現在は絶版になっているが、自由民主党東京都支部連合(自民党都連)事務局広報部長小粥義雄(おがい よしお)が1994年4月に著作した『HITLER ヒトラー選挙戦略』(1994年4月出版)に現在安倍右翼内閣の総務相となっている右翼高市早苗が推薦文を寄せていて、そのことを書いている記事を紹介するツイッターに出会った。
《「説得できない有権者は抹殺」高市早苗推薦、自民党のヒトラー本が怖すぎる》(ライブドアニュース/2014年9月13日 21時45分)
最初の画像はその表紙である。
インターネットで調べたことだが、この書物が出版された1994年4月は38年間続いた自民党単独政権が崩壊し、非自民連立細川政権が誕生した1993年8月から6カ月後のことで、当時既に細川政権から羽田政権に移行していたが、要するに自民党が政権奪取に危機感を抱き、その危機感がヒトラー自身の思想が生み出した選挙戦略に親近性を抱かせたといったところなのだろう。
勿論、便宜的な一時的利用ではなく、独裁的思想を血としているがゆえの拒否感なき親近性でなければならない。この親近性については後で取り上げる。
書物をどのように解説し、どのような内容の記事となっているかはアクセスして貰って理解して貰うことにするが、記事が紹介している高市早苗の推薦文と、書物の一節を紹介している文言を取り上げて、自分なりに解説したと思う。
先ず書物の一節。
選挙活動の過程で「説得できない有権者は抹殺するべきです。この抹殺とは人を殺すことではありません。政治的活動を一切させないように工作することです」・・・・・
記事解説は、〈考えてみると、「「政治的活動を一切させないように工作」というのも相当に恐ろしい。それって、反自民党的な有権者ならびに市民団体や政治勢力を弾圧して、政治に関与させないようにする!ってことじゃないか?〉となっているが、言論の自由、思想・信条の自由の抹殺の意味を込めた“政治活動妨害”であって、独裁的思想を血としていなければこういった発想は生まれないだろうし、だからこそのヒトラーに対する拒否感なき親近性であろう。
このようにヒトラーに対する拒否感なき親近性から著した書物に高市早苗は推薦文を寄せた。同じ右翼の血を持たなければできない。
高市早苗推薦文「著者の指摘通り勝利への道は『強い意志』だ。国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」
「国家と故郷への愛と夢を胸に、青年よ、挑戦しようよ!」とは、最終的に国家への奉仕を要求する言葉である。
国家への奉仕は自身を国家と一体化させることである。自身の国家との一体化とは自分なるものを捨てて、国家の思想を自身の思想とすることを意味する。国家を唯一絶対として、お国のために命を投げ打てと言われたら、言われるがままに無条件に命を投げ打つ。
このことはまた個人としての自律性を自ら放棄することに他ならない。自分から考えて、自分の考えで行動することの放棄である。
もし個人が何かに尽くすとしたら、高市早苗の言葉を借りるなら、何かに対して「愛と夢を胸に」抱いて「挑戦」するとしたら、何らかの他者の幸せへの奉仕を挑戦対象としなければならない。
政治家なら、国民という他者に対しての奉仕であって、国家に対してではない。
自分を捨てたなら、自分であることを失う。個人の幸せへの奉仕は他者へと自己を一体化させることではない。他者を唯一絶対とすることでも、自己を唯一絶対とすることでもなく、あくまでも自他を自律的存在として相互関連づけつつ個人の幸せを考え、行動しなければ、冷静な客観性・冷静な判断を失って、情緒的行動に堕すことになる。
高市早苗の国家への奉仕の要求は、当然、国家主義思想を纏っていることになる。
だからこそ、ヒトラーに対する拒否感なき親近性から著した書物に推薦文を寄せることができた。高市早苗の国家主義思想そのものから出た推薦文の言葉だということである。
次の総選挙で安倍自民党を大勝させて、高市早苗や稲田朋美、山谷えり子、その他の危険な右翼を再び好きにのさばらせてはいけない。