありません」

 島田解説委員「つまり尖閣諸島という言葉は入っているけれども、これは場所を指し示すためで使っている言葉なんだと、いうことですか」

 岸田文雄「東シナ海には様々な緊張関係、緊張状態が存在します。これを指し示しているわけです」
 
 島田解説委員「遠藤さん、中国側はそういう日本側の気持というものを、これはどういうふうに受け止めるでしょうか」

 遠藤誉女史「中国側の解釈というのは全く違っておりまして、実際は岸田外務大臣がおっしゃったとおりだと思うんですけど、しかし文言が曖昧であればある程、カバーする範囲も広くなりますねえ。

 それから恣意性も出てきます。従って、中国側はあくまでも領有権問題が存在するか否かということを明確にしたものであって、中国側の解釈としてはですね、日本はついに尖閣の領有権に関して紛争があるということを認め、それを文字化したというふうに、11月7日の時点で発表しているのです。

 (合意)文書が出た直後にもう人民日報を始めとして、このように発表しておりますので。勿論、尖閣諸島の領有権に関しては、これは日本にあり、国際法的にも歴史的にも疑う余地はありませんが。しかし、解釈の仕方は恣意性が非常に大きく、中国はそのように解釈してますので、必ずしも、日本に有利とは限らない側面も出ているのではないかと、そういうふうに思います」

 島田解説委員「朱建栄さん、どう見てますか」

 朱建栄氏「中国の人民日報を含むマスメディアはですね、これが中国有利、いや中国不利、そのような、それぞれの意見がある。日本の中でも、これは日本有利、不利という賛否両論があったわけですね。

 ただ、私が注目しているのは、中国政府は、これ以上これについて深入り・言及していないこと。それはやはりこれを巡って何とか中国側は国内向けに一応尖閣諸島に触れたと。日本側での、まあ、これはそれを含む広い海域での緊張と、そういうところで最大限の一種の暗黙の了解ををつくったこと自体が意味があって、それに2、3日前の中国の外交当局が一つの表現を使ったのですけれども、『互いに折角蓋をしたことにはその災いを再燃させるな』

 それが第一で、せっかくこれを巡って2年間ずっと互いに主張していたのが、これで蓋をして、これ以上それを紛争しないで、前向きに行こうと、それを大事にしようというメッセージが送られています」

 島田解説委員「興梠さん。この解釈、別れそうなこの部分について」

 興梠一郎氏「私はやっぱりあの、人民日報の話が出てましたけど、合意があって翌日の11月8日ですかね。このときに評論が出ていて、非常に面白い部分があるんですね。

 『双方が十分な知恵と実際の行動を持って』ですね、『このトラ』、『このトラ』という、尖閣と言ってるんです(尖閣のことを言っているんです)。『トラを籠に戻すことができた』と。

 つまり彼らは尖閣っていう問題の位置づけですよね、これは厄介なものなんですよね。はっきり出てるんですね。で、はっきり言ってしまうと、これは国内向けに申し訳が立たないですから、例えば日本側は絶対領土という言葉を入れなかった。で、中国側はある意味、そこで譲歩している。で、緊張状態が生じている現状を描写しただけのことですよね。

 中国はこの問題の置き所というのを調整してきていて、日中問題という大きな大局の中で、この問題を一回籠の中に戻しましょうというリセット的なね、発想がはっきり出ているので、これはあまり大きくしたくないというのが、何となく感じ取れますね」

 以上で4氏の尖閣諸島に関わる合意文書についての意味・解釈を聞くことができた。それぞれの意味・解釈に自分なりにケチを付けてみようと思う。相手は高名・立派な有識者である。私如きに異なる解釈の付け入る隙を与えるはずはない。与えるとしたら、ケチをつける隙以外はないだろうから、ケチを付けることにした。

 その前に興梠(こおろぎ)氏はほっそりとした体つきで、声も細やかで優しそうな物静かな口調で語りかける。やはりキュウリを主食にしているからなのだろうか。

 岸田文雄は合意文書に〈双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し〉と書いてあるとおりに、「東シナ海海域に於いて近年、緊張関係が生じていることについて異なる見解を有している」としたのであって、尖閣諸島に関して領土問題が存在することを認めたわけではないと否定している。

 中国側にとっての対日本緊張関係の第一番の原因は尖閣の領有権問題である。中国は東シナ海のガス田開発に関しては日本政府の抗議にも関わらず強引に推し進めているし、今後共強引に推し進めることができる。

 中国側が唯一壁に突き当たっている、いわば緊張関係を解きほぐすことができない最重要の尖閣諸島の領有権問題を外して、「異なる見解を有している」とするとは考えられない。

 岸田文雄は緊張関係を発生させている原因の一つに「中国公船の領海侵入」を挙げて、このような緊張関係を「異なる見解」の一つに位置づけいるが、中国は尖閣諸島を中国固有の領土としているのだから、領海侵入の認識はない。

 いわば日本側にとっての「中国公船の領海侵入」、中国側にとっての自国領海航行にしても、尖閣の領有権問題から発生している見解の食い違いなのだから、岸田文雄が言うよう領土問題は存在しないとしている「従来の我が国の立場について、この中で触れているというものではありません」とする意味づけには無理がある。

 中国側が抜かすはずもない尖閣諸島の領有権問題を抜きにして、「異なる見解を有している」は緊張関係全体を指すのだと解釈すること自体、薄汚いゴマカシとしか言い様がない。

