北大路機関

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【日曜特集】観艦式2009-守る!この海と未来-【05】ひゅうが,DDH新時代(2009.10.23)

2019-10-06 20:10:53 | 海上自衛隊 催事
■最新鋭ひゅうが観艦式初参加
 平成の海上自衛隊史における最大の転換点は全通飛行甲板型護衛艦時代の到来でしょう、その始まりが護衛艦ひゅうが竣工です。

 くらま、ひゅうが。旧海軍の戦艦日向、巡洋戦艦鞍馬、の名を継ぐ海上自衛隊の護衛艦です。この年の三月まで、くらま、は海上自衛隊最新のヘリコプター搭載護衛艦でしたが、はるな除籍と交代に、ひゅうが就役となり、ヘリコプター搭載護衛艦の世代交代が始まる。

 ひゅうが背景にSH-60J/K哨戒ヘリコプター三機編隊が。ひゅうが、は満載排水量19000tで艦内に広大な格納庫を有し、驚くべきことに格納庫幅はSH-60J/Kが三機横に並ぶ程の余裕があります。中央部に開閉防火壁がありますが、概ねこの規模の機体が11機収まる。

 受閲艦艇部隊第2群護衛艦ひゅうが(DDH-181第1護衛隊群-第1護衛隊)、護衛艦さざなみ(DD-113第4護衛隊群-第8護衛隊)、観閲部隊,先導艦-護衛艦いなづま(DD-105第4護衛隊群第8護衛隊),観閲艦-護衛艦くらま(DDH-144第2護衛隊群第2護衛隊),と続いて行く。

 ヘリコプター搭載護衛艦は、通常の藩王護衛艦と比較し高い航空機整備能力を、とは当初云われましたが、はるな、ひえい、しらね、くらま、は3機を搭載する一方、永らく汎用護衛艦は1機搭載が限界という艦種が基本であったのが、徐々に汎用護衛艦も大型化へ。

 全通飛行甲板型護衛艦は、巡洋艦型の第一世代ヘリコプター搭載護衛艦に対し、航空機格納庫以外に専用の航空機整備施設を格納庫に隣接し、有している事からその航空機整備能力は、改めて新世代の汎用護衛艦の持つ航空機整備能力を大きく上回る事ともなりました。

 こんごう、ひゅうが。イージス艦は山岳名、こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかい、あたご、あしがら、と冠せられています、旧海軍では重巡洋艦や巡洋戦艦に冠せられていました。ひゅうが、は旧国名ですが、くらま、までは山岳名や巡洋戦艦名を採用する。

 ひゅうが、命名式前には、あかぎ、という観測が流れました。あかぎ、は旧海軍航空母艦の艦名ですが、元々赤城は巡洋戦艦となるべく設計された山岳名、そして二番艦から旧国名として加賀、旧海軍航空母艦加賀を継承する護衛艦かが、になるのでは、と思ったもの。

 あかぎ成らず。ひゅうが、という艦名ですが旧海軍戦艦日向は扶桑型戦艦を改良した超弩級伊勢型戦艦として設計され、太平洋戦争中にミッドウェー海戦を経て主力空母を四隻喪失した際に、修理中の日向を航空戦艦に改造しています。ひゅうが、も同じ道を通るのか。

 さざなみ。基準排水量4650tです。初のヘリコプター搭載護衛艦は建造当時基準排水量4700t、つまり護衛艦たかなみ型は、はるな型よりも30年近く後に建造されていますが、汎用護衛艦ながらヘリコプター搭載護衛艦並に大型化した、という事が云えるのですね。

 受閲艦艇部隊第3群がやってまいりました、護衛艦ゆうばり(DE-227護衛艦隊直轄-第15護衛隊)と護衛艦ゆうべつ(DE-228護衛艦隊直轄-第15護衛隊)、共に青森県大湊基地の護衛艦です。基準排水量1470tで満載排水量1750t、大きさは、たかなみ型の三分の一以下だ。

 ゆうばり型は、ハープーンミサイルを搭載し、限定的ではあるのですがボフォース対潜ロケットも搭載する事で対潜性能と水上打撃力に特化した小型護衛艦で、津軽海峡や宗谷海峡という北方警備用に用いられています。本番ではお友達が大時化の中で乗っていた、と。

