■南海トラフ地震への教訓
大阪府北部地震、南海トラフ地震への教訓を情報という視点から考えてみたいと思います。

大阪府北部地震、懸念された熊本地震型の第二本震発生は現在のところ回避できていますが、大都市大阪を文字通り震わせた今回の地震について、次の巨大地震への課題はいくつか再確認できました。この中で、情報というものを少し焦点を合わせて考えてみましょう。的確な情報は復旧を復興に昇華させ不適格な情報は社会の分断さえ招きかねません。

情報の洪水、とは軍事機構に戦術情報共有の概念が定着し始めた時代に、第一線から送られる膨大な情報をどのように選択してゆくか、ということで、重要性の非常に高い切迫性を有する情報が、相応に切迫性のある情報の膨大な総数に呑まれてしまい、見過ごす要因となる可能性を指摘したものです。そして、一人の人間が処理できる情報には多寡はあれど上限もあり、今回もここを痛感しました。

情報、今回は特に鉄道関連の情報、当然ですが地震が発生したならば同時に全ての鉄道網は非常停止し、架線や軌道への損傷有無の安全確認を開始します。1995年の阪神大震災では耐震構造であるはずの山陽新幹線高架部分が崩落し、幸い始発前でしたので脱線事故は発生しませんでしたが新幹線のぞみ号は定員1322名、高速で脱線は悪夢以外の何者でもないでしょう。

交通情報について、結局全ての列車運行情報を包括的に把握する手段が無く、簡単に言えば、大阪から東京に行くには、本日中は無理なのか、可能性はあるのか、大阪からはJRが全面不通でも伊丹空港がありますし、近鉄の名阪特急で名古屋まで出た上でという交通手段もあります、本日いっぱい全面運休、と表示されない限り、被災者や被災企業、旅行客は判断ができません、情報共有は課題の一つ。

物流の確保に直結しますので道路情報は重要です。しかし、道路規模から交通量に上限がある中で、地震とは広範囲に交通網を遮断しますので、当然血栓のような状態が醸成されます。これが交通渋滞となるわけですが、例えば首都直下型地震であれば東京では主要幹線道路が全て遮断されることとなります、しかし、今回の大阪府北部地震は第一報がマグニチュード5.9でしたので、一般道の通行止めを全面的に行うか、行政の判断は難しいでしょう。

緊急車両通行確保へ不要不急の外出を控えるよう呼びかけることはありますが、例えば1923年関東大震災における戒厳令のような状況、もしくは1974年大規模地震対策特別措置法にもとづく東海地震警戒情報発令というような状況でなければ、事業者は事業を継続させなければなりませんし、雇用者は被雇用者の雇用を維持するための努力が必要で簡単に休業する事は難しく、例えば工場関連設備の損傷有無は確認するための人員が必要ですし、被災地域以外からの操業可否の問い合わせを留守番電話で返すわけにも参りません。

戒厳令、というほどではありませんが、都道府県知事の権限で特別災害非常事態宣言、として特定地域の私企業事業を強制的に停止させ夜間外出禁止に近い状態を条例で発動できるように制度が在れば、大規模な混乱は避けられるのかもしれませんが、憲法上難しい。更に上記の通りマグニチュード5.9の速報値では経済的損失が非常に大きくなるだけに、発動を首長が躊躇することもあるでしょう。通勤通学時間帯の災害に即座に帰宅を促すことは不可能です。特に大阪府の域内GDPはオランダやベルギーのGDPに匹敵しますし、今回の地震は大阪市北部と大阪府北部、しかし大阪府は阪南市など、被災地から特急で一時間以上かかる地域まで広がっていますから、ね。

外国語情報提供について。難しいです。例えば、この北大路機関記事からして、平常時には一日写真9枚と文字数各1400~1450文字を基本としていますが、仮に日本語英語中国語の三カ国語で表示した場合は毎日の記事は写真三枚分まで縮小し週末行事紹介の撮影雑談と同程度の内容しか表示できなくなります、内容が三カ国語表示とすれば放送時間や掲載画面の内で内容が三分の一になってしまうわけですね。

多言語表示ですが、外国人観光客には火災発生の有無よりも、その火災が自分たちにとって危険なのかの危険性多寡のほうが重要です。しかし同胞には火災発生の有無は友人知人親類の安否確認の一助ともなりますのでそれ以上に重要なのです、避難所の位置や鉄道復旧の目安、即日か翌日か一週間必要なのか、そして原子力事故の有無や外国人観光客には出国のための目処も重要です。これについては各国領事館HPと我が国省庁との協力体制が重要となるでしょう。

課題は多いです。今回は情報だけを提示しましたが、情報といってもこれいがいにも多々課題があります。しかし、次の地震が日本のどこの地域をおそうのか、大阪府北部地震の前日までは群馬県南部地震と千葉県南部のスロースリップに伴う群発地震が大きな関心を集めていました、だからこそ、どの地域で大きな地震が発生しても対応できるような、準備、これに必要な知見を時間が残っている内に考えておかねば、なりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
大阪府北部地震、南海トラフ地震への教訓を情報という視点から考えてみたいと思います。