 後で誤魔化せばいいという前提で文書に合意したとしか思えない。

 遠藤誉女史は人民日報を始めとして中国政府系のマスメディアが「中国側の解釈として」、「日本はついに尖閣の領有権に関して紛争があるということを認め、それを文字化した」と報道していると言っているが、中国当局が自らの声を中国政府系のマスメディアに代弁させているはずだから、朱建栄が「私が注目しているのは、中国政府は、これ以上これについて深入り・言及していない」と観察していたとしても、中国側の今後の対応は日本が尖閣諸島に関して領土紛争を認め、それを文字化したとする合意を原則とすることになるはずだ。

 岸田文雄が「従来の我が国の立場について、この中で触れているというものではありません」と言おうと言わなかろうと、中国側にとっては薄汚いゴマカシにしか映らないということである。

 とすると、朱建栄が「最大限の一種の暗黙の了解」が形成されたと解釈している中国の外交当局の言葉、「互いに折角蓋をしたことにはその災いを再燃させるな」にしても、中国側の解釈は日本側が領土紛争の存在を認めたことを前提とした「蓋」ということになる。

 但し、「これで蓋をして、これ以上それを紛争しないで、前向きに行こうと、それを大事にしようというメッセージが送られています」との意味・解釈に正当性を認めるとしても、日本側が合意文書に関して領土問題の存在を認めたわけではないという態度に拘ったなら、蓋は蓋としての役目を放棄しない保証はない。

 興梠氏は人民日報が評論で、「双方が十分な知恵と実際の行動を持ってトラ(尖閣の領有権問題)を籠に戻すことができた」と書いていたことを以って、「緊張状態が生じている現状を描写しただけのことですよね」と解釈しているが、中国側がそれで満足すると思っているのだろうか。

 思っていたとしたら、中国政府は政府系メディアに日本政府は領土問題の存在を認めたとする自らの声を代弁させることはなかったろう。

 あくまでも日本側が領土問題が存在することを認めたから、籠に戻すということであるはずだ。

 このように解釈すると、興梠氏の「中国はこの問題の置き所というのを調整してきていて、日中問題という大きな大局の中で、この問題を一回籠の中に戻しましょうというリセット的なね、発想がはっきり出ているので、これはあまり大きくしたくないというのが、何となく感じ取れますね」という解釈はごくごく妥当性を見い出すことができるとしても、領有権問題を認めたとする爆弾を内部に抱えていることに変わりはないはずだ。

 その扱いを一つでも誤ったなら、蓋をして押さえていた分、その反動で勢いよく蓋は噴き飛び、トラは凶暴化して野に放たれないとは限らない。

 ゴマカシ続けることはできないということである。実効支配を梃子にすれば、領土問題の存在をどのように認めようとも、後は外交手腕一つでトラを籠に入れることができるはずだ。それもゴマカシのない正々堂々とした態度で。

 岸田文雄にしても安倍晋三にしても薄汚くゴマカスことに汲々しているように見えるのみで、正々堂々とした態度を見い出すことはできない。

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安倍晋三のG20での手前味噌、自画自賛、大風呂敷と豪財務相のそれを否定する認識のズレ

2014-11-16 05:27:29 | Weblog


 11月15日開幕した豪州での主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)では各国が抱える経済課題をテーマに議論したそうだが、安倍晋三は各マスコミ記事を纏めると、次のように発言したようだ。

 安倍晋三「アベノミクスの『三本の矢』で経済政策を力強く進めてきた結果、デフレ脱却に向けて着実に前進し、企業収益や雇用は拡大し、賃上げの動きも広がって、経済の好循環が生まれ、成長力を回復しつつあり、世界経済の底上げに日本も貢献できる」――

 相変わらず手前味噌、大風呂敷、自画自賛の精神で貫いた自己都合バラ撒きの発言となっている。

 確かに大企業に限っては企業収益が拡大したのは事実だが、円安を受けた原材料費の高騰と個人消費の伸び悩みで地方の多くの中小企業が悲鳴を上げていると言われているし、賃上げにしても、小沢一郎生活の党代表が、《生活の党機関紙第19号》(2014年11月11日発行)の『巻頭提言』で、〈今年の春闘で一部大企業ではベースアップが観察されましたが、全労働者の7割近くを占める中小企業の社員や、全国に約2千万人いる非正規社員はその恩恵に浴するに至っていません。さらに、消費税増税だけではなく、医療や年金などでは負担増と給付減が国民の暮らしを容赦なく苦しいものにしています。

 つまり、多数の人にとってアベノミクスとは、所得拡大を伴わない、単なる物価上昇・負担増加だけをもたらす、百害あって一利のないものになっているというのが実態です。〉と言っているように大企業とそれに準ずる企業の社員などの選ばれた立場の国民のみが賃上げの恩恵に浴し、尚且つ物価の高騰や消費税増税によって実質賃金が下がる現象が生じて、多くの国民にとって賃金が目減りする状況に追いやられている。

 その結果、個人消費の回復が大幅に遅れ、物が売れず、中小企業を苦しめる悪循環に陥っている。

 当然、安倍晋三が言っている「経済の好循環」は誇大宣伝としか言い様がない。

また、雇用の拡大はご存知のように正規社員の減少・非正規社員の増加という流れが止まらない。このことは所得格差拡大の流れをも意味することも、誰もが承知しているはずだ。

 大企業とそれに準ずる企業は企業収益を拡大させているのに人件費を抑制するために非正規社員を増加させている。安倍晋三はこの矛盾に目を向けていない。だから、どこへ行っても、どこで発言しても、「好循環、好循環」とアベノミクスがさも成果が出ているかのように宣伝することができる。

