■嘉手納基地第18航空団の写真とともに考察
嘉手納基地に行ってきました。写真はG-12の撮影したもので少々難ありですが、速報ということで掲載としました。
嘉手納基地だけでは手元の環境で文章が続きそうにないこともあり、一つF-Xに関するコメントも寄せられていますので、少しこれに関連した文章とともに記事を作成したいと思います。F-15Cでおいいのですけれども、とにかく早く決定しなければ今年がF-4EJ初飛行40周年ということを忘れてはいけません。
次期戦闘機がいよいよ数日のうちに決定する、との観測が流れているのですが、そこでこの特集。言いたいことは今のうちに、というわけではないのですけれども、とりあえず私心というものはどうなのか、というお話もありましたわけで、那覇からこの小型PCと細い回線にて私心を発信してみたいと思います。
次期戦闘機、財政的な条件により機数が制限されている一方で、一機あたりの取得費用と運用費用が大きな航空機を導入しては同じなのではないか、かえって高価であるのではないか、というご指摘がありました。実は全くその通り、反論の余地もないと思います。
しかし、機数に対して発言を行っているのは主に財務当局、他方で財務当局はその責任領域から機数を最小限とすれば、その範囲内でもっとも安価な航空機を取得させることで最大限の歳出抑制ができる、という前提に依拠して論理を導き出していることになるでしょう。
反面、防衛当局は、責任領域が我が国の軍事安全保障ですので、任務能力に応じて機種を考えなければならないのです。機数は財務当局の指摘にも依拠した政治決定である防衛計画の大綱に明示されていますので、政治決定を覆す事は機構上不可能です。そこで、一機当たりの性能、ということになるわけですね。
実のところ、ここに財務当局と防衛当局の責任領域の相互性と政策の重複という問題が生じてしまっているところに問題があり、本来は機数を考慮に含めず、同じく機種も選択肢にとどめて、我が国の防空と財政を守る上で必要な機種と機数をねん出するべき、なのですけれども、これが不可能、という実情が問題であるでしょう。
即ち、機種が決定していない時点で一年前に画定された防衛計画の大綱を一時白紙に戻す、という決定、事後でもいいのですが再改訂を行う、という指針を明確に出すところから次期戦闘機選定は発表への方針を定めるべきだろう、理想を示せば、そう考えます。
F-35,この戦闘機の導入は不可避でしょう。航空自衛隊をはじめ自衛隊は後方支援や事前備蓄という観点で圧倒的に遅れており、これは予算を正面装備に集中せざるを得なかったからなのですが、長期間の戦闘維持に限界があり、米軍との共通機材、共用部品 を重視せざるをえません。
もちろん装備あたり倍の支援と備蓄、現在の予算規模では戦闘部隊は半数に、現状維持には倍の予算が必要になることを意味し、予算に応じた規模に適正化することになるのですが、そういった選択肢とともに米軍に依存しない体系構築も不可能ではないのでしょうが、それこそ防衛計画を根本から一転させる必要に見舞われるでしょう。
ならばF-35なのか、となるところですが、現実問題としてF-35が日本に納入され配備が進むのは2020年代、もうF-4にそこまでの時間は残されていません。そこで、個人的にはF/A-18Eを推すのです。能力的にF-35やEF-2000に部分的に見劣りしますがF-4の後継機としては十分そのもの。F-35はF-15後継機の際に最有力としてそのころ頑張っているだろうステルス無人戦闘機などと比較すれば大丈夫ですよ。
質的難点は、現在の二個飛行隊というF-4後継機に加えて第五航空団所要と第83航空隊増勢分、更に偵察航空隊と津波被害に遭った第四航空団再編所要、この当面六個飛行隊。そして将来中国空母の脅威にさらされる太平洋地域へ小牧と硫黄島に一個航空隊を配置する八個飛行隊分の導入、これが理想です。
ただ、EF-2000ですが、例えばNATOのEF-2000と航空自衛隊の機体との間で共通部品プールの構築や日本側からの部品供給など、これは当然武器輸出三原則を見直すことを意味するのですが、これに加えて、そして日英共同のEF-2000後継機に関する基礎研究、いいですか、基礎研究ですよ、こうした施策が可能ならば、検討されるべきでしょう。
たかが戦闘機に国家レベルの協力をなぜ、と思われる方も多いでしょうが、開発費用が巨大化し、失敗すれば基幹防衛産業の影響をも左右する戦闘機開発は長期の政治主導が必要になります。政権が交代しても受け継がれるためには政権を超えた協力、海外との協同が必要です。政治に覚悟があるのならば、そちらの方がいいと思います。
個人的に趣味を聞きたいのだ、という声があるようですが駄目ですよ、F-14Dの可変翼と大げさなミサイル装備、MiG-31の大柄で鈍重ですが防空に割り切った設計に関心を寄せてしまいます。利点と国産化の可能性をここで述べることは不可能ではありませんが、非現実的と間に合わないという二つの論点は論破できません。強いて言えばF-15Jは凄く好い機体ですが再生産はこれも現実的ではない。現実的にはとりあえずF/A-18E,政治家が決断して次につながるなら今世紀後半までを見越してのEF-2000,これが結論です。
北大路機関:はるな
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