◆民主党総裁選と重なる、航空自衛隊は緊急発進
ロシア軍のTu-22超音速爆撃機が一週間に四度も日本の防空識別圏に侵入し、航空自衛隊の要撃を受けていたことがわかりました。
民主党総裁選により野田新総理の誕生が決まりましたが、本人も認識している通り期待はされていません一方、国家の指導者として当然の責務を果たしてほしい、という至極当然ながら二人の総理が連続して蔑ろにしてきた結果、思いました次第です。
状況は決して楽観できません。防衛省発表によれば8月24日、ロシアの超音速爆撃機Tu-22が二機編隊で沿海州から礼文島沖と奥尻島沖を経て能登半島沖の日本海を飛行する経路で接近、航空自衛隊は対領空侵犯措置を実施、戦闘機による要撃を受け能登半島沖で沿海州に引き返す経路を飛行しました。
8月25日には同じくTu-22爆撃機二機編隊が宗谷海峡から北方領土上空を経て三陸沖に展開する経路により日本防空識別圏へ侵入、同じく航空自衛隊は緊急発進で対処しています。8月29日、再度24日とほぼ同じ経路で日本海上の防空識別圏に侵入しています。
更には本日8月30日に太平洋上を飛行する25日と同じ経路を飛行しての防空識別圏への侵入を行っています。ともに超音速爆撃機Tu-22爆撃機が二機編隊により実施しており、領空侵犯には至りませんでしたが爆撃機二機によりこの頻度で接近が行われることは非常に稀有な状況です。
Tu-22は冷戦時代、米海軍の航空母艦に対する長射程対艦ミサイルを用いての攻撃を行うべく開発された可変翼を備えた超音速爆撃機です。戦略兵器削減条約との兼ね合いから空中給油装置を搭載せず戦闘行動半径は戦域程度を想定したものですが、その能力は今なお侮りがたい機体となっています。
今回の連続したTu-22による防空識別圏への侵入、決して民主党総裁選の時期と故意に重なったとは考えませんが、野田新総理は菅総理の無理な粘りによりまもなくの新年度予算概算要求の時期と重なり、予算面で主導権を発揮できるのは来年度以降になります。
そうした中、東日本大震災により国力が低下していると諸外国に認識を与えてしまっている現状、防衛費を諸外国との均衡を崩さない規模で維持させることによる抑止力の維持という危機管理、安全保障面の施策は最大限継続しなければ、その責務を果たすことはできないといえるでしょう。
北大路機関:はるな
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