 虚像を実像と見せかける手前味噌、大風呂敷、自画自賛のマジックに過ぎない。

 このことは同じG20での豪財務相の財務相会合後の記者会見発言も証明している。

 ホッキー豪財務相「会議では、アメリカやイギリスなどの経済成長を歓迎すると共に、日本とヨーロッパの成長率をどう引き上げるかという課題について議論した。G20各国は、成長を加速させ、雇用を創出するためなら何でもするという決意だ」(NHK NEWS WEB

 GDPの6割を占める個人消費が回復せず、円安であるにも関わらず、輸出が伸び悩んでいるのだから、全体のGDPが予測値よりも下回ったのは当たり前で、日本経済を懸念材料として議題としたというのも頷くことができる。

 但しこの発言からは安倍晋三がどこででも言い放っているアベノミクスの輝きをどこからも見い出すことはできない。

 いわば安倍晋三の手前味噌、自画自賛、大風呂敷を結果的に否定している。

 にも関わらず、安倍晋三は「世界経済の底上げに日本も貢献できる」と、手前味噌な自画自賛を見せ、大風呂敷を広げている。

 勿論、先のことは分からない。だが、現下の実態に目を背けて、花が咲いていないのにさも花が咲いて輝くばかりの光景を見せているかのように言葉で言い誑(たぶら)かすのは同時に国民を誑かす行為に他ならない。

 誑かしに何が味方してくれるというのだろうか。

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安倍晋三の人口縮小と人手不足のパイを奪い合う地方創生に於ける「人と仕事の地方移転」の矛盾

2014-11-15 09:51:35 | Weblog



      生活の党PR

       《11月14日(金) 主濱了副代表 参議院へ2法案を提出》

      本日11月14日(金)午前、主濱了副代表が「歳入庁設置法案(歳入庁の設置による内国税並びに労働保険料及び年金保険料等の
      徴収に関する業務の効率化等の推進に関する法律案)」と「高等教育家計負担軽減推進法案(高等教育に係る家計の負担を軽減
      するための税制上その他の必要な施策の推進に関する法律案)」の2法案を提出しました。

      ○ 参議院法案提出
      《歳入庁設置法案》 
      【共同提案】民主党、維新の党、みんなの党、生活の党

      《高等教育家計負担軽減推進法案》 
      【共同提案】民主党、みんなの党、生活の党

 石破茂が10月22日記者会見して、安倍政権が最重要課題に掲げる「地方創生」について政策を検討する際の5原則を発表したと、「時事ドットコム」が伝えていた。

 その5原則――

 (1)自立性=外部人材の活用など地方の自立を支援する施策
 (2)将来性=地方が主体となった、夢のある前向きな施策
 (3)地域性=客観的なデータにより各地域の実情を踏まえた施策
 (4)直接性=人や仕事の移転・創出に直接効果のある施策
 (5)結果重視=目指すべき成果が具体的に想定され、その検証が行われる施策。

 〈5原則は、12月に策定する今後5年間の国の総合戦略や、2015年度予算案に盛り込む関連施策を決める上での基準となる。〉と解説している。

 何よりの問題は、(4)の「人や仕事の移転・創出に直接効果のある施策」であって、地方創生が成功するか否かの最大のポイントとなるはずだ。

 鶏が先か卵が先かの関係で言うと、仕事が先で、仕事があるから人が動くという関係でなければならないはずだ。人が先にきて仕事が来るのを待っていたなら、来るまでの生活費に困る。

 安倍晋三が9月29日(2014年)の第187国会開会に於ける所信表明演説で次のように発言している。

 安倍晋三「『ないものはない』 隠岐の海に浮かぶ島根県海士町では、この言葉がロゴマークになっています。都会のような便利さはない。しかし、海士町の未来のために大事なものは、全てここにある、というメッセージです。「この島にしかない」ものを生かすことで、大きな成功を収めています。
 大きな都市をまねるのではなく、その個性を最大限に生かしていく。発想の転換が必要です。それぞれの町が、「本物はここにしかない」という気概を持てば、景色は一変するに違いありません。

 島のサザエカレーを、年間2万食も売れる商品へと変えたのは、島にやってきた若者です。若者たちのアイデアが、次々とヒット商品につながり、人口2400人ほどの島には、10年間で400人を超える若者たちがIターンでやってきています。

 やれば、できる。 

 人口減少や超高齢化など、地方が直面する構造的な課題は深刻です。しかし、若者が、将来に夢や希望を抱き、その場所でチャレンジしたいと願う。そうした「若者」こそが、危機に歯止めをかける鍵であると、私は確信しています。

 若者にとって魅力ある、町づくり、人づくり、仕事づくりを進めます。『まち・ひと・しごと創生本部』を創設し、政府として、これまでとは次元の異なる大胆な政策を取りまとめ、実行してまいります」――

 各地方が創造性ある有効な経済活性化策を構築して、それが新たな独創的な起業につながり、次々と雇用創出の起爆剤となっていく。

 この好循環が日本全国各地方の津々浦々に右へ倣えの状態で万遍なく実現したと仮定すると、果して必要とする人手を満たすことができるのだろうか

 多くの地方が仕事がなく、人材が流出して人口減少の疲弊した状況にありながら、アベノミクスと東日本大震災の復興需要によってちょっと景気が良くなっただけで人手不足が持ち上がっている。人手不足から事業を縮小する企業も出ている。

