枝野幸男「大臣の資格等について総理の認識を伺いたいと思います。残念ながら、『政治とカネ』を巡る報道、あるいは国会での議論が行われている。残念ながら、私も大変お恥ずかしい話でございますが、事務所の記載漏れがございまして、政治資金規正法の収支報告書の訂正の手続きを行い、同時に記者のみなさんに事実関係を申し上げると共に、HP等を通じて、その経緯等について説明をさせて頂いているところであります。
元々自己都合なことばかり言う下品な総理大臣だとは思っていた。2014年10月30日衆院予算委員会で行われた枝野民主党幹事長との質疑応答中、答弁の場面でその下品な姿を物の見事に曝していた。「誹謗中傷」という言葉の意味すら弁えずに「誹謗中傷」という言葉を使っている。
発言はHK総合テレビの国会中継から文字に起こした。必要個所は詳しく取り上げて、不必要個所はかなり省いた要旨のみにとどめる。文飾は当方。
報道によると、こうした私の件を受けて、総理が近い関係の議員に『誹謗中傷の合戦をやめるべき、。これで撃ち止め』という言い方でしょうか、『撃ち方辞めにする』と言い、そうした趣旨のことをおっしゃったと聞いております。報道されたと。
誹謗中傷合戦は勿論、私達の望むところではありません。今報道されているところの発言、先ず事実関係を」
安倍晋三「今日の朝日新聞ですかね。撃ち方やめ。私が言ったと。そういう報道がありました。
これは捏造です(数人が同調的に意識的に笑ったあと、「吉田証言」の朝日新聞の捏造に引っ掛けた自身の表現の巧みさにだろう、得意がるふうにニヤリと笑う)。
朝日新聞は安倍政権を倒すことを社是としている。かつて主筆が、あー、喋ったということでございますが、これはブリーフした萩生田議員に聞いて頂ければ明らかでございますが、私に確認すればすぐ分かることでございます。私が言ったかどうか。
親しい朝日新聞の記者がいるんですから、1回も残念ながら問い合わせがないまま、私が言ってもいない発言が出ているので、私も私も驚いているところでございます」
枝野幸男「誹謗中傷はやめるべきだと言った点についてはどうです」
安倍晋三「いわゆる誹謗中傷ですね、はやめるべきではないかということだとは、そういう趣旨のことは話しました。誹謗中傷はですね。
ですから、枝野議員も収支報告書のミスについては単純ミスでは許されないと、いう発言をされましたね。その同じ発言を枝野議員もされたのではないかと承知をしておりますが、そういうことを予算委員会で言い合うというのは余り私は生産的ではないと、まあ、そう考えて述べたものであります」
枝野幸男「総理に近いと世間では思われている読売新聞でさえ、宮沢大臣と望月大臣の説明は足りないと書いている。小渕議員を加えて、大臣として相応しいと判断して総理が任命したのだから、総理は説明責任を果たすよう指示を出しているのか」
安倍晋三「勿論ですね、しっかりと説明すべきだと指示を出している。
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同時にですね、こうした予算員会の場に於いてですね、様々な課題があるわけでありますから、これにTPPとかですね、あるいは経済の様々な課題がありますね、消費がどうなっていくか、そういう課題について真摯に、真摯に向き合っていくべきではないかと、こう思うわけでございます」
枝野幸男「よく安倍総理は民主党政権時代はということを答弁の中で仰られますが、私もそちらの座っていたときもありましたけど、野党自民党こそ、まさに政策議論を扱うことは少なくてですね、『政治とカネ』の問題について大変長い時間をかけておられたということは客観的事実、指摘をしておきたい、いうふうに思います。
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朝日新聞ではなく、読売新聞が宮沢大臣や望月大臣の説明は不十分だと社説できちっと書いている。総理として閣僚や閣僚であった方についてしっかりと説明責任を果たせと、指導力を発揮して頂きたい」
安倍晋三「自民党が野党時代の姿勢についてご批判をされました。確かに枝野大臣の問題点、随分追及したことがあります。それは例えばですね、それは例えば殺人や強盗や窃盗や盗聴を行った革マル派活動家がいますね。
この革マル派活動家が影響力を行使し得る主導的な立場に浸透していると見られるJR総連、JR東(総連)からこの答弁として質問主意書によって、これはそういう団体であるということを認めたのは枝野大臣で、大臣をしておられるときの内閣で、これはまさに認められたわけでございます。
そしてこの団体から枝野議員は800万円、献金を受けていたと。これは殺人を行っている団体でありますから、そういう団体がですね、影響力を行使しているということは、これは由々しき問題ではありませんか。
