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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

奄美大島豪雨災害、陸海空自衛隊合同での災害派遣対処へ態勢整う

2010-10-21 23:01:18 | 防衛・安全保障

◆海自ヘリにより陸自部隊が展開

 一時間当たりの降雨量120mmという豪雨により、大きな被害が出た鹿児島県奄美大島へ鹿児島県知事より自衛隊へ災害派遣要請が発令されました。

Img_5255  奄美大島は鹿児島県島嶼部にあたり、自衛隊部隊の常駐はありません。また、空中機動に重点を置いた第15旅団管区ではなく、南九州を防衛警備管区とする第8師団の管区内にあり、空中機動部隊の不足などから、海上自衛隊鹿屋航空基地のUH-60J救難ヘリコプターの協力下で陸上自衛隊の第12普通科連隊が派遣されるというかたちとなっています。

Img_4392  奄美大島は鹿児島県ではありますが、九州本島から距離がありまして、急患輸送などの災害派遣には鹿屋航空基地の海上自衛隊救難ヘリコプターUH-60Jがあたっています。第8飛行隊のUH-1は、パキスタンに派遣中でして、しかしパキスタン水害に派遣中に管区内で大水害の被害、ということですか、偶然とはいえ、そういうこともあるのですね。それでは、被害状況を産経新聞の先ほどの記事から引用です。

Img_5596_2  停電一時1万1100戸に 奄美市で断水 電話7000回線が不通、携帯も2010.10.21 22:29九州電力鹿児島支店によると、奄美大島では21日、一時約1万1100戸が停電した。一部は復旧したが、同日午後8時現在で約7300戸が停電のまま。道路寸断の影響で作業が難航し、復旧のめどは立っていない。 奄美市によると、21日午後8時ごろ、同市名瀬の一部で断水し、復旧作業を開始。同市笠利町の一部でも停電や道路陥没のため約3時間断水したが、復旧した。

Img_2169  鹿児島県によると、奄美大島の道路は21日午後8時現在、夜間だけの1カ所を含め国道58号など計30カ所が通行止め。最大時は39カ所に上った。 NTT西日本によると、電話約7千回線が不通状態。また、NTTドコモなどによると、奄美市や竜郷町の一部で携帯電話もつながらなくなっているhttp://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/101021/dst1010212230011-n1.htm

Img_2145  豪雨災害により、現在奄美大島には孤立集落が多く、通信インフラの途絶によりこの情報収集もままならない状況となっています。現在は、海上保安庁のヘリコプターが上空から情報収集に当たっている段階にあり、一刻も早い被害の全容を把握する必要があります。こうしたなかで、自衛隊は21日0200時に連絡要員を派遣、調整の結果、0830時に正式に災害派遣要請が出されました。

Img_9655  【21日】 02時00分頃 陸自第12普通科連隊(国分)の連絡要員2名が鹿児島県庁に到着。 08時30分 鹿児島県知事から第12普通科連隊長(国分)に対して、孤立者救助に係る災害派遣要請。防衛省災害対策連絡室(室長:事態対処課長)設置。 08時51分 海自第1航空群(鹿屋)のUH-60J×1機が離陸し、陸自第12普通科連隊(国分)の隊員7名を乗せ、10時49分に佐大熊HP(奄美市役所脇)到着。

Img_5261 09時37分 海自第1航空群(鹿屋)のUH-60J×1機が離陸し、陸自第12普通科連隊(国分)の隊員8名を乗せ、11時29分に佐大熊HP(奄美市役所脇)到着。09時55分 海自第1航空群(鹿屋)のUH-60J×1機が離陸し、陸自第12普通科連隊(国分)の隊員7名を乗せ、11時39分に佐大熊HP(奄美市役所脇)到着。到着した陸自隊員は、捜索活動等について地元消防等と調整し、情報収集中。

Img_9573 12時47分 空自航空支援集団(小牧)のC-130×1機が陸自隊員等の輸送のため、鹿屋へ向け離陸。 13時33分 海自第1航空群(鹿屋)のUH-60J×1機が離陸し、陸自第12普通科連隊(国分)の隊員8名を乗せ、15時30分頃に佐大熊HP(奄美市役所脇)到着予定http://www.mod.go.jp/j/press/news/2010/10/21c.html

Img_0413  現在派遣されているのは鹿児島県国分駐屯地の第8師団隷下にある第12普通科連隊、として海上自衛隊では鹿屋航空基地の第1航空群、更に輸送支援へ航空自衛隊小牧基地よりC-130H輸送機が派遣されています。派遣人員は本日1400時の時点では航空機5機、人員約30名となっています。

Img_9928  現在、自衛隊に求められているのは、行方不明者捜索と孤立車救助、関係行政機関の人員輸送となっています。現時点ではまだなんともいえないのですが、今後行方不明者などの事案が報告されるようでしたら、更に部隊が派遣される可能性もありますし、天候状況如何により大きく左右されると言えましょう。

Img_6039  他方、今回の事案で痛感されたのは、島嶼部を管区に持つ師団や旅団について、もう少しヘリコプターの充実を図らなければならない、ということでしょうか。五島列島に対馬、瀬戸内海や隠岐島、佐渡島に小笠原諸島、飛行隊ではなく、第12旅団のようなヘリコプター隊というものは他の部隊にも必要でしょうね。

Img_5762 なお、今週末に鹿児島では護衛艦くらま一般公開が予定されているため、九州南部海域に遊弋しているという事でもあり、緊急時に必要があれば、ヘリコプター搭載護衛艦も災害派遣任務へ加わることが可能です。ともあれ、被害の全容把握とインフラの復旧が急務です。自治体と自衛隊の連携に期待したいです。

HARUNA

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コメント (4)
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