 もし安倍内閣の地方創生政策が功を奏して多くの地方に「仕事の移転・創出」が芽生えたとしても、各地方が必要とする人手を万遍なくどうように集めるというのだろう。人手不足の状況の中から人手を集めるという矛盾が生じて、各地方・各企業が人手確保で喰い合うことになる。

 勿論、賃金の上昇という結構な場面を迎えることができるだろうが、連動して物価も上がる。

 人手確保戦争に於いては勝者・敗者が生じて、敗者の側に立たされた企業は退場を余儀なくされる。

 人手不足は人口減少も影響していて、時間的な長いスパンで見た場合の進行も、無視できないことになる。総務省発表の2013年10月1日現在の人口推計によると、日本の総人口は3年連続の減少、15歳から64歳の「生産年齢人口」は7901万人で、前年比116万5千人の減少。

 年少人口(0~14歳)は1639万人で、前年比15万7千人の減少、32年ぶりに8000万人を下回ったという。

 増加しているのは65歳以上の高齢者のみで、少子高齢化が如実に露呈している。

 どこを見ても、人手不足解消の余地は見えてこない。

 例え東京などの大都市の企業や官庁を地方に移転させたしても、今まで雇用していた人手と共に移転するから、少しぐらいは増員したとしても、プラスアルファの雇用創出で終わって、人手不足は通説には実感しないかもしれない。

 但し毎年4月の新規入社時期には新たに新入社員の雇用が創出されるが、人口縮小のパイを奪い合う状況に変わりはなく、人手不足は差し迫った問題となるだろう。

 安倍晋三は島根県海士町の「島のサザエカレー」を地方創生の例に挙げているが、あくまでも数少ない例であって、物珍しさも手伝って「10年間で400人」、1年間で40人程度の若者は集まるだろうが、これがあっちでもこっちでも、日本中津々浦々となったら、Iターンのために若者たちが抜けた先は尚一層の人手不足状況に陥って、人手不足の悪循環が起こらないとも限らない。

 勿論、政府は人口減対策の手を打っている。打っていたとしても、人口減少が続いている。

 止まらない人口減少の穴埋めに2013年5月7日から「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇措置」を設けて、高度な技術や経営ノウハウを持つ海外からの人材の在留に特別待遇を与える制度や、低賃金労働を対象とした従来の「外国人技能実習制度」を拡充、現在は最長3年の実習期間を5年程度に延長することや、職種を介護や林業などにも拡大する新制度を検討しているが、地方創生を契機として生じてくる人手不足の解消に追いつくと思っているのだろうか。

 あるいは合計特殊出生率の向上のために待機児童解消や「抱き放題」のスローガンで、職場復帰の保証があるわけではない、ゆえにリアリティの全くない「3年育児休暇制度」を掲げているが、地方創生は待ったなしであるのに対して出生率の向上と、その向上を受けた年少人口と生産年齢人口の増加には時間がかかる。

 人口減少による集落自治機能の低下で買物困難、通勤困難等、生活が人並みに維持できない、見捨てられていく消滅集落も各地で増加の傾向にあるという。 

 どう見ても、地方創生という土俵上で人口減少と人手不足という両方の現状を戦わせて、そこから地方のために人材をひねり出そうとする「人や仕事の移転・創出」という、矛盾した情景にしか見えない。

  
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安倍晋三の「被災地の心に寄り添う」と「チャレンジ」をウソとする被災地「グループ補助金」

2014-11-14 08:34:14 | Weblog


 東北経済産業局が6月から7月(2014年)にかけて青森、岩手、宮城、福島の被災3県の「中小企業等グループ施設等復旧整備補助金」交付先各企業の経営状況を調査し、その結果を公表したことを「NHK NEWS WEB」で知って、東北経済産業局のサイトにアクセスしてみた。

 「中小企業等グループ施設等復旧整備補助金」(以下「グループ補助金」)が「復旧整備補助金」を謳っている以上、被災した中小企業の復旧整備を目的としていることになる。

 《第3回グループ補助金交付先アンケート調査(平成25年6月実施)の結果について》(平成25年9月東北経済産業局) 

 調査対象――平成23年度及び平成24年度グループ補助金の交付先7,577社
 回答企業――5,445社(71.9%)

 〈雇用の動き〉

 「震災直前の水準以上まで雇用が回復している」60.8%(前回調査比+2.7ポイント)
 
 県別
 青森県(70.9%)
 岩手県(62.1%)
 福島県(61.9%)
 宮城県(59.3%)

 業種別
 建設業(76.1%)(震災直前比+10.7%ポイント)
 卸小売・サービス業(64.4%)
   ・・・・・・・
 運送業(44.6%)
 水産・食品加工業(37.8%)

 「震災直前の水準よりも雇用が減少している」39.2%

 業種別
 水産・食品加工業(21.6%減少)
 旅館・ホテル業(13.1%減少)

 4県全体の雇用
 震災直前比-6.5%

 建設業のみが復興需要の恩恵をより多く受けているようだ。

 〈売上げの状況〉

 「震災直前の水準以上まで売上げ回復事業者」36.6%

  県別
 青森県(51.3%)
 岩手県(42.2%)
 宮城県(36.9%)
 福島県(32.9%) 

 業種別
 建設業(66.0%)
 運送業(42.3%)
   ・・・・・・・    
 卸小売・サービス業(30.6%)
 水産・食品加工業(14.0%)

 「震災直前の水準以下に売上げ減少事業者」63.4%(以上)

 この「63.4%」は各業種に分散していて、その合計ということなのだろうが、「売上げ回復事業者」の36.6%と比較して、倍近くにのぼることになる。

 「NHK NEWS WEB」記事――《被災した水産・食品加工業 回復19%》(2014年11月11日 18時58分)は、〈水産・食品加工業に売り上げが回復していない要因を聞いたところ〉と書いているから、東北経済産業局に問合せたのだろう、次のようになっている。

