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《11月16日『沖縄県知事選挙結果を受けて』 鈴木克昌生活の党幹事長談話》
『沖縄県知事選挙結果を受けて』
平成26年11月16日
生活の党代表代行・幹事長 鈴木克昌
本日投開票が行われました沖縄県知事選挙において、生活の党が支援しました翁長雄志候補が初当選を果たしました。沖縄県の多くの皆
様にご支援を賜りましたことに心より感謝申し上げます。
これまでの選挙は、基地をはさんで保革に分かれ、経済か平和を中心とする選択を県民に迫るものでした。しかし今回の選挙では、そう
したイデオロギー対立ではなく、県民との公約を遵守できるリーダーか否かが問われました。 沖縄県民の多くの皆様が、オール沖縄の
『建白書』で先導的役割を担い、信念のぶれない翁長雄志候補を新しい知事に選ばれたことに心より敬意を表します。
安倍政権は、今回の選挙で示された県民の意思を真摯に受け止め、辺野古埋め立てについて再考すべきと考えます。
沖縄知事選で基地移設反対の翁長雄志候補が36万票も取り、当選した。ペテン師仲井真前知事に約10万票の大差をつけての当選である。1万、2万の差なら、安倍政権は民意を如何ようにも誑(たぶら)かすことができるが、10万の差からは誑かしの言葉を見つけることは困難であるはずである。
安全保障は沖縄だけの問題ではなく、日本全体の問題であったとしても、普天間基地の県外移設を手段とした安全保障を以って日本全体の問題としなければならない外交手腕の発揮を必要とする36万の民意であり、次点に10万の大差をつけた民意であるはずである。
2014年11月16日放送のNHK日曜討論「首脳会談実現 どう動く日中関係」で、日中首脳会談を開くに当たって日中外交当局で合意した4項目のそれぞれの文言が何を意味するか、その解釈を出演者に質問していた。
ここでは尖閣問題のみを取り上げる。出演者は岸田文雄外相、東京福祉大学国際交流センター長遠藤誉女史、神田外語大学教授興梠(こおろぎ)一郎氏、東洋学園大学教授朱建栄氏の4氏。それぞれの意味・解釈を一通り見てみる。
尖閣の領土問題に関わる合意は、〈双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。〉となっている。
中川緑アナ「岸田外務大臣に伺いたいんですが、『異なる見解を有している』というのは、中国側が領有権問題が存在するんだとしている、その主張を日本側も認めたということなんでしょうか」
岸田文雄「いえ。結論から申し上げますと、そうではありません。この発表のポイントはですね、東シナ海海域に於いて近年、緊張関係が生じている。えー、このことについて、異なる見解を有している、これがポイントになります。
緊張関係が生じていることについては、先程もご説明がありましたように、中国公船の領海侵入もあれば、東シナ海の防空識別圏の設定もあれば、更に一方的な東シナ海に於けるガス田開発。こういったものもあります。こういった緊張した状況に対して、日中間に於いて考え方が異なっている。これを『異なる見解を有している』。このように表現したわけですので、従来の我が国の立場について、この中で触れているというものではありません」
島田解説委員「つまり尖閣諸島という言葉は入っているけれども、これは場所を指し示すためで使っている言葉なんだと、いうことですか」
岸田文雄「東シナ海には様々な緊張関係、緊張状態が存在します。これを指し示しているわけです」
島田解説委員「遠藤さん、中国側はそういう日本側の気持というものを、これはどういうふうに受け止めるでしょうか」
遠藤誉女史「中国側の解釈というのは全く違っておりまして、実際は岸田外務大臣がおっしゃったとおりだと思うんですけど、しかし文言が曖昧であればある程、カバーする範囲も広くなりますねえ。
それから恣意性も出てきます。従って、中国側はあくまでも領有権問題が存在するか否かということを明確にしたものであって、中国側の解釈としてはですね、日本はついに尖閣の領有権に関して紛争があるということを認め、それを文字化したというふうに、11月7日の時点で発表しているのです。
(合意)文書が出た直後にもう人民日報を始めとして、このように発表しておりますので。勿論、尖閣諸島の領有権に関しては、これは日本にあり、国際法的にも歴史的にも疑う余地はありませんが。しかし、解釈の仕方は恣意性が非常に大きく、中国はそのように解釈してますので、必ずしも、日本に有利とは限らない側面も出ているのではないかと、そういうふうに思います」
島田解説委員「朱建栄さん、どう見てますか」
朱建栄氏「中国の人民日報を含むマスメディアはですね、これが中国有利、いや中国不利、そのような、それぞれの意見がある。日本の中でも、これは日本有利、不利という賛否両論があったわけですね。
ただ、私が注目しているのは、中国政府は、これ以上これについて深入り・言及していないこと。それはやはりこれを巡って何とか中国側は国内向けに一応尖閣諸島に触れたと。日本側での、まあ、これはそれを含む広い海域での緊張と、そういうところで最大限の一種の暗黙の了解ををつくったこと自体が意味があって、それに2、3日前の中国の外交当局が一つの表現を使ったのですけれども、『互いに折角蓋をしたことにはその災いを再燃させるな』
それが第一で、せっかくこれを巡って2年間ずっと互いに主張していたのが、これで蓋をして、これ以上それを紛争しないで、前向きに行こうと、それを大事にしようというメッセージが送られています」
島田解説委員「興梠さん。この解釈、別れそうなこの部分について」
興梠一郎氏「私はやっぱりあの、人民日報の話が出てましたけど、合意があって翌日の11月8日ですかね。このときに評論が出ていて、非常に面白い部分があるんですね。
