◆多くの総領事が出席する自衛隊行事
伊丹駐屯地での中部方面隊創設記念行事は、大阪や神戸の多くの総領事館から各国総領事が観閲台から参加するのですし、もっと大規模でも良いのでは、と思いました。
伊丹市は、神戸市と大阪市、共に近いのですが、大阪市は京阪神地区の中心地で、日本二番目の人口密集地、そして神戸は、幕末における日本開国の際に開港都市として幕府より指定され、最も初期に外国人居留地が出来るとともに各国が総領事館を置いた都市でもあります。
神戸開港の際に、各国が領事館を置き、しかし建物が無かったという事で近くのお寺や神社の軒先を借りたり、海難事故や変死事案が相次いだり、混乱の時代を反映したような開港でしたが、一度開いた総領事館を各国はそのまま維持してくれまして、大阪が発展する最中でも神戸に多くの総領事館が集まっていました。
阪神大震災を契機に、総領事館を神戸から大阪へ移した総領事館も多いのですが、しかし、アメリカ総領事は正式な役職名を大阪神戸総領事という役職として、神戸の名前を残して大阪へ総領事館を移しまして、小さい事ですが、こういう気配りをする、というほど、大事にはしてくれていた訳ですね。
さて、行事に先んじて、来賓を乗せたバスが観閲台へ向かうところで、その中の一台に各国総領事、と表示があるバスがありました。そういえば、学部生時代、カナダ総領事の講演会があり、どこかで見た顔だなあ、と思い講義録用PCで伊丹駐屯地祭の写真を見ましたらば、総監の後ろに座っていらした、ということも。
中部方面隊創設記念行事伊丹駐屯地祭。駐屯地祭の規模としては、先日の霞目飛行場で行われた東北方面隊創設記念行事ほど会場が広くありませんし、富士駐屯地祭のように最新鋭装備と重装備が来場者を圧倒する、という規模で行えません。伊丹空港が近いので編隊飛行にも制約がありますし、ね。
しかし、出席する総領事の人数では、日本最大級の行事ではないでしょうか。東京から近い東部方面隊創設記念行事は、ほとんど非公開にちかいかたちですし、各国大使や総領事も出席する中央観閲式は三年に一度の実施です。他の方面隊も、大阪や神戸ほど総領事館が多いところにはありません。
こういうところで、自衛隊の行事を大規模にやっておけば、総領事館に本国の外務省や国務省から、何か有事の際に、日本の状況はどうだ、と問い合わせがあった瞬間、いや、方面隊行事を見てきたのですが物凄い装備の質と量です、日本はいざというときに準備をしっかりとやってます、すごかった、と応える事が出来るでしょう。
同盟国や友好国の総領事へ、自衛隊の能力をしっかりと見せておくのは、総領事の職責は自国民の権利と財産、人命と人権の保護にあるのですから、自国民救出の本国への要請や投資に企業進出の情報提供もあるのでして、日本は防衛にもしっかりとした準備を行っている、と示す事は、同盟国や友好国に対しても好影響を与える方向へつながる訳です。
さて、自衛隊なのですが、マスメディアの多くは防衛予算の時には世界第二位の軍事費、と長い事批判する一方で、国際情勢の問題となりますと自衛隊なんて頼りにならない、というような自己矛盾報道をかなり続けていました。個人的には、正面装備の数やメディア露出ばかり見ればそうかもしれないが、実態は違う、と断言できるのですが。
問題なのは、国民がこれを信じてしまう、という事でしょうか、そして尖閣事案の際や北朝鮮武装工作船事案の時に、不要な心配を抱えてしまう訳です。政府には、もうこれは個人的には不信しか無いのですが、軍事に興味のない人には本当に戦争を仕掛けられたとき、大丈夫なのか、仕掛けられないか、と不安な訳ですね。
こういう時に、自衛隊が行事でその威容を見せつけ、日本にはこれだけの装備があるのだ、ということを誇示出来れば、安心がもたらされます。軍国主義の復活だ、とかいわれるかもしれませんが、復活しているというか、軍国主義が衰えず成長しているのは隣国の方な訳でして、不安を拭い去るには防衛力、民主国家ですから不安と言う前に、管理は国民に付託された政府です。
そこで、です。伊丹駐屯地に面積的な限界があるのは十分承知でして、その中で最大限の行事を行うために、伊丹市の伊丹駐屯地と、第3師団司令部の置かれた千僧駐屯地があるのですが、この二つの駐屯地に車両を待機させて市街パレードを行ってみてはどうでしょうか。
戦車も、各戦車中隊、日本原と今津の中隊から一個小隊を抽出して、特科火砲やミサイルの類も数を揃え、とにかく数を揃えて、圧倒するような市街パレードを行う、という訳です。警察と協力しても交通規制は大変でしょし、自衛隊の訓練計画にも響くでしょう。
しかし、伊丹市は、米軍が大阪第二空港である伊丹飛行場を朝鮮戦争時に拡張して発展した街、大阪第一空港は八尾ですが、まあ、戦後に軍需で発展した街ですから多少の理解はあって然るべきですし。広報は平時の実戦、訓練計画との兼ね合いは大変でしょうけれども、抑止力と軍事力は国民が一体となって初めて実現できる事案。威容を見せつけ、安心させるのも任務です。
市街パレードを行ってはどうか、といっても毎年行うには自衛隊にも伊丹市にも負担がかかりますから、三年に一回程度、というくらいでしょうか、しかしやってみる価値は充分あると思います。もちろん、反対はあるかもしれませんが、防衛力がどの程度あるのか、という事を知るのも主権者としての義務ですし、有事の際に動揺しないよう、主権者として判断を下せるようにすることも務めではないでしょうか。
総領事へ日本の防衛力の高さを見せ安心させ、京阪神地区の国民には防衛費の適正使用と練度の高さを見せ相互信頼を培う。そして、もしかしたら観光需要喚起にも繋がるやも、箕面の陸軍重爆撃機実弾訓練や大阪湾観艦式は戦前、一般公開されないものの望見するだけで物凄い市民が押し寄せ、阪急と阪神がうちの車内からの方が乗客の取り合いをしたほどです。まあ、これは蛇足で、利点はあるのですし、やってみては、と。
HARUNA
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