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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【土曜詳報】オタワHMCS-OTTAWA舞鶴親善訪問(1)ハリファクス級来訪(2019-08-24)

2019-10-05 20:09:21 | 世界の艦艇
■真夏のカナダ海軍満員御礼
 八月のカナダ海軍艦艇舞鶴訪問、日本で一番熱い地域の一つに挙げられる舞鶴での一般公開、活況溢れるその様子を土曜詳報という形で数回に分けてまとめてみました。

 オタワ、舞鶴基地で満員御礼での一般公開となりました。ハリファクス級フリゲイトの最終艦で満載排水量5240t、全長134m、全幅16.4m、喫水5mの水上戦闘艦です。対潜戦闘と水域警備を重視した設計で、近年の近代化改修により僚艦防空能力を獲得しています。

 ハリファクス級は推進方式としまして巡航性能を相応に重視したガスタービンとディーゼル併用のCODOG方式を採用し最高速力は29ノット、船体は北大西洋と北太平洋の厳しい環境へ溶け込むべく白を強調した塗装となっている。舞鶴基地ではひときわ目立つ塗装だ。

 ハリファクス級フリゲイトであるオタワ、実は2008年に同型艦カルガリーを望見していまして、こちらの週末行事予定でも紹介しました。しかし、見てみますとカルガリーとオタワ、レーダー系がしっかり近代化改修で置き換えられているようで、見た目は随分替った。

 11年間という長さを感じさせられます。そしてお楽しみ、CH-148を艦載機として採用していますので、CH-148,日本ではS-92として警視庁航空隊でも採用し、三菱重工が部分的に量産に関与している航空機で一見を期待したのですが格納庫は空でした、ああ残念だ。

 格納庫では小火器を公開していまして、これは収穫だ、ディマコの小銃なんて貴重、時間はなかったのですがディマコC8カービン、そしてSIG-P225等を実際に触れることが出来ました、C8カービンは軽いですね。舷側の警備にはディマコC7小銃を携行しています。

 ディマコC8にディマコC7、聞きにくい名称でしょうが、コルトM-16A2のカナダ仕様でディマコ社がライセンス生産しているのがC7、そしてコルトM-4A1をディマコ社がライセンス生産しているのがC-8です。シカゴレジメンタルズならば無可動銃、あるのかな。

 コルトとディマコ、樹脂の色が違い明白に識別できますが、砂塵や防水は工程精度の違いなのでしょうか、若干ではあるがコルト社製よりも耐久性の面で高いという、こういうのはイギリスSASがディマコC7を採用しています、イギリス特殊空挺部隊SASのお墨付き。

 SAS,湾岸戦争のさいに取得した、いやトラックで箱ごと借用したM-16A2の調子がよかったようで当時評判最悪だったL-85アサルトバット、アサルトライフルですか、これを断念してM-16A2に切り替え後方攪乱や長距離偵察と精密爆撃誘導等に際し愛用しました。

 M-16A2,これはSASでは好評であった事から是非制式に加えよう、となります。ただ湾岸戦争では取得方法が借用であったためにSAS連隊全員分をまさか永久に借用するわけには行かず、同系統で試験を行いましてディマコC7を採用しました。信頼性の高い装備です。

 ボフォース57mm艦砲、発射速度が非常に速く射程も76mm艦砲並です。射程は20kmという、砲弾の訓練弾を持たせてもらいました、軽いですね。57mmというと要するに2インチです。ボフォース社製かライセンス生産かを聞いてみますとの輸入といわれました。

 ボフォース57mm艦砲、その発射速度は毎分120発、確かメーカーの資料では最大180発ということですが、実用速度は120発、というところなのでしょう。射程20kmといいますので充分です、かつて護衛艦でも採用され今世紀まで、ちくご型護衛艦にも搭載された。

 ボフォース57mm艦砲、戦時中はゼロ戦の天敵であったボフォース40mm機関砲の後継です、アメリカは40mmではVT信管を使えないとして76mm連装砲へ進んでゆきましたが、ボフォースはVT信管にこだわらない小型艦の主砲として57mm艦砲を完成させました。

 オタワ搭載のものはそのMk3にあたります、近代化改修前はMk2を搭載していたといいますが、2008年に横須賀で撮影した際には、ヴェルニー公園から吉倉桟橋を出航の様子を撮影、300mm望遠では遠すぎてあの当時はMk2かどうかまでは見えなかったのですね。

 ボフォース40mm単装機関砲の新型と似た、初期型よりもシールド部分が洗練されていますが、ひだ型、くにがみ型など海上保安庁巡視船で近年採用されるボフォース40mm単装機関砲とシールドが似ているのはメーカーと設計思想が共通している所以といえましょう。

 57mm砲弾は軽量でしたが2発クリップで装填するという、すると一発一発装填するOTOメララ社製76mm砲、自衛隊の標準艦砲よりも装填は重いのか、な。自動装填ですが弾個にはマンパワー、と言われまして真下に弾薬庫が在るという。やはり最後は人力なのです。

 カナダ海軍、対潜戦闘を重視した海軍です、こういいますのも、ベアトラップ着艦拘束装置を開発したのはカナダなのです、護衛駆逐艦へ当時大型であったシーキング対潜ヘリ、HSS-2系統の対潜ヘリコプターを搭載させる無理を実現させるために新技術を開発した。

 現在のカナダ海軍は主要装備で、ヴィクトリア級潜水艦4隻、ハリファクス級フリゲイト12隻、キングストン級掃海艇12隻、以上です。オタワ含めハリファクス級は現在カナダ海軍唯一のフリゲイト型式となる。それだけに近代化改修を重ねているのが特色といえよう。

 ヴィクトリア級はイギリスのアプホルダー級潜水艦を取得したもので引き渡し前に大西洋上でトラブルなど幸先は若干考えさせられましたが4隻そろって現役です。なお、キングストン級は掃海艇ですが40mm機関砲等を搭載しており哨戒艇としての任務も担います。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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