終戦記念日:新しい企画の第一段階として
今年も終戦記念日が近づいてまいりましたが、今年の終戦記念日は安全保障環境の激変をはいけいに迎える事となりそうです。
北大路機関では東日本大震災や福島第一原発事故に起因する今後の日本の資源エネルギー政策の転換、更に中国海軍の空母運用や極東ロシア軍の再建など周辺情勢の変化に鑑みた場合、日本の防衛政策における長期計画を定めた防衛計画の大綱を再検討しなければならないのではないか、という事を改めて提示したいと考えます。
現在置防衛計画の大綱は冷戦後の脅威縮小と共にテロとの戦いに重点を置いた装備の軽量化のみを希求している、一種の重装備削減路線でしかないのですが、冷戦後における周辺地域での緊張増大と大規模地域紛争の危険性は無視され、更に既定路線として疑われず実施されてきた人員削減は東日本大震災において完全に裏目に出ました。
また福島第一原発の事故により日本の原子力政策は根本からの再検討を強いられる事となり、スリーマイル島原発事故以降のアメリカに象徴されるように原子力からの脱却は化石エネルギーへの依存増大という結果を生むことは確かである、そういえるのではないでしょうか。
現在の政府は単なる工場停止と節電で乗り切ろうとしていますが日本を復興させ再起動させるためには政治が責任を以てエネルギーの確保を行う責任が生じるのであり、産油地帯での政治的秩序維持に大きく乗り出さなければならない事を意味しています。
こうした中で、例えば災害派遣を考えた場合陸上自衛隊には連隊ごとの管区を有している中で、機動運用という動的防衛力整備を念頭に師団編成を師団旅団編成に改めつつも部隊の位置付けが不明確な主要部隊の在り方はどう見るべきか、という視点。重装備脱却という位置づけに対し日本の地形や運用環境における機甲部隊と特科部隊の位置付けがどうあるべきかという視点。島嶼部防衛における部隊体系に関する一視点。
長大化し且つ脅威が増大するシーレーン防衛における艦隊防空の視点。水上戦闘艦部隊規模の維持に関する乗員確保という視点。陸上部隊を含めた戦力投射という能力確保に関する視点。沿岸警備と海賊対処ということなる任務の両立という視点。
航空母艦脅威に対する太平洋方面の防空体制。航空優勢確保と基地航空能力という視点。航空阻止と専守防衛という視点。情報優位に関する重要性と関連法規との整合性という視点。これらを維持する上での後方支援体制という視点。そして防衛に関するもっとも基本的な法という視点。
これらを自衛隊の編成や運用体系から、どういう装備までをどの程度有する事が可能なのか、という視点で考えたいと思います。これらは単発的に北大路機関に記載してきた内容ですが、戦後から震災後、という時代を迎える中で、考えてみる事も意義深いでしょう。日本は経済規模や外交力で、政権交代後の稚拙さと相まって位置が変化していますから、ね。
以上の点を終戦記念日までの期間に順次思いつくままに記載し、防衛大綱があるべき姿、求められる防衛力を現在の財政基盤に依拠して妥結点はどのあたりにあるのかを、論述する予定です。2011年という年は大きな転換点になる事でしょう、そういう年の終戦記念日だからこそ、防衛大綱とともに震災後の防衛問題を考えてみたいと思います。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)