■防衛フォーラム
ドイツ軍はユーロコプタータイガーの任務を貧弱なH-145ではなくユーロファイターに置換え昔のヤーボのような台風を吹かせるのでしょうか。
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ドイツ空軍はユーロファイター戦闘機20機を増強します。ドイツのショルツ首相はILAベルリン国際航空宇宙展開会式において、ドイツのNATOへの協力体制強化と、ロシアウクライナ戦争の長期化を受けての国際安全保障への関与強化の一環として、その具体策に現在も生産が継続されているユーロファイターの増強で応えたかたち。
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ユーロファイター戦闘機は初期製造型のトランシェ1から比較的新しいトランシェ3Aへの改修費用の割高さや、トランシェ3AからAESAレーダー方式のトランシェ3Bへの改修費用がかさみ、機体構造部分から当初の運用期間以上に延命する事が難しいなど2000年代初頭ほど優位性を強調できない状況が続いていたところでした。
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ユーロファイター戦闘機について、ドイツ政府は既に38機の増強計画を進めており、此処に追加の20機を加えることになります。現在ドイツ政府は老朽化したトーネード攻撃機の後継機としてF-35A戦闘機の導入を決定していて、一方今回のユーロファイター増強決定は、ユーロファイターの生産ライン維持にも重要な要素となるでしょう。■
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ドイツ空軍はブライムストーン3空対地ミサイルを増強します。これはMBDA社とドイツ政府の間で結ばれた新しい契約にもとづくもので、今回の増強発注は過去に無い規模との事で、ドイツ空軍の空対地攻撃能力が大幅に強化される事を意味します。ドイツ空軍ではユーロファイター戦闘機に搭載しての運用を想定しているもよう。
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ブライムストーンはユーロファイター戦闘機に加え、MQ-9リーパー無人攻撃機やユーロドローン等の無人航空機にも運用が可能で、また陸上発射型やヘリコプターからの投射も可能となっています。ドイツ政府はユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプターの早期退役を発表しており、今後はユーロファイターがその役割の一端を担うかたち。
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ユーロコプタータイガーはドイツ政府のメルケル政権時代の国防費圧縮政策により段階近代化改修を停止していた時代に整備費用も同時に抑えたことで稼働率が極端に低下し、ショルツ政権に移行した後ロシアウクライナ戦争勃発を受け、その運用強化を模索したところ難しく、H-145観測ヘリコプターの武装型に置き換える決定を下しました。■
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ドイツ連邦軍のブライムストーンミサイル増強を受けMBDA社は新工場を建設します。これは現在MBDA社が運営しているシュロベンハウゼン工場に新しくブライムストーン製造棟とサービスセンターを増築するもので、MBDA社エリックベランジェ最高経営責任者は、この転換によりドイツのミサイル備蓄能力は大幅に強化されると話します。
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ブライムストーンミサイルは元々イギリスがユーロファイター戦闘機用に開発したミサイルで、原型となるブライムストーン1はヘリコプターから発射した場合の射程が12kmで、戦闘機から発射した場合でも射程は20kmと決して長いものではありませんでしたが、ミリ波レーダー誘導により同時多目標対処能力の高さが大きな強みとなっていました。
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ドイツ連邦軍が今回調達するものはブライムストーン3で、ブライムストーン2の時点で射程は60kmと大幅に射程が延伸していましたが、改良により射程やシーカー部分の稼働時間が30%増大したといい、射程80㎞前後となった事を示します。またブライムストーン2から陣地目標などへレーザー誘導方式の直接目標照準も可能となっています。■
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ドイツのユーロファイターとブライムストーン3ミサイルについて、PAH-2ユーロコプタータイガーの後継と成り得るのでしょうか。ドイツ連邦軍自身はPAH-2の後継機としてH-145の武装型を想定していますが、防弾構造ではない軽ヘリコプターの武装型であり、野戦防空火器に防衛された機甲部隊への攻撃は非常に危険を伴う決定でした。
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ユーロファイター戦闘機と原型のブライムストーンミサイルはもともと対戦車攻撃を念頭とした装備であり、それはユーロファイター戦闘機用に6発用兵装架が開発されるとともに、ユーロファイターのキャプターレーダーが捕捉した地上目標をそのまま照準可能、兵装架3基を搭載可能であるため、18発を連続して発射することも可能です。