 「顧客の喪失」34%
 「風評被害」26.5%

 このことは上記アンケート調査には出ていないが、なぜなのだろう。「顧客の喪失」は兎も角、「風評被害」という言葉を入れたくなかったのではないかと勘繰りたくなる。安倍晋三が何度も被災地に足を運んで、風評被害の払拭ということで被災地の農水産物を何度も試食のパフォーマンスを繰返していながら、今なの風評被害が復興の足枷のの大きな要因の一つとなっていたなら、格好がつかなくなるからだ。

 ご存知のように「NHK NEWS WEB」記事はNHK総合テレビで発信したニュースに基いて記事にする。以上のことを伝えたNHKのテレビニュースでは回復遅れの要因をもう一つ挙げていた。

 補助金は震災前と同じ水準の生産設備の導入が交付対象となっているために、売上が伸びないことから新たな商品開発を試みたとしても、その開発に必要な生産設備の導入にかかる経費が補助金の交付対象外となっている、それがネックとなっているとのことである。

 ネット上の「グループ施設等復旧整備補助金交付要綱」には次のような趣旨のことが書いてある。〈交付対象経費は被災した場所での事業再開が困難な場合、県内の他の場所に施設及び設備を新たに整備するための経費を加えることを妨げないとしているものの、東日本大震災により損壊若しくは滅失又は継続して使用することが困難になった施設及び設備に対し交付する。〉としてあって、要するに震災前の施設及び設備に戻す援助・支援となっている。

 と言うことなら、震災前と同じ状態に戻すお手伝いはしましょう、その状態から震災前と同様に前に進みさえすれば、どうにかなるはずです、あとはご自分でやって下さいと言うことでグループ補助金を始めたことになる。

 顧客の喪失や風評被害、あるいは人手不足による雇用困難まで考えず、新たな試みが必要となることなど想定外としていたということである。

 いわば震災前の生産設備に戻せば、復旧・復興はどうにかなると考えていた。

 上記「NHK NEWS WEB」記事は、政府が震災前と同じ水準の生産設備を導入しても売り上げの回復や事業の再開が難しい場合、これまでは補助の対象外だった震災後に開発した新商品を生産する設備の導入に対しても支援できるようにすることを検討していると解説している。

 グループ補助金の第1次公募は民主党政権下の2011年6月13日から6月24日の間に行っている。だが、安倍政権となってから、2年近く経過する。被災地の中小企業の多くがグループ補助金に不足や不備を感じていることを2年近くも放置してきた。そして2年近くの放置の末に、今後運用の改善を検討することにした。

 この取組みの遅さは安倍晋三が機会あるごとに口にしている「チャレンジ」なる政治理念をウソにする事態ではないだろうか。

 「安倍内閣の目指す、何度でもチャレンジできる社会であります」

 「『チャレンジ、オープン、イノベーション』。これが私の成長戦略の一貫した基本理念です」
 
 「成長戦略のコンセプトを、私は、チャレンジ、オープン、イノベーションという、3つの言葉に託しました」等々。

 「被災地の心に寄り添う」と言い、「チャレンジ」可能社会を謳いながら、被災地の中小企業が生き残りをかけて新しい商品開発にチャレンジしようとする動きを阻害してきた。

 2014年3月7日から10日にかけたNHKの全国世論調査。

 「被災地の復興は進んでいると思うか」

 「かなり進んでいる」1%
 「ある程度進んでいる」22%
 「あまり進んでいない」 56%
 「ほとんど進んでいない」16%

 安倍晋三の威勢のいい言葉に誤魔化されてはいけない。政策の不備が復興を遅らせている。

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下村博文は教育行政を与る者としてウソをついたなら、教育の参考とはならない

2014-11-13 08:32:58 | Weblog


 ――下村博文の「日本はESDに積極的に取り組んできた自負がある」は事実か――

 「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」が名古屋市で2014年11月10日に開幕、昨日の12日まで行われたという。

 「持続可能な開発のための教育」とは、〈持続可能な開発の実現に必要な教育への取り組みを推進するために国連が実施しているキャンペーン。期間は2005年から2014年で、略して「ESDの10年」と呼ばれる。2002年の第57回国連総会で満場一致で決議された。2005年に国際実施計画が策定され、日本でも実施計画が発表された。その締めくくりとして、2014年11月に名古屋市でESD世界会議が開催される。〉とインターネット上で紹介されている。

 「ESD」は「Education for Sustainable Development」の略だそうだ。私自身は意味を取るために辞書を利用しなければならない。「Education」が「教育」という意味は知っている。「Sustainable」は「維持できる」という意味だそうで、「Development」は「発達」とか「開発」とかの意味。

 要するに人類の生活を維持していくために持続可能なバランスの取れた開発のための教育を子どもの頃から学ぶようにしていこうという試みなのだろう。

 下村博文は開催国の担当大臣として出席し、「ハイレベル円卓会議」では、ボコバ事務局長と一緒に共同議長を務めたと記者会見で述べている。皇太子夫妻も出席し、ユネスコ世界会議全体会合前日の日本政府主催歓迎レセプションでは下村博文は英語で挨拶したそうだ。

 どうせ役人が書いた英文なのだろう。

 11月10日の開会式での下村博文の挨拶と、「ESD」の教育方法について次の記事、《新たな教育の在り方は 世界会議開幕》NHK NEWS WEB/2014年11月10日 12時02分)が伝えている。

