■五次防空母導入実現の可能性
第二次防衛力整備計画と第五次防衛力整備計画、ファントム高速対潜機とエセックス級空母、この相関性について。
海上自衛隊がファントムを高速哨戒機として計画、第四次防衛力整備計画が第一次石油危機により中断しなければ、特に当時は高度経済成長期に在り年間経済成長率は10%、つまり七年間でGDPが倍増する日本経済の史上まれに見る規模の成長時代を迎えていた為、第五次防衛力整備計画が画定していたならば、導入実現していた可能性は充分ありました。
しかし、御承知の通り第四次防衛力整備計画そのものが中断すると共に、産業の原動力というべき石油価格の異常高騰により、インフレ率が異常な数値で継続してゆき、そもそも長期的な防衛力整備が、長期的な計画の完了時点での物価上昇率を予測する事さえ困難であった為、三年単位という中期以下の防衛力整備計画に転換せざるを得なくなっています。
その上で、ファントム導入が実現していたならば、幾つかの新しい可能性が生じます。当時の日本は現在に続く造船大国であり、我が国シーレーンへ重大な脅威を及ぼしていたソ連海軍の太平洋進出に対し、ファントムを活用する体制、つまり高速対潜哨戒機としての導入に加えて、対艦攻撃任務や艦隊防空に活用していた可能性はあるでしょう。その上で。
ハープーン対艦ミサイルが開発された同時期、最新鋭の対艦ミサイルを導入する目処や計画は海上自衛隊には無く、当時対艦攻撃の主力は水上戦闘艦に搭載する533mm長魚雷と127mm艦砲という旧態依然とした装備体系となっていました。実際、対艦ミサイルの実用性が証明された第三次中東戦争は1967年であり、勿論これは当時当然の趨勢といえました。
高速対潜哨戒機、ファントムに赤外線探知装置等を搭載し浮上航行中の潜水艦を探知し超音速急降下を掛けてロケット弾により攻撃を行う、当時は対潜哨戒機P-2VやS-2艦載哨戒機等も翼端にサーチライトを搭載し索敵していましたので、技術的に的を外れたものではないのですが、それ以外センサーを搭載する余裕が限られ、目的はそれだけとは思えない。
航空母艦を建造しファントムを搭載する壮大な計画はあったのか、最大の関心はここです。勿論、ファントム導入計画は第五次防衛力整備計画に最初の航空隊を新編する、という構想以上の水準ではなく、実際に導入されたものでもない為、その先どのような構想があったのかは想像に頼るしかありませんが、海上自衛隊創設以前から空母の展望はありました。
エセックス級空母をアメリカ海軍より中古取得するという展望が第二次防衛力整備計画に存在した事はこれまでに記しましたし、対潜空母構想はヘリコプター搭載型から固定翼哨戒機搭載型まで構想、アメリカ海軍より護衛空母を取得する構想は海上自衛隊創設前のY委員会時代から存在、S-2哨戒機は艦上固定翼哨戒機として海上自衛隊に採用されています。
ファントムとエセックス級、ただ、F-4ファントムは艦載機としては大型でありエセックス級艦載機として搭載するには限界に近いものがありました。一応、全く搭載出来ないという船体規模ではありませんが、アメリカ海軍ではエセックス級を対潜空母や強襲揚陸艦などに位置付け、F-4の搭載はもう一回り大型のミッドウェー級空母の任務としていました。
第二次防衛力整備計画と見製の第五次防衛力整備計画、その間の期間は余りに長く、エセックス級は設計が第二次世界大戦中であり近代化改修は進められていましたが、自動化の度合いは第二次世界大戦中の設計の範疇を越えるものではなく導入は時機を逸していました。しかし、二つの装備の関係、ここから先は思考体操の域まで入ってしまいますが、ね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
第二次防衛力整備計画と第五次防衛力整備計画、ファントム高速対潜機とエセックス級空母、この相関性について。
海上自衛隊がファントムを高速哨戒機として計画、第四次防衛力整備計画が第一次石油危機により中断しなければ、特に当時は高度経済成長期に在り年間経済成長率は10%、つまり七年間でGDPが倍増する日本経済の史上まれに見る規模の成長時代を迎えていた為、第五次防衛力整備計画が画定していたならば、導入実現していた可能性は充分ありました。
しかし、御承知の通り第四次防衛力整備計画そのものが中断すると共に、産業の原動力というべき石油価格の異常高騰により、インフレ率が異常な数値で継続してゆき、そもそも長期的な防衛力整備が、長期的な計画の完了時点での物価上昇率を予測する事さえ困難であった為、三年単位という中期以下の防衛力整備計画に転換せざるを得なくなっています。
その上で、ファントム導入が実現していたならば、幾つかの新しい可能性が生じます。当時の日本は現在に続く造船大国であり、我が国シーレーンへ重大な脅威を及ぼしていたソ連海軍の太平洋進出に対し、ファントムを活用する体制、つまり高速対潜哨戒機としての導入に加えて、対艦攻撃任務や艦隊防空に活用していた可能性はあるでしょう。その上で。
ハープーン対艦ミサイルが開発された同時期、最新鋭の対艦ミサイルを導入する目処や計画は海上自衛隊には無く、当時対艦攻撃の主力は水上戦闘艦に搭載する533mm長魚雷と127mm艦砲という旧態依然とした装備体系となっていました。実際、対艦ミサイルの実用性が証明された第三次中東戦争は1967年であり、勿論これは当時当然の趨勢といえました。
高速対潜哨戒機、ファントムに赤外線探知装置等を搭載し浮上航行中の潜水艦を探知し超音速急降下を掛けてロケット弾により攻撃を行う、当時は対潜哨戒機P-2VやS-2艦載哨戒機等も翼端にサーチライトを搭載し索敵していましたので、技術的に的を外れたものではないのですが、それ以外センサーを搭載する余裕が限られ、目的はそれだけとは思えない。
航空母艦を建造しファントムを搭載する壮大な計画はあったのか、最大の関心はここです。勿論、ファントム導入計画は第五次防衛力整備計画に最初の航空隊を新編する、という構想以上の水準ではなく、実際に導入されたものでもない為、その先どのような構想があったのかは想像に頼るしかありませんが、海上自衛隊創設以前から空母の展望はありました。
エセックス級空母をアメリカ海軍より中古取得するという展望が第二次防衛力整備計画に存在した事はこれまでに記しましたし、対潜空母構想はヘリコプター搭載型から固定翼哨戒機搭載型まで構想、アメリカ海軍より護衛空母を取得する構想は海上自衛隊創設前のY委員会時代から存在、S-2哨戒機は艦上固定翼哨戒機として海上自衛隊に採用されています。
ファントムとエセックス級、ただ、F-4ファントムは艦載機としては大型でありエセックス級艦載機として搭載するには限界に近いものがありました。一応、全く搭載出来ないという船体規模ではありませんが、アメリカ海軍ではエセックス級を対潜空母や強襲揚陸艦などに位置付け、F-4の搭載はもう一回り大型のミッドウェー級空母の任務としていました。
第二次防衛力整備計画と見製の第五次防衛力整備計画、その間の期間は余りに長く、エセックス級は設計が第二次世界大戦中であり近代化改修は進められていましたが、自動化の度合いは第二次世界大戦中の設計の範疇を越えるものではなく導入は時機を逸していました。しかし、二つの装備の関係、ここから先は思考体操の域まで入ってしまいますが、ね。
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