『双方が十分な知恵と実際の行動を持って』ですね、『このトラ』、『このトラ』という、尖閣と言ってるんです(尖閣のことを言っているんです)。『トラを籠に戻すことができた』と。
つまり彼らは尖閣っていう問題の位置づけですよね、これは厄介なものなんですよね。はっきり出てるんですね。で、はっきり言ってしまうと、これは国内向けに申し訳が立たないですから、例えば日本側は絶対領土という言葉を入れなかった。で、中国側はある意味、そこで譲歩している。で、緊張状態が生じている現状を描写しただけのことですよね。
中国はこの問題の置き所というのを調整してきていて、日中問題という大きな大局の中で、この問題を一回籠の中に戻しましょうというリセット的なね、発想がはっきり出ているので、これはあまり大きくしたくないというのが、何となく感じ取れますね」
以上で4氏の尖閣諸島に関わる合意文書についての意味・解釈を聞くことができた。それぞれの意味・解釈に自分なりにケチを付けてみようと思う。相手は高名・立派な有識者である。私如きに異なる解釈の付け入る隙を与えるはずはない。与えるとしたら、ケチをつける隙以外はないだろうから、ケチを付けることにした。
その前に興梠(こおろぎ)氏はほっそりとした体つきで、声も細やかで優しそうな物静かな口調で語りかける。やはりキュウリを主食にしているからなのだろうか。
岸田文雄は合意文書に〈双方は、尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し〉と書いてあるとおりに、「東シナ海海域に於いて近年、緊張関係が生じていることについて異なる見解を有している」としたのであって、尖閣諸島に関して領土問題が存在することを認めたわけではないと否定している。
中国側にとっての対日本緊張関係の第一番の原因は尖閣の領有権問題である。中国は東シナ海のガス田開発に関しては日本政府の抗議にも関わらず強引に推し進めているし、今後共強引に推し進めることができる。
中国側が唯一壁に突き当たっている、いわば緊張関係を解きほぐすことができない最重要の尖閣諸島の領有権問題を外して、「異なる見解を有している」とするとは考えられない。
岸田文雄は緊張関係を発生させている原因の一つに「中国公船の領海侵入」を挙げて、このような緊張関係を「異なる見解」の一つに位置づけいるが、中国は尖閣諸島を中国固有の領土としているのだから、領海侵入の認識はない。
いわば日本側にとっての「中国公船の領海侵入」、中国側にとっての自国領海航行にしても、尖閣の領有権問題から発生している見解の食い違いなのだから、岸田文雄が言うよう領土問題は存在しないとしている「従来の我が国の立場について、この中で触れているというものではありません」とする意味づけには無理がある。
中国側が抜かすはずもない尖閣諸島の領有権問題を抜きにして、「異なる見解を有している」は緊張関係全体を指すのだと解釈すること自体、薄汚いゴマカシとしか言い様がない。
後で誤魔化せばいいという前提で文書に合意したとしか思えない。
遠藤誉女史は人民日報を始めとして中国政府系のマスメディアが「中国側の解釈として」、「日本はついに尖閣の領有権に関して紛争があるということを認め、それを文字化した」と報道していると言っているが、中国当局が自らの声を中国政府系のマスメディアに代弁させているはずだから、朱建栄が「私が注目しているのは、中国政府は、これ以上これについて深入り・言及していない」と観察していたとしても、中国側の今後の対応は日本が尖閣諸島に関して領土紛争を認め、それを文字化したとする合意を原則とすることになるはずだ。
岸田文雄が「従来の我が国の立場について、この中で触れているというものではありません」と言おうと言わなかろうと、中国側にとっては薄汚いゴマカシにしか映らないということである。
とすると、朱建栄が「最大限の一種の暗黙の了解」が形成されたと解釈している中国の外交当局の言葉、「互いに折角蓋をしたことにはその災いを再燃させるな」にしても、中国側の解釈は日本側が領土紛争の存在を認めたことを前提とした「蓋」ということになる。
但し、「これで蓋をして、これ以上それを紛争しないで、前向きに行こうと、それを大事にしようというメッセージが送られています」との意味・解釈に正当性を認めるとしても、日本側が合意文書に関して領土問題の存在を認めたわけではないという態度に拘ったなら、蓋は蓋としての役目を放棄しない保証はない。
興梠氏は人民日報が評論で、「双方が十分な知恵と実際の行動を持ってトラ(尖閣の領有権問題)を籠に戻すことができた」と書いていたことを以って、「緊張状態が生じている現状を描写しただけのことですよね」と解釈しているが、中国側がそれで満足すると思っているのだろうか。
思っていたとしたら、中国政府は政府系メディアに日本政府は領土問題の存在を認めたとする自らの声を代弁させることはなかったろう。
あくまでも日本側が領土問題が存在することを認めたから、籠に戻すということであるはずだ。
このように解釈すると、興梠氏の「中国はこの問題の置き所というのを調整してきていて、日中問題という大きな大局の中で、この問題を一回籠の中に戻しましょうというリセット的なね、発想がはっきり出ているので、これはあまり大きくしたくないというのが、何となく感じ取れますね」という解釈はごくごく妥当性を見い出すことができるとしても、領有権問題を認めたとする爆弾を内部に抱えていることに変わりはないはずだ。
その扱いを一つでも誤ったなら、蓋をして押さえていた分、その反動で勢いよく蓋は噴き飛び、トラは凶暴化して野に放たれないとは限らない。
ゴマカシ続けることはできないということである。実効支配を梃子にすれば、領土問題の存在をどのように認めようとも、後は外交手腕一つでトラを籠に入れることができるはずだ。それもゴマカシのない正々堂々とした態度で。
岸田文雄にしても安倍晋三にしても薄汚くゴマカスことに汲々しているように見えるのみで、正々堂々とした態度を見い出すことはできない。