 先ず「ESD」の教育方法についての解説。

 〈ESDは、教師が一方的に教えるのではなく、子どもたちが自分で課題を考えて調査したり議論したりしながら解決方法を考えていきます。

 その過程で他人と協力する経験や異文化を理解する力を身に付け、環境問題や民族対立など国際社会が抱える課題を解決する人材を育てようというもので、各地の学校で取り組みが進められています。〉――

 「持続可能な開発のための教育」とは地球環境に配慮しつつ開発を進めていく教育だけではなく、紛争や戦争についても学んで、それらのない平和な世界の構築を視野に入れた教育をも壮大にも意図しているようだ。

 では、下村博文の挨拶。

 下村博文「日本はESDに積極的に取り組んできた自負がある。さらに広がるよう国際社会にも働きかけていきたい」――

 「日本はESDに積極的に取り組んできた自負がある」。結構毛だらけ、猫灰だらけ。

 「ESD」とは、教師が一方的に教えるのではなく、子どもたちが自分で課題を考えて調査したり議論したりしながら解決方法を学ぶ教育だと言う。

 この能書き、どこかで聞いたことがある。「総合学習」とはどのような学習を言うのかを解説する能書きとそっくりである。

 《総合的な学習の時間》文科省) 

 〈総合的な学習の時間は、変化の激しい社会に対応して、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てることなどをねらいとすることから、思考力・判断力・表現力等が求められる「知識基盤社会」の時代においてますます重要な役割を果たすものである。〉――

 前者の教育も後者の教育も、教師が一方的に教える、児童・生徒側の従属性を排して、主体的姿勢の学びを求めている点に於いて同じ構造を取っている。

 1977年の学習指導要領第4次改訂で詰め込み教育を反省して「ゆとりと充実」を掲げ、「ゆとりの時間」を導入。1998年の学習指導要領第6次改訂で「ゆとりの時間」の活用策として「総合的な学習の時間」の創設、2005年から段階的な実施に移行した。

 だが、学力の低下を受けて、2008年以降、日本の教育行政は「脱ゆとり教育」へと突っ走り、詰め込み教育へと回帰していった。「ゆとり教育」で減らした授業時間と教育内容を逆に増やして、教科書を厚くし、2007年の小6・中3の全国の生徒の成績を知るための全国学力テストに始まって、教育の成果をテストの成績で計測する全国学力テストを毎年行うようになった。

 「教師が一方的に教える」教育への回帰でもある。

 「総合学習の時間」は残されているが、小学校6年生で総授業時数980時間のうち35時間のみ、中学校1・2・3年生の場合は、総授業時数1015時間のうち同じく35時間のみの細々とした状態で維持されている。

 大体が「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てる」主体的学びをテストの点数で計ることができると考えること自体が間違っている。

 この主体的学びは生きる力そのものの学びを意味する。これをもしテストの点数で計ることができたなら、学校の勉強はまるきりできなかったが、世に出て成功したといった例は存在しなくなる。

 私などはその逆で、学校の勉強はそれなりに出来たが、世に出て成功せず、失敗し、負け犬となった最大の一人であって、生きる力は学校の成績(テストの成績)では計ることができないことの格好の例となる。

 ブログに何度も書いてきたが、「総合学習」が目指す主体的学びを眼目とした教育はすべての教科に必要な重大な仕掛けでありながら、「総合的な学習」と名づけて特別授業仕立てで行い、他の教科殆どを学校で教える知識・情報を詰め込んでテストの点数に還元する詰め込み教育を主流としている。

 このことは全国学力テストで基礎的な知識を見る「問題A」と知識を活用する力を問う「問題B」に分けた出題で「問題A」よりも「問題B」の正答率がおしなべて劣っているところに象徴的に現れている。

 各学校がテストの成績の底上げのために知識を活用する力を問う「問題B」についても過去のテストの設問を使った“傾向と対策”に躍起となって取り組んでいるはずで、にも関わらず知識を活用する力を望む形でつけることができないでいる。

 前者・後者の差が最大で20ポイント近く、最小で10ポイント近くある。「活用する力」は考える力を必要とする。考える力は断るまでもなく、総合学習が眼目とした「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てる」主体的学びによって培うことができる。

 つまり日本の教育行政は考える教育を満足に機能させることができない状態に陥っている。

 であるなら、下村博文が「ESD(持続可能な開発のための教育)」に「日本は積極的に取り組んできた自負がある」と、さも児童・生徒に「持続可能な開発のための教育」を体得させることができたかのように言うのは、同じ教育構造の「総合学習」を十分に機能させることができなかったことと矛盾するウソの言葉となる。

 もし、〈教師が一方的に教えるのではなく、子どもたちが自分で課題を考えて調査したり議論したりしながら解決方法〉を学ぶ教育形式に基づいた「持続可能な開発のための教育」を体得できていなかったとしたら、「積極的に取り組んできた」ことにはならないし、そのように言うこともできない。

 また、この「自負」発言自体が「ESDに関するユネスコ世界会議」出席翌日の記者会見での発言と矛盾している。

 下村博文「ESDそのものが、知名度が我が国でも2割しかない」(「下村博文記者会見」文科省/11月11日)  

 2005年から2014年の10年間行われてきた「持続可能な開発のための教育(ESD)」である。もし児童・生徒がこの教育を通して課題を見つける力・調査する力・考え議論する力を身につけることができていたなら、その変化に保護者である親が気づかないはずはない。「持続可能な開発のための教育(ESD)」のお陰だと感謝して、当然認知度は上がる。