 はつゆき、さざなみ。奥に見える警戒艦は護衛艦はつゆき、122の艦番号が見えますね。12隻が量産された護衛艦はつゆき型は対潜対空対水上の各種ミサイルと航空機を搭載し、護衛艦隊の世代を交代させました、が、はつゆき、はこの観艦式の翌年2010年に除籍となる。

 ゆうばり、くらま。1976年に初めて制定された防衛計画の大綱、防衛大綱では護衛艦定数が約60隻となっていましたが、1995年に冷戦終結を受け改訂された新防衛大綱では護衛艦定数は約50隻となり、大きさは全く違いますが同じ一隻、だから護衛艦は大型化へ。

 ひゅうが、ゆうばり。満載排水量で11倍という大きな開きがあります。それでも防衛大綱定数では同じ一隻、民主党政権時代に護衛艦定数は更に46隻まで縮小された為、同じ一隻ならば大型を、と満載排水量27000tいずも型護衛艦が量産される事へ、進んでゆくのです。

 あぶくま、見えてきた。観閲艦-護衛艦くらま(DDH-144第2護衛隊群第2護衛隊),随伴艦-護衛艦こんごう(DDG-173第1護衛隊群第5護衛隊),随伴艦-護衛艦あぶくま(DE-229護衛艦隊直轄第14護衛隊),観閲部隊は11ノット、付属部隊は10ノット、若干向こうが速い。

 ゆうばり。旧海軍軽巡洋艦夕張を継ぐ護衛艦です。夕張は3500tの船体に当時の水雷戦隊旗艦用5500t型巡洋艦の武装を無理なく搭載した事で知られる。艦長は伊谷武志2佐で艦長補職時は3佐でした。ゆうばり、は2010年6月に除籍され、最後の艦長が操艦している。

 ゆうべつ、いなづま。ゆうべつ、は旧海軍には在りません初の命名ですが、ゆうばり、由来の夕張川と同じ北海道の湧別川が由来です。艦長は川口裕史2佐、前職は多用途支援艦えんしゅう艦長で3佐として艦長着任、暫くして2佐へ昇進、手頃な大きさだったのか。

 ゆうばり。ゆうばり型は護衛艦いしかり拡大改良型です。夕張川と同型艦の湧別川と共に護衛艦いしかり、も北海道の石狩川を艦名の由来としていまして、三隻とも大湊地方隊を拠点として運用されてきました。石狩夕張湧別と北海道三川艦、というべきでしょうか。

 北方警備用の護衛艦ですが、安価です、同時期に量産されたP-3C哨戒機一機と同程度の建造費です。ただ、これでも荒天時には動揺が安全性を考える程、冬の日本海は物凄い波浪となりますので大きさが足りなかったとされ、多数の量産は残念ながら見送られました。

 受閲艦艇部隊第5群掃海母艦ぶんご(MST-464掃海隊群直轄艦)と掃海艦やえやま(MSO-301掃海隊群第51掃海隊)に掃海艇あいしま(MSC-688掃海隊群-第1掃海隊)、続いて受閲艦艇部隊第6群補給艦ましゅう(AOE-425護衛艦隊直轄-第1海上補給隊)が見えてきましたね。

 受閲艦艇部隊第6群は輸送艦おおすみ(LST-4001護衛艦隊直轄-第1輸送隊) にエアクッション艇1号(LCAC-2101護衛艦隊直轄-第1輸送隊-第1エアクッション艇隊)とエアクッション艇2号(LCAC-2102護衛艦隊直轄第1輸送隊-第1エアクッション艇隊)が続いている。

 ゆうばり。DE,即ち小型護衛艦として建造されていますが、沿岸警備艦という略称PCEの艦艇が先だって検討され、基準排水量1000t、波浪を考慮し全長80m規模の研究がありました。駆潜艇に対艦ミサイルを搭載したような構想ですが、波浪を考え断念された歴史が。

 ゆうべつ、くらま。ゆうべつ、は簡略型の護衛艦で実は対空レーダーを搭載していません、対水上レーダーOPS-28のプログラムを改修し限定的に中高度までの対空用に用いている、しかし、それでは不十分、とハープーンミサイル前にCIWSを後日搭載する予定でした。

 CIWS,近接防空システムで20mm機関砲と火器管制装置を一体化したものです。あぶくま型のRAM,たちかぜ型のL-90高射機関砲、うらが76mm艦砲、後日装備の予定は数多くとも、実現したのは護衛艦しらねCIWS搭載というような限定的な事例しかありません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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