◆頑張る1950年代生まれ
F-X選定に際してF-4EJは初飛行から既に40年、F-4が空母航空団に配備されてより50年として老朽化をこのWeblogでは繰り返し指摘してきました。
普天間基地移設問題では同じようにCH-46の老朽化を指摘し、MV-22への早期代替が必要であるとも記しました。CH-46は自衛隊ではV-107として親しまれてきましたが開発メーカーたるバートル社がV-107を初飛行させたのが1958年で、米海兵隊に採用されたのが1961年、生産はかなり続きましたし一応置き換えは始まっていますが各部の延命改修を行い、まだ使える、ということは確かです。海兵隊では既存のほかのヘリコプターについて、後継機を取得する以外にも延命を行う、という選択肢もあるようです。
しかし、驚いてはいけないのがKC-135空中給油機。空軍の主力空中給油機として700機以上yが配備された機体ですが、原型機はボーイング707の原型機であるボーイング367-80で、こちらも初飛行は1956年。近代化改修プログラムは継続的に遂行され、更なる延命措置が組み立てられているのですけれども、後継機はボーイングかエアバスか、リースか取得か、配備数はどうするべきなのか、前途多難が続いている状況、同時期に運用されたB-52戦略爆撃機も今なお頑張っています。なんでも初飛行から90年程度の飛行を考えているとのこと、高高度を滞空しての精密誘導爆弾の運用母機ですから、性能としては十分ということなのでしょうけれども、それにしても長いですよね。
米軍では空軍や海兵隊で輸送機型のC-130,そして給油型の写真に或るKC-130が運用され、しかも航空自衛隊で運用が続いていますが、このC-130の原型機も、もちろん現在飛行しているのは改良型で、中身はもちろん、面影以外は別物。かつての0系新幹線のように定期的に置き換えが続いているのですが、原型機の初飛行は更に古い1954年でした。こちらは改良型ですべてを一新したC-130J-30のような改良型も出ているのですが、全くを置き換える後継機構想は現段階では机上計画の水準を出るものではなかったりします。
米海軍と海上自衛隊などで運用されているP-3C哨戒機も原型機は1957年初飛行の四発旅客機が原型で、これなどは潜水艦などを索敵する特性上、電子機器こそが性能のすべてという機種なのですけれども、そして今飛行している機体は別物というべき時期の生産と性能、外見も随分と変化していますが、原型は、ということになるわけです。P-8哨戒機として低空飛行しない全く新しい無人機との協同を念頭に置いたボーイング737母体の新型機への置き換えが計画されているのですが、自衛隊の次期哨戒機P-1ほど順調に行っていないという状況になっています。まだまだP-3Cは頑張ることでしょう。
米軍でも運用は続いていますが陸上自衛隊で運用が続くUH-1多用途ヘリコプターも50年代の老兵が原型の系譜、F-15戦闘機は原型のF-15Aでは1972年が初飛行で、まだ来年で40年という機体ですけれども、延命措置プログラムを構築し機体寿命を倍程度やそれ以上に延伸する構想がボーイングを中心に検討中です。CH-46は老兵ではありますが、限界ではない、ということになるやもしれません。また同時に、F-35をはじめ次期戦闘機選定があと数日内に正式決定となりますが航空自衛隊の旧式化したF-4についても、今一度老朽個所の抜本的な改良と置き換えをメーカーとともに協力した場合、もしかしたら、多少の猶予は生まれるかもしれない、そう思った次第です。
北大路機関:はるな
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