北大路機関

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新防衛大綱とF-35B&EA-18G【18】F-35B艦上哨戒機,対潜掃討と対水上戦闘を同時遂行

2018-06-25 20:01:45 | 先端軍事テクノロジー
■F-35B艦上哨戒機の能力
 F-35B戦闘機導入、ヘリコプター搭載護衛艦へF-35B艦上哨戒機として搭載する事は計り知れないポテンシャルを有します。

 ひゅうが型護衛艦のF-35B戦闘機について、飛行甲板後部に数機を係留する事で格納庫の7機と併せ10機以上のF-35B戦闘機を搭載可能で、同時にSH-60K哨戒ヘリコプターを3機搭載可能、という結論を先に示しましたが、勿論平時からここまで無理を通す必要はありません、平時にはF-35B戦闘機5機とSH-60K哨戒ヘリコプター4機、が妥当です。

 甲板係留について、ひゅうが型護衛艦は円通飛行甲板最後尾にMk41VLSを搭載しており、このVLS運用時に近くに艦載機を置く場合は爆風の危険性があります、ただ、Mk41に搭載するミサイルは射程50kmのESSM対空ミサイルとアスロック対潜ロケットで、後者については爆風が大きいようですが前者はそれ程顕著でもないとの運用特性があるようです。

 全通飛行甲板について、搭載する航空機がラファールやF/A-18C戦闘機であれば垂直着艦が出来ない為、着艦時に飛行甲板に侵入する際に艦尾周辺へ艦載機を大量に係留する事は着艦を阻害する可能性がありますが、幸い今回の論点であるF-35Bは垂直着陸が可能で、着艦時に飛行甲板後部へ艦載機が複数係留されていても、着艦にそれ程危険はありません。

 荒天時に甲板が波浪に洗われた場合は艦載機が流失する可能性は皆無ではありません。しかし、ひゅうが型護衛艦は船体部分が22m、吃水は7mとなっていますので海面から全通飛行甲板までは15mの余裕があります、艦首形状から全長に匹敵する大波と遭遇した場合でも凌波性が確保されていますが、その前に15m以上の波浪は流石に太平洋上でも少ない。

 ヘリコプター搭載護衛艦の強みは、必要に応じて艦載機を転換させ、多様な任務へ対応する事です。MCH-101掃海輸送ヘリコプター6機とSH-60K哨戒ヘリコプター2機を搭載したならば掃海母艦として運用可能です。CH-101輸送ヘリコプターとMCH-101を格納庫だけでも余裕をもって7機搭載可能ですので、人道支援任務の輸送中枢艦として運用可能だ。

 F-35B戦闘機を若干数でも搭載したならば、ステルス性を活かした索敵機に用いると共に敵早期警戒機制圧にも寄与、SH-60Kと混載する事で対潜掃討と対水上戦闘を同時遂行可能、F-35B戦闘機を多数搭載したならば、勿論自衛隊にそれだけの余裕は無くアメリカ海兵隊との共同作戦も視野に含む事となりますが制空戦闘を含む軽空母としての運用も可能です。

 SH-60K哨戒ヘリコプターであれば余裕を以ても13機を収容可能です。ひゅうが型航空機格納庫は中央部に防火シャッターがあります、ヘリコプター搭載護衛艦格納庫搭載時は尾部の折畳機構を用いず搭載しますが、折り畳む事で全長を短縮できますので、これにより防火シャッターの前後各2段3列で搭載出来、更に航空機整備区画に1機を搭載可能です。

 勿論、ここまで集中搭載しても行動半径の関係上意味は薄い事は確かで、航続距離が延びる訳ではなく集中にも限度がある。妙な例えですがイナバ物置が100名載っても大丈夫だといっても100名用座席に用いる事が無いようなもので、出来るがやらないだけ、というところでしょう。しかし、ひゅうが型最大能力は航空機運用能力だけでも、これほど高い。

 ひゅうが型護衛艦はF-35B戦闘機を搭載する意味について、最大の要素は相手に対し不確定要素を与える、という事です。いずも型護衛艦2隻のみに運用能力を付与するだけでは、F-35B運用能力を持つ艦艇は2隻に過ぎませんが、ひゅうが型2隻を含めますと一挙に4隻へと倍増します。それは同時に四個護衛隊群の能力均衡化にもつながるといえましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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