だから、枝野当時の大臣に答弁を求めたことがあります。で、これは重大な問題であるからこそ申し上げているわけでございます。今、『そう言うことを総理大臣が言うのか』という野次が飛びましたが、辻元(清美)さんからね。
でも、自分たちが言われたら、都合が悪いことは黙って貰いたい。でも、事のテイチョウさ(「重大さ」か?)から言えば、事のテイチョウさ(重大さ?)から言えば、何件も殺人を起こしている活動家が浸透している、それを認めたのは枝野さんが入っている内閣が認めた。
つまり枝野さんはそれを認識していたのだったのでありますから、そういう認識を当時自民党が(追及を)していたわけであります。当然、議論しなければならないことではないかと思っております」
枝野幸男「誹謗中傷をやめた方がいいとおっしゃったのは総理だと思っておりますが、私はあの時明白に答弁をしておりますが、私は、総理も会見等で法的な存在として、社会的な存在として認めておられる連合加盟の産別とはお付き合いをしていますが、そうした所の中に色んな方がいる。
それであれば、経済団体の中にも犯罪行為を犯す企業が経済団体の中に加入しているケースも有るじゃないですか。だからと言って、経済団体の幹部の方と会わないんですか。
私はまさに社会的に認められている連合傘下の産別とはお付き合いをしました。しかしその中の構成員に色んな方がいらっしゃったとしても、その方と個人的なお付き合いしたわけではない。まさに連合傘下の産別とお付き合いをした。
その時明白に申し上げましたし、まさに私は筋の通った答弁をさせて頂いたつもりですから、その後、そのことについてどっかから問題を指摘されておりませんが、総理は事実の異なる、あるいは事実を歪めて色々とおっしゃるのはやめて頂きたいと思います」
安倍晋三は次の答弁でこのことには一切触れていない。
安倍晋三は自分と近い議員との会合なのか、会食なのか、そういった場所で自分が「撃ち方やめ」と言ったと報道したのは朝日新聞で、それは朝日新聞の「捏造」だと断定している。 松野頼久維新の党議員「今朝の新聞・テレビを見るとですね、どうも国会が『政治とカネ』ばかりの話をしているかのような報道もなされていますし、えー、総理も午前中の質疑の答弁でですね、国民が期待しているのはしっかりと政策を議論して前に進めることだと、いうふうにおっしゃっています。
だが、この発言を報道したのは朝日新聞だけではなく、産経新聞や読売新聞も報道していると産経新聞自身と読売新聞自身が自分たちの記事の中で認めている。
《「私は言っていない」 首相「撃ち方やめ」発言を否定 紹介の側近議員が釈明》(産経ニュース/2014.10.31 17:47)
発言は〈側近議員と29日に面会した際〉のもので、〈首相の発言は面会出席者が記者団に語り、産経新聞や朝日新聞などが報じた。〉
安倍晋三の「言っていない」という否定に対して、〈側近議員は同日、「『誹謗中傷合戦みたいなことは美しくない』と私が言うと、首相は『うん、うん』と聞いていた」と釈明した。〉となっている。
いわば側近の萩生田は「誹謗中傷」の言葉は自分の発言だとしているが、「誹謗中傷」なる言葉は「根拠のない悪口を言い振らして、他人を傷つけること」を言う。
だとすると、野党議員による小渕大臣や宮沢大臣等の政治資金規正法違反疑惑に対する国会での追及は根拠の無い悪口の言いふらしを意味する「誹謗中傷」に当たることになる。
萩生田が自分の発言だとしたのは言葉の意味から首相が使うべきではない場面で使ったことが批判される恐れがあることに気づいたからではないだろうか。でなければ、安倍晋三自身が「いわゆる誹謗中傷ですね、はやめるべきではないかということだとは、そういう趣旨のことは話しました。誹謗中傷はですね」と、発言したことを認めるはずはない。
読売新聞が取り上げている記事を見てみる。
《「撃ち方やめ」発言は「捏造です」…首相が否定》〈YOMIURI ONLINE/2014年10月31日 10時08分) l
〈安倍首相が29日に自らに近い議員に会った際、民主党の枝野幹事長に絡む政治とカネの問題が発覚したことに関連して「(民主党が)『撃ち方やめ』となればいい」と語ったとする報道について、首相は30日の衆院予算委員会で、「捏造です」と否定した。
首相は「誹謗中傷はやめるべきではないか、という趣旨の話はした」と語った。
首相が否定した「撃ち方やめ」発言は、首相との面会後、出席者の一人が記者団に説明し、読売新聞など複数の社が記事化した。この出席者は30日、記者団に対し、「全体の趣旨としてはそうだったが、『撃ち方やめ』は自分の言葉だったかもしれない。説明ミスだった」と釈明した。〉――
ここでは、「撃ち方やめ」の言葉を自分の言葉かもしれないと不明確ながら認めているが、29日の発言を1日2日ではっきりしなくなるのは自身の発言に対する責任の軽さしか感じない。