 だが、認知度は2割しかない。この認知度は「総合学習」と連動させた「ゆとり教育」に拒絶反応を示して、学力向上教育(と言うとき声はいいが、所詮詰め込みでしかない教育)を求めた親たちの、その拒絶反応に匹敵する無関心の程度を示しているはずだ。

 下村博文は教育行政を与る者である以上、ウソをついてはいけない。児童・生徒たちが大臣がウソをついたのだから、自分たちのウソも許されると考えるようにならないとは限らないからだ。

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安倍晋三の都合の悪いことは取り合わず答えない物の見事な北京内外記者会見発言の不正直なゴマカシ

2014-11-12 07:03:19 | Weblog
 



      生活の党PR

       《11月10日(月) 鈴木克昌代表代行・幹事長記者会見要旨》    

      『選挙となれば、国民は冷静な判断を下すであろう』

      【質疑要旨】
      ・日中首脳会談開催について
      ・衆議院解散について
      ・衆議院選挙における野党の選挙協力について

 11月11日(現地時間)、APEC首脳会議のため北京を訪問していた安倍晋三が首脳会議出席、首脳記念撮影、記念植樹と続けて、午後ワーキングランチ、再び首脳会議、そして夕方から内外記者会見を行った。

 発言は次から関係箇所を一部抜粋。読みやすいように段落を変える。文飾は当方。

 《安倍晋三内外記者会見》首相官邸HP/2014年11月11日)  

 最初の質疑応答で早速見せた。

 原NHK記者「日中関係について伺います。習近平国家主席との初めての日中首脳会談を実現されたが、今回の会談をきっかけに、具体的に日中の間にはどのような変化が出ることを期待しているか。

 また、尖閣諸島や靖国神社をめぐる問題については、解決に至っていないが、この問題にどのように対応して解決に導く考えでしょうか。今後の日中の政治対話、日中首脳会談の次回の時期について、いつが望ましいと考えているか」

 安倍晋三「日中関係に於いては、残念ながら首脳同士の会談は2年以上行われていませんでした。今回の首脳会談を通じて日中両国が『戦略的互恵関係』の原点に立ち戻り、関係を改善させていくために大きな一歩を踏み出すことができたと考えています。

 会談の結果を踏まえて、今後、偶発的な衝突を回避するためのコミュニケーション・チャンネルである『海上連絡メカニズム』を実施していくために、具体的な協議がスタートすることとなります。

 また、『戦略的互恵関係』の考え方の下、様々な分野で日中の協力関係を発展させていくために、関係当局の間で、さらには閣僚レベル間でも今後対話を積み重ねていきたいと思います。このような対話の積み重ねの上におのずと次回の首脳レベルの対話が見えてくるのではないかと思います」(引用以上)

 NHK記者は後段で、「尖閣諸島や靖国神社をめぐる問題については、解決に至っていないが、この問題にどのように対応して解決に導く考えでしょうか」と尋ねた。

 この質問に対して安倍晋三は狡猾にも都合の悪いことには一切答えなかった。尤も国会質疑でも都合の悪いことには答えず、質問とは関係のない、自身がそう思っている自己政策の成果を滔々と喋って、アピールすることに関しては得意中の得意としている。

 中国に首脳会談を応じさせるためには尖閣諸島と靖国神社参拝問題に関して日本側から何らかのサインを示したはずだ。そのサインを受けて、「日中関係の改善に向けた話合い」が行われて日中間に於ける4点の合意となって、首脳会談が実現したはずだ。

 だが、安倍晋三は都合の悪い質問はあくまでも取り合わず、何も答えず、本心を隠したまま次の質問を平気な顔で受けることができる。

 原NHK記者は最後に「今後の日中の政治対話、日中首脳会談の次回の時期について、いつが望ましいと考えているか」と質問したが、マスメディアに公開された日中首脳会談が行われる前の安倍晋三を出迎え、握手する場面では他の首脳との会談前のにこやかな出迎えとは様相を異にして習近平国家主席に笑顔はなく、硬い表情を見せたままで、客人である安倍晋三の問いかけにそっぽを向いて応じたところを見ると、信頼関係に促された積極的な話し合い、首脳間の積極的な関係構築は望めず、機械的な話し合いしか望めないようだ。

 となると、安倍晋三は記者会見で、「今回、私と習近平国家主席との首脳会談が実現し、日中関係の改善に向けて、大きな一歩を踏み出すことができたと考えております」と述べているが、首脳間の信頼関係がないままの「日中関係の改善」というイビツさを免れることはできないようだ。

 そして信頼関係の有無が尖閣諸島と靖国神社参拝問題の取扱いに相呼応する以上、その解決なくして両国間に横たわるイビツさはいくら関係改善の努力をしても、日中両国関係に何らかの形で投射されないわけはなく、常に不安定な関係であることを付き纏わせるに違いない。

 安倍晋三は習近平国家主席との会談の冒頭、「今回の会談を契機として、習主席と共に日中関係の改善に努めていきたい。中国の平和的発展は、国際社会と日本にとって好機であり、その好機を生かし、世界第2、第3の経済大国として協力しつつ、地域と国際社会の平和と繁栄に向けた両国の責任を共に果たしていきたい」(NHK NEWS WEB)と述べたというが、当然、言葉通りにはいかないことになる。

 勿論、尖閣問題は簡単には解決できないだろうし、戦前日本国家を肯定する右翼の国家主義者として、戦前日本国家肯定の象徴的儀式である靖国神社参拝をやめるわけにはいかないだろう。