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H-145ヘリコプターの武装型では対戦車攻撃はいかにも困難で、実際、ロシアウクライナ戦争においてウクライナ政府は汎用ヘリコプターの対戦車型を各国に供与要請していません。しかし、射程を80kmまで延伸したブライムストーンミサイル3とトランシェ3B以降のユーロファイターならば、充分な対戦車攻撃が可能なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ドイツ軍はユーロコプタータイガーの任務を貧弱なH-145ではなくユーロファイターに置換え昔のヤーボのような台風を吹かせるのでしょうか。
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ドイツ空軍はユーロファイター戦闘機20機を増強します。ドイツのショルツ首相はILAベルリン国際航空宇宙展開会式において、ドイツのNATOへの協力体制強化と、ロシアウクライナ戦争の長期化を受けての国際安全保障への関与強化の一環として、その具体策に現在も生産が継続されているユーロファイターの増強で応えたかたち。
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ユーロファイター戦闘機について、ドイツ政府は既に38機の増強計画を進めており、此処に追加の20機を加えることになります。現在ドイツ政府は老朽化したトーネード攻撃機の後継機としてF-35A戦闘機の導入を決定していて、一方今回のユーロファイター増強決定は、ユーロファイターの生産ライン維持にも重要な要素となるでしょう。■
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ドイツ空軍はブライムストーン3空対地ミサイルを増強します。これはMBDA社とドイツ政府の間で結ばれた新しい契約にもとづくもので、今回の増強発注は過去に無い規模との事で、ドイツ空軍の空対地攻撃能力が大幅に強化される事を意味します。ドイツ空軍ではユーロファイター戦闘機に搭載しての運用を想定しているもよう。
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ブライムストーンはユーロファイター戦闘機に加え、MQ-9リーパー無人攻撃機やユーロドローン等の無人航空機にも運用が可能で、また陸上発射型やヘリコプターからの投射も可能となっています。ドイツ政府はユーロコプタータイガー戦闘ヘリコプターの早期退役を発表しており、今後はユーロファイターがその役割の一端を担うかたち。
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ユーロコプタータイガーはドイツ政府のメルケル政権時代の国防費圧縮政策により段階近代化改修を停止していた時代に整備費用も同時に抑えたことで稼働率が極端に低下し、ショルツ政権に移行した後ロシアウクライナ戦争勃発を受け、その運用強化を模索したところ難しく、H-145観測ヘリコプターの武装型に置き換える決定を下しました。■
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ドイツ連邦軍のブライムストーンミサイル増強を受けMBDA社は新工場を建設します。これは現在MBDA社が運営しているシュロベンハウゼン工場に新しくブライムストーン製造棟とサービスセンターを増築するもので、MBDA社エリックベランジェ最高経営責任者は、この転換によりドイツのミサイル備蓄能力は大幅に強化されると話します。
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ブライムストーンミサイルは元々イギリスがユーロファイター戦闘機用に開発したミサイルで、原型となるブライムストーン1はヘリコプターから発射した場合の射程が12kmで、戦闘機から発射した場合でも射程は20kmと決して長いものではありませんでしたが、ミリ波レーダー誘導により同時多目標対処能力の高さが大きな強みとなっていました。
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ドイツ連邦軍が今回調達するものはブライムストーン3で、ブライムストーン2の時点で射程は60kmと大幅に射程が延伸していましたが、改良により射程やシーカー部分の稼働時間が30%増大したといい、射程80㎞前後となった事を示します。またブライムストーン2から陣地目標などへレーザー誘導方式の直接目標照準も可能となっています。■
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ドイツのユーロファイターとブライムストーン3ミサイルについて、PAH-2ユーロコプタータイガーの後継と成り得るのでしょうか。ドイツ連邦軍自身はPAH-2の後継機としてH-145の武装型を想定していますが、防弾構造ではない軽ヘリコプターの武装型であり、野戦防空火器に防衛された機甲部隊への攻撃は非常に危険を伴う決定でした。
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ユーロファイター戦闘機と原型のブライムストーンミサイルはもともと対戦車攻撃を念頭とした装備であり、それはユーロファイター戦闘機用に6発用兵装架が開発されるとともに、ユーロファイターのキャプターレーダーが捕捉した地上目標をそのまま照準可能、兵装架3基を搭載可能であるため、18発を連続して発射することも可能です。
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H-145ヘリコプターの武装型では対戦車攻撃はいかにも困難で、実際、ロシアウクライナ戦争においてウクライナ政府は汎用ヘリコプターの対戦車型を各国に供与要請していません。しかし、射程を80kmまで延伸したブライムストーンミサイル3とトランシェ3B以降のユーロファイターならば、充分な対戦車攻撃が可能なのかもしれません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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