安倍晋三は言葉の意味を理解していないから、どのような場合に使っていいかも弁えていなかったのだろう。野党議員の疑惑の追及に対して大臣の誰もかが「誹謗中傷」だと抗議しているのだろうか。
また、朝日新聞の「捏造」だとしたことはまさに「誹謗中傷」そのものに当たる。一国の首相が確たる根拠もなく「誹謗中傷」をする。下品そのものである。
安倍晋三は枝野幸男が過去に800万円の献金を受けていたことについて、「これは殺人を行っている団体でありますから」と言って、「殺人や強盗や窃盗や盗聴」等の犯罪を犯している「革マル派活動家」が組織している団体から受けていると意味が取れる発言を展開している。
そして枝野が経産大臣として入っていた「内閣が認めた」と言っているが、「革マル派活動家」がそういった組織であることを認めたと言うことであることは簡単に推測できることであって、「JR総連、JR東(総連)」という組織がそういう組織であることを認めたというわけではないのは、枝野の次の発言を待たずとも、ごくごく当たり前の常識から言っても判断できることをやはり常識も弁えていないからだろう、判断できずに血迷った発言に終始している。
決して上品な姿とは言えず、下品ですらある。
頭に血が上っていたのか、いついかなる質問主意書とそれに対する答弁書なのか、第三者に自身の発言の正当性の確認に提供するために情報源を明確にすべきだが、明確に示さないことも自身の言葉に対する責任が軽いことを示すことになるが、インターネット上から探し出した平成22年4月27提出の「革マル派によるJR総連及びJR東労組への浸透に関する質問主意書」だと思う。質問提出者は佐藤勉自民党議員。
詳しいことはそのページにアクセスして頂くとして、「政府においては、JRという公共交通機関の労働組合に、過激派・革マル派が浸透している事態を看過することなく、国の治安維持のために取り組みを強化すべきであると考える。」と要望を述べた上で、〈革マル派は、「平和で自由な民主主義社会を暴力で破壊、転覆しようと企てている反社会的な集団であり、治安を脅かす要因となっている」と記されている。革マル派の社会的な危険性と、JR総連・JR東労組をはじめとするJRの労働組合への浸透と影響力行使の実態及びその目的について具体的に明らかにされたい。〉と質問、その他質問している。
これに対して当時の鳩山内閣が〈革マル派は、将来の共産主義革命に備えるため、その組織拡大に重点を置き、周囲に警戒心を抱かせないよう党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っており、全日本鉄道労働組合総連合会(以下「JR総連」という。)及び東日本旅客鉄道労働組合内には、影響力を行使し得る立場に革マル派活動家が相当浸透していると認識している。今後も、革マル派は、組織拡大に重点を置き、党派性を隠して基幹産業の労働組合等各界各層への浸透を図っていくものと見られる。〉等の趣旨の答弁書を示しているのみで、安倍晋三が言っているようにJR総連やJR東総連がそういった組織であるとは一言も記していない。
にも関わらず、「これは殺人を行っている団体でありますから」と言って、枝野がそういった団体から献金を受けていたかのように言うことも、更にJR総連やJR東総連に対しても「誹謗中傷」そのものに当たる。
一国の首相が軽々しく「誹謗中傷」をする。この下品さは何とも言い様がない。
この安倍晋三と枝野幸男の遣り取りは10月30日午前であるが、午後に最初に質問に立った松野頼久維新の党議員が非常に勉強になる発言をしている。
実際ですね、ちょっとどれくらい国会でこの『政治とカネ』の話をしているかというのを、少し国民に誤解がないようにですね、数字を拾ってみました。10月の28日時点で、常任委員会43回開かれて、92時間36分。特別委員会が24回開かれて20時間40分。
計113時間16分。これが10月28日前での国会での審議時間。この中で、じゃあ、この『政治とカネ』がどのくらいやられているのかと言うと、7時間程度です。全体で割合で言うとですね、94%がきちっとした政策議論に費やされているということですから、冒頭申し上げて、質問に入りたいと思います」
『政治とカネ』の問題は議員や大臣の資質・資格の問題に深く関わる。いわば『政治とカネ』の問題を追及していると同時に議員や大臣の資質・資格を追及しているのである。
非常に重要な問題であるはずである。
野党議員が国会の場で『政治とカネ』の問題ばかり追及しているわけではないのに、そうだとしてその追及をやめさせようとするのは、野党議員ばかりか、国民に対しても、特に大臣たちの『政治とカネ』の問題に目を潰れと言うに等しい。
疑惑はそれを晴らすまで説明を尽くすべきを、逆に曖昧なままにして「政策議論」を口実に幕引きを図ろうとする。何という下品な首相なのだろうか。