 だが、正直でなければならない。議員や記者の都合の悪い質問は取り合わず、正直に答えないウソやゴマカシは国内的には通用したとしても、そのことを以って国際的にも通用させようとしたら、国際的な説明責任に深く関係することなのだから、そのうち大きな間違いとなって跳ね返ってこない保証はない。 

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石破茂の少子化対策「近居」政策は子ども一人のみの出産・育児を想定したものか

2014-11-11 05:41:45 | Weblog



      生活の党PR

       《11月6日(木) 鈴木克昌代表代行・幹事長定例記者会見要旨》    
  
       『雇用対策について我党独自案の提出を準備している』

       【 質疑要旨】
       ・野党の今後の議員立法提出予定について
       ・次世代の党の地方創生関連法案投票行動について
       ・統一地方選に向けた野党の選挙協力について
       ・衆議院選挙に向けた準備状況について
       ・野党幹事長会談の開催について

 地方創生担当相の石破茂が11月9日鹿児島市で講演、例のねっとりとした、押し付けるような口調で喋ったのだろう、〈地方創生の実現に向けた少子化対策の一環として、子どもを産み、育てやすい環境を整えるため、若い世代とその親の世代が近くに住むことができるような支援策を検討していく考えを示し〉たと次の記事が書いている。

 《少子化対策に親との「近居」を》(NHK NEWS WEB/2014年11月9日 18時12分)

 石破茂「子どもがたくさん産まれるということは、『男性がどれだけ家事をするか』にかなり密接に関係している。本当は、おじいさん、おばあさんと三世代で一緒に暮らすのが一番よく、そうした環境では子どもがたくさん産まれやすい。

 同居と同じように近くに住む『近居』というものが考えられないか。味噌汁が冷めないような時間に集える居住形態に対し、何か支援ができないものか」
 
 記事解説。〈子どもを産み、育てやすい環境を整えるため、若い世代とその親の世代が近くに住むことができるような支援策を検討していく考えを示しました。〉――

 要するに親子三世代同居が子育てには理想型だが、三世代同居に相応しい間取りが必要になって、それ相応にカネがかかり、皆が皆三世代同居というわけにはいかない。そこで親に「味噌汁が冷めないような時間に集える」近所に住んで貰って、育児をさせようという考えなのだろう。

 このように考えたのは待機児童問題がすっぱりとは解決できない状況に陥っているからだろう。9月12日(2014年)の「NHK NEWS WEB」記事が、保育所の定員が今年4月時点で2013年よりも4万7000人分、率にして2%増加して約233万5000人となったものの、保育所に入ることのできない待機児童が4年連続減少の昨年比マイナス1370人ながら、全国で2万1371人も存在してることを伝えているが、こういったことが背景にあるからだろう。

 この入所困難という状況は多くの女性達に二人目は考えてしまうという出産抑制の動機づけともなっているようだから、待機児童数だけの問題で収めることはできない。実際に入所困難が理由となって、二人目、あるいは三人目を産むのをやめてしまった女性が多くいるはずだし、入所に苦労すれば苦労する程、その傾向は強くなるはずだ。

 石破茂はこういった事情を背景に置いて、「近居」なる少子化対策のための居住形態を考えついたに違いない。

 子どもが、それが男であっても女であっても、結婚すると、二組の親がいることになる。その片方の親が子どもに子(親から見ると孫)が生まれたとき「近居」して、保育所の代わりに育児を手助けをする。

 だが、子どもが二人いた場合、どうするのだろう。妊娠・出産の時期がズレていたとしても、最初の子どもの家の近くに「近居」したのである。もう一人の子どもが妊娠・出産したからと言って、最初の「近居」をおしまいにして、次の子どもの近くに「近居」するのは余程のカネと、親の年齢を考えた場合は体力がなければ、できない相談となる。

 自分たちは一度「近居」を務めているのだから、次の子どものもう一方の親に頼みますと言ったとしても、スムーズに行くかどうかが問題となる。兄弟(姉妹、兄妹、姉弟)間で相手が違うことの不平不満が起こらない保証はない。

 子どもを一人と仮定した場合、どちらか片方の親の「近居」で片付く。但し少子化対策の「近居」である。少子化対策=多産化対策である。親の「近居」の助けを借りて二人、三人と子どもが産まれたとすると、その子たちが結婚して、二人のいずれかが、あるいは三人のいずれかが家を出て結婚して子どもが産まれた場合、その子の親たちは家に残って結婚して出産した子どもの育児の手助けはできるが、他の子どもたちの「近居」にお付き合いできるのだろうか。

 二人産んで二人共、あるいは三人産んで三人共家を出て結婚した場合はそのうちの一人に対しては「近居」の付き合いはできだろう。他の一人、あるいは他の二人はもう一方の親が「近居」してくれれば助かるが、果たしてうまくいくかどうかである。

 勿論、保育所入所と併せた「近居」と言うことなのだろうが、常に不確かさが付き纏うことになる。

 最も確実なのは子どもを一人しか産まないことである。どちらか片方の親の「近居」で片付く。産まれた子どもが親となって、やはり一人しか産まなければ、その親は子どもが同居したまま結婚すれば何も問題はないが、家を出ていたとしても、どちらかの親の一度の「近居」を実現させさえすれば、済ませることができる。

 少子化対策=多産化対策とはならないが、より確実な「近居」政策とはなり得る。

 どう見ても石破茂の「近居」政策は、子ども一人のみの出産・育児を想定した場合にのみ、より確実に機能する政策としか思えない。

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