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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

朝鮮半島有事邦人救出検証(8)韓国内での集団的自衛権行使と有志連合部隊の国内展開

2018-06-11 20:01:45 | 国際・政治
■万全ではない法整備態勢
 いよいよ明日の米朝首脳会談、その前日ですが敢えて考えたいのは万一の際の視点、朝鮮半島有事邦人救出検証、法整備の視点を集団的自衛権行使の視点から考えてみましょう。

 在韓邦人救出任務、この朝鮮半島有事という飛び越えられる対岸の火事を前に突き付けられる緊急事態を前に、5万7000名の在韓邦人救出任務を突き付けられる事前に絶対解決しておかねばならないのは、集団的自衛権行使という日本国憲法制定以来の問題です。集団的自衛権行使は、特に韓国軍と行い法整備は暫定的に為されましたが、訓練は未だです。

 韓国軍と自衛隊の集団的自衛権行使に繋がる訓練、もちろん朝鮮半島有事に際し韓国第3機甲師団を支援に陸上自衛隊第7師団がソウル北方に展開、というようなものではなく、韓国国内に設定される外国人退去拠点、その周辺警備を自衛隊が行うのか、韓国軍と自衛隊が協同するのか、指揮系統は米韓合同司令部指揮下か、自衛隊が独自に行うのか、など。

 自衛隊を韓国領内で警備任務に就けることについて、有事の際に在韓米軍戦時指揮権に基づく日米合意のなし崩し的な協定締結と、韓国国内での自衛隊派遣を強行しますと、もちろん邦人を戦闘地域に見捨てるよりは余程妥協案としては上策ではあるのですが、その後の日韓関係への影響を想定するならば、韓国国内の自衛隊部隊警備を戦時下に要請可能か。

 韓国軍協力を要請できるのか、韓国軍の軍事力は近代化されていますが、限界もあります。自衛隊が韓国国内での飛行場警備任務を担うことができるのか、交戦規定の明確化も含めて、政府間での協定、可能ならば日韓両部隊による訓練を釜山か福岡で実施することが望ましい。緊急時に想定外として邦人救出そのものを断念するという選択肢はありません。

 もちろん、邦人輸送は併せて非戦闘員退避計画として多国間部隊有志連合にて実施されることとなりますので、日韓両政府とともに横田基地の国連軍後方司令部や米軍などとの調整、これは邦人のほかにアメリカ人の緊急輸送、邦人が優先ではありますが余裕に応じ第三国国籍の非戦闘員退避支援も併せて行うこととなります。集団的自衛権の問題は複雑だ。

 有志連合部隊と協同する場合は、自衛隊と韓国にアメリカ軍以外にオーストラリア軍やフランス軍、勿論韓国国内には中国国籍居住者も多数いますので、台湾の中華民国軍と中国人民解放軍も有志連合に参加する可能性があります。自国民救出は自衛隊だけで行う必要はありません、実際過去に我が邦人も同様に救出された事例があり、相互主義の観点から。

 しかし、同時に自衛隊による邦人救出と並行して有志連合の非戦闘員退避支援を行う場合、自衛隊は日本国籍保持者に留まらず外国籍非戦闘員の救出を行う必要も生じてきます。一応、安全保障法により施設協同防備、つまりPKO任務等で宿営地が攻撃された際に自衛隊が共同戦闘を実施する事が合法化されましたが、CH-47が展開するとなれば話は別です。

 ヘリコプターにより釜山から春日基地まで邦人輸送を行うことができる、これはCH-47輸送ヘリコプターの性能からはまさにその通りなのですが、あわせて中継地となる対馬への対馬警備隊支援への緊急展開計画や航空機整備補給体制の構築、そして日韓間での救援航空機乗り入れと発着施設警備に関する取り決めがなければ、航空機性能を活かせません。

 CH-47輸送ヘリコプターを自衛隊が展開させるという前提ですので、施設協同防備は飛行場施設、そして航空機を狙う敵特殊部隊浸透、というものにも対処する必然性がありますので、安全保障法整備の際に想定された施設防護の範疇を越える可能性があり戦闘地域から非戦闘員を救出するとの性質上当然ですが、集団的自衛権行使の問題を解決すべきです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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