■シンガポール米朝首脳初会談
北朝鮮核廃絶が実現するかは極めて厳しい状況は変わりませんが、両首脳が中座せず米朝首脳共同宣言まで無事漕ぎ着けた、宣言内容が曖昧であっても、まあ大きな一歩です。
シンガポールでの米朝首脳会談が終了し共同声明が発表されました。共同声明では具体的なものが何一つなく、評価としては最初の首脳会談を無事終えた、という以上のものはありませんが、危惧された最初の一分間で首脳会談を切り上げる、という朝鮮戦争再開へ直結する行動だけは回避、即ち開戦は回避、朗報といえるでしょう。共同声明は以下の通り。
第一に米朝両国は平和と繁栄に向けた願いに基づき新しい関係を樹立へ取り組んでいくこと。第二に米朝両国は朝鮮半島に永続的で安定した平和の体制を構築へ努力する。第三に今年四月のパンムンジョム宣言を再確認し北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に取り組む事を約束する。第四に朝鮮戦争中の捕虜や行方不明兵士の遺骨回収に取り組み返還していく。
米朝首脳会談首脳宣言について、原則宣言として明確な非核化に関する合意を確約したものではなく、云い方を変えれば北朝鮮非核化は五年以内に実現するのか、今世紀いっぱいの2099年まで要するのか、非核化に関する自称非核化に留まるのか、具体的か核関連施設と核兵器配備状況に関する現状だけでも査察を受ける用意があるのか、具体性が全く無い。
朝鮮戦争終戦について。トランプ大統領は、遠くない将来に朝鮮戦争が終戦となる希望を持っている、と発言、今回の米朝首脳会談において朝鮮戦争終戦宣言が行われるのではないかとの希望的観測もありましたが、首脳会談では終戦まで踏み込んだ発言は無く、云い方を変えれば現状維持、そして緊張緩和の可能性、という合意に留まる事となりました。
停戦中でしかない朝鮮戦争終戦は、アメリカが北朝鮮から韓国を同盟国として防衛する米韓相互防衛条約に直結しています。朝鮮戦争終戦となれば、同盟条約を北朝鮮に限定したものから、多国間安全保障協力へと包括化する新米韓安全保障条約が必要となり、在韓米軍の駐留について変容があり得る為、隣国である我が国にとっても大きな関心事でしょう。
米韓合同軍事演習について、トランプ大統領は今後の米朝首脳会談継続を示すと共に米朝交渉が良好に進展した場合には、南北朝鮮の懸案事項である米韓合同軍事演習を終了する可能性を示しました。これは可能性を示唆しただけですが、韓国軍は戦時に米軍指揮下で行動する二国間合意があり、米韓合同軍事演習終了は米韓軍事同盟の終了に他なりません。
トランプ大統領が記者会見において具体的成果の一つとして提示したものが、北朝鮮が今回の首脳会談において主要ミサイルエンジン試験場の取り壊しに合意した、という点です。これは北朝鮮にとり国連制裁解除後に一つの産業となり得る航空宇宙産業でのロケット部門を事実上切り捨てる構図となりますが、事実であれば実効性ある措置となりましょう。
弾道ミサイル脅威は我が国の取り切迫した脅威です。防衛省はイージス艦六隻とアメリカ海軍イージス艦とを協同したイージスBMD体制を維持しつつ、首都圏では市ヶ谷にミサイル迎撃に当たるPAC-3部隊が常駐、全国のペトリオットミサイル部隊が警戒を継続すると共に秋田山口両県へ陸上型イージスシステム“イージスアショア”建設計画が推進中です。
初首脳会談では具体的成果は無いだろう、とは当初から考えられていました。例えば今年末までにすべての核兵器解体を専門家立会いの下で実施し、核関連施設査察へIAEAへの再加入を行う、というような具体的進展はなかなか難しいものがありました。しかし、初首脳会談が次の会談へ繋ぐ事が出来た点は、具体的であるといえ、唯一評価できましょう。平和を維持しなければ態勢を維持できないという部分を北朝鮮が理解していた点、両国の正気が国際公序に沿っていた点を確認でき、これは成果です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