大阪府北部地震、懸念された熊本地震型の第二本震発生は現在のところ回避できていますが、大都市大阪を文字通り震わせた今回の地震について、次の巨大地震への課題はいくつか再確認できました。この中で、情報というものを少し焦点を合わせて考えてみましょう。的確な情報は復旧を復興に昇華させ不適格な情報は社会の分断さえ招きかねません。

情報の洪水、とは軍事機構に戦術情報共有の概念が定着し始めた時代に、第一線から送られる膨大な情報をどのように選択してゆくか、ということで、重要性の非常に高い切迫性を有する情報が、相応に切迫性のある情報の膨大な総数に呑まれてしまい、見過ごす要因となる可能性を指摘したものです。そして、一人の人間が処理できる情報には多寡はあれど上限もあり、今回もここを痛感しました。

情報、今回は特に鉄道関連の情報、当然ですが地震が発生したならば同時に全ての鉄道網は非常停止し、架線や軌道への損傷有無の安全確認を開始します。1995年の阪神大震災では耐震構造であるはずの山陽新幹線高架部分が崩落し、幸い始発前でしたので脱線事故は発生しませんでしたが新幹線のぞみ号は定員1322名、高速で脱線は悪夢以外の何者でもないでしょう。

交通情報について、結局全ての列車運行情報を包括的に把握する手段が無く、簡単に言えば、大阪から東京に行くには、本日中は無理なのか、可能性はあるのか、大阪からはJRが全面不通でも伊丹空港がありますし、近鉄の名阪特急で名古屋まで出た上でという交通手段もあります、本日いっぱい全面運休、と表示されない限り、被災者や被災企業、旅行客は判断ができません、情報共有は課題の一つ。

物流の確保に直結しますので道路情報は重要です。しかし、道路規模から交通量に上限がある中で、地震とは広範囲に交通網を遮断しますので、当然血栓のような状態が醸成されます。これが交通渋滞となるわけですが、例えば首都直下型地震であれば東京では主要幹線道路が全て遮断されることとなります、しかし、今回の大阪府北部地震は第一報がマグニチュード5.9でしたので、一般道の通行止めを全面的に行うか、行政の判断は難しいでしょう。

緊急車両通行確保へ不要不急の外出を控えるよう呼びかけることはありますが、例えば1923年関東大震災における戒厳令のような状況、もしくは1974年大規模地震対策特別措置法にもとづく東海地震警戒情報発令というような状況でなければ、事業者は事業を継続させなければなりませんし、雇用者は被雇用者の雇用を維持するための努力が必要で簡単に休業する事は難しく、例えば工場関連設備の損傷有無は確認するための人員が必要ですし、被災地域以外からの操業可否の問い合わせを留守番電話で返すわけにも参りません。

戒厳令、というほどではありませんが、都道府県知事の権限で特別災害非常事態宣言、として特定地域の私企業事業を強制的に停止させ夜間外出禁止に近い状態を条例で発動できるように制度が在れば、大規模な混乱は避けられるのかもしれませんが、憲法上難しい。更に上記の通りマグニチュード5.9の速報値では経済的損失が非常に大きくなるだけに、発動を首長が躊躇することもあるでしょう。通勤通学時間帯の災害に即座に帰宅を促すことは不可能です。特に大阪府の域内GDPはオランダやベルギーのGDPに匹敵しますし、今回の地震は大阪市北部と大阪府北部、しかし大阪府は阪南市など、被災地から特急で一時間以上かかる地域まで広がっていますから、ね。

外国語情報提供について。難しいです。例えば、この北大路機関記事からして、平常時には一日写真9枚と文字数各1400~1450文字を基本としていますが、仮に日本語英語中国語の三カ国語で表示した場合は毎日の記事は写真三枚分まで縮小し週末行事紹介の撮影雑談と同程度の内容しか表示できなくなります、内容が三カ国語表示とすれば放送時間や掲載画面の内で内容が三分の一になってしまうわけですね。

多言語表示ですが、外国人観光客には火災発生の有無よりも、その火災が自分たちにとって危険なのかの危険性多寡のほうが重要です。しかし同胞には火災発生の有無は友人知人親類の安否確認の一助ともなりますのでそれ以上に重要なのです、避難所の位置や鉄道復旧の目安、即日か翌日か一週間必要なのか、そして原子力事故の有無や外国人観光客には出国のための目処も重要です。これについては各国領事館HPと我が国省庁との協力体制が重要となるでしょう。

課題は多いです。今回は情報だけを提示しましたが、情報といってもこれいがいにも多々課題があります。しかし、次の地震が日本のどこの地域をおそうのか、大阪府北部地震の前日までは群馬県南部地震と千葉県南部のスロースリップに伴う群発地震が大きな関心を集めていました、だからこそ、どの地域で大きな地震が発生しても対応できるような、準備、これに必要な知見を時間が残っている内に考えておかねば、なりません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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