北朝鮮核廃絶が実現するかは極めて厳しい状況は変わりませんが、両首脳が中座せず米朝首脳共同宣言まで無事漕ぎ着けた、宣言内容が曖昧であっても、まあ大きな一歩です。
シンガポールでの米朝首脳会談が終了し共同声明が発表されました。共同声明では具体的なものが何一つなく、評価としては最初の首脳会談を無事終えた、という以上のものはありませんが、危惧された最初の一分間で首脳会談を切り上げる、という朝鮮戦争再開へ直結する行動だけは回避、即ち開戦は回避、朗報といえるでしょう。共同声明は以下の通り。
第一に米朝両国は平和と繁栄に向けた願いに基づき新しい関係を樹立へ取り組んでいくこと。第二に米朝両国は朝鮮半島に永続的で安定した平和の体制を構築へ努力する。第三に今年四月のパンムンジョム宣言を再確認し北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に取り組む事を約束する。第四に朝鮮戦争中の捕虜や行方不明兵士の遺骨回収に取り組み返還していく。
米朝首脳会談首脳宣言について、原則宣言として明確な非核化に関する合意を確約したものではなく、云い方を変えれば北朝鮮非核化は五年以内に実現するのか、今世紀いっぱいの2099年まで要するのか、非核化に関する自称非核化に留まるのか、具体的か核関連施設と核兵器配備状況に関する現状だけでも査察を受ける用意があるのか、具体性が全く無い。
朝鮮戦争終戦について。トランプ大統領は、遠くない将来に朝鮮戦争が終戦となる希望を持っている、と発言、今回の米朝首脳会談において朝鮮戦争終戦宣言が行われるのではないかとの希望的観測もありましたが、首脳会談では終戦まで踏み込んだ発言は無く、云い方を変えれば現状維持、そして緊張緩和の可能性、という合意に留まる事となりました。
停戦中でしかない朝鮮戦争終戦は、アメリカが北朝鮮から韓国を同盟国として防衛する米韓相互防衛条約に直結しています。朝鮮戦争終戦となれば、同盟条約を北朝鮮に限定したものから、多国間安全保障協力へと包括化する新米韓安全保障条約が必要となり、在韓米軍の駐留について変容があり得る為、隣国である我が国にとっても大きな関心事でしょう。
米韓合同軍事演習について、トランプ大統領は今後の米朝首脳会談継続を示すと共に米朝交渉が良好に進展した場合には、南北朝鮮の懸案事項である米韓合同軍事演習を終了する可能性を示しました。これは可能性を示唆しただけですが、韓国軍は戦時に米軍指揮下で行動する二国間合意があり、米韓合同軍事演習終了は米韓軍事同盟の終了に他なりません。
トランプ大統領が記者会見において具体的成果の一つとして提示したものが、北朝鮮が今回の首脳会談において主要ミサイルエンジン試験場の取り壊しに合意した、という点です。これは北朝鮮にとり国連制裁解除後に一つの産業となり得る航空宇宙産業でのロケット部門を事実上切り捨てる構図となりますが、事実であれば実効性ある措置となりましょう。
弾道ミサイル脅威は我が国の取り切迫した脅威です。防衛省はイージス艦六隻とアメリカ海軍イージス艦とを協同したイージスBMD体制を維持しつつ、首都圏では市ヶ谷にミサイル迎撃に当たるPAC-3部隊が常駐、全国のペトリオットミサイル部隊が警戒を継続すると共に秋田山口両県へ陸上型イージスシステム“イージスアショア”建設計画が推進中です。
初首脳会談では具体的成果は無いだろう、とは当初から考えられていました。例えば今年末までにすべての核兵器解体を専門家立会いの下で実施し、核関連施設査察へIAEAへの再加入を行う、というような具体的進展はなかなか難しいものがありました。しかし、初首脳会談が次の会談へ繋ぐ事が出来た点は、具体的であるといえ、唯一評価できましょう。平和を維持しなければ態勢を維持できないという部分を北朝鮮が理解していた点、両国の正気が国際公序に沿っていた点を確認でき